• 2021年6月14日
  • 2024年4月1日

公立中高一貫校に塾なしでも受かる子って?合格のための対策

公立中高一貫校に塾なしでも受かる子って?合格のための対策

公立中高一貫校に合格するために小学五年生ぐらいから、本格的な準備を始める家庭も多いことでしょう。公立中高一貫校対策コースを用意している塾はたくさんありますが、中には塾に通わないで受検する家庭もあります。この記事では、公立中高一貫校に塾なしでも受かるのかどうかや、合格のための対策について紹介します。

そもそも公立中高一貫校の受検は難しいの?

そもそも公立中高一貫校の受検は難しいの?
公立中高一貫校の受検が難しいと言われるのはなぜなのでしょうか。

倍率は五倍以上!高い競争率を突破する難しさ

学費が安いにもかかわらず、先進的なカリキュラムで学ぶことのできる公立中高一貫校は、広く人気を集めています。首都圏の公立中高一貫校の倍率は学校によってまちまちですが、だいたいどこも五倍以上です。つまり、第一志望校に挑んだとして、五人中四人が落ちる計算になります。そういう意味では間違いなく難しいと言えるでしょう。
ただ、単純に出題される問題の難易度で言うのなら、私立中高一貫校のほうがよほど難しいです。私立中高一貫校の場合、非常に広範な範囲から出題されるため、必要とされる勉強量が違いますし、基礎を理解しただけでは歯の立たない問題が山のように出ます。
対して、公立中高一貫校の受検で問われる知識はあくまで教科書準拠です。ただし、教科横断型の出題であるため、物事を関連付けて考えを掘り下げる力が問われます。

記述問題や作文試験。深めた考えを文章で表現する難しさ

記述式の出題ばかりというのも悩ましい点です。答えが頭でわかっていても「書く力」が身についていないと合格は難しくなります。

私立中高一貫校を目指す子供に公立中高一貫校の適性検査を解かせてみると、問題を読み終えた段階では「なんだ、簡単だね」という反応を見せます。しかし、いざ答えを書こうとする段階で、多くの子供が詰まるのです。つまり、公立中高一貫校の適性検査には独自の難しさがあると言えます。
それは考えを文章にまとめて表現する難しさです。もちろん、私立中高一貫校の受験にも記述問題はあります。しかし、それはあくまで一部であり、公立中高一貫校のように徹底的に書く力を要求してはきません。実際、公立中高一貫校の受検対策を始めたばかりの子供は、まともな答えをほとんど書けません

最初、子供たちは「どうしよう、字数が足りない」と指定字数の半分も埋まらなかった事実に頭を抱えたり、「答えはわかるのにちゃんと説明できない」と自分の思考を言語化する難しさにうなったりします。それでも、毎日しっかりと勉強できている子であれば、だいたい半年ぐらい経った頃から書く速度が上がり、的を射た答えを書くようになってくるものです。
つまり、一朝一夕ではどうにもならないため、粘り強く問題集を解き続ける必要があります。評判の良い問題集を選んで、何周もやり込んでください。一周目は飛ばしてしまう問題が多いかもしれません。どこが手つかずかははっきりわかるようにして二周目、三周目でわからない点がないようにしていきましょう。

作文試験対策も苦戦しがちです。学校によって字数もテーマの傾向もバラバラですが、さまざまなテーマに対応できるよう、志望校の傾向を分析した上で、時事問題をはじめ興味の範囲を広げていかなければなりません。作文の問題集をやり込んで、文章力構成力を磨くことも重要です。

公立中高一貫校対策で直面する「書くこと」の難しさ
  • 私立中高一貫校の受験にはない独自の難しさがある
  • 徹底的に「書く力」を求められる
  • 考えを文章にまとめて表現する力が必要
  • 思考を言語化することは訓練が必要
  • 添削を中心とした勉強方法が重要
  • 文章力と構成力を磨く必要がある

報告書を重要視。小学校での評価が影響してくる難しさ

報告書とは、つまり学校からの評価が書かれた書類です。学校での評価はブラックボックスな一面があり、先生の主観で調整されてしまう怖さがあります。とりわけ授業態度は、どうしても先生の主観にならざるを得ません。加えて、発達特性上、評価を得づらい子供も少なくないでしょう。
公立中高一貫校受検をする場合は、二割、多ければ三割程度の割合で、報告書の内容が加味されます。学校での評価が悪い子供は公立中高一貫校を狙うのは、かなり難しいのが現状です。

公立中高一貫校対策、塾に通うといくらぐらいかかる?

公立中高一貫校対策、塾に通うといくらぐらいかかる?
私立中高一貫校の対策コースが小学三年生の二月から始まるのに対して、公立中高一貫校の対策コースは小学五年生からの塾が多いです。
だいたい、塾に通うとなると月々一万五千円から二万円ぐらいの費用がかかります。作文指導や記述の特別対策を追加すると、更に五千円から八千円ぐらい上乗せになる塾も多いです。加えて、季節講習をとるとなると、年当たりの出費は決して安くはありません。塾ごとにばらつきはありますが、四教科の適性検査対策と作文指導に加え、夏期講習と冬期講習をとるとすると、年間四十万円前後の支出にはなるわけです。これは六年生の費用であり、五年生の費用も加算すると七十万円ぐらいでしょうか。

公立中高一貫校の対策コース
五年生30万円前後
六年生40万円前後
合計70万円前後

ただ、大手の私立中高一貫校対策コースよりははるかに安いです。小学三年生の二月から小学六年生まで通うと、私立中高一貫校対策コースは最低でも二百万円を超えます。私立中高一貫校を狙う場合は授業時間数も多いですから当然といえば当然です。
中学校から大学まで私立で通った場合の学費の目安

公立中高一貫校を目指す子供が小学五年生から塾に通う必要があるかどうかは、ケースバイケースです。その子に学校の授業についていける程度の学力があるのかどうかや、記述や作文が得意なタイプであるかどうかにもよります。学校でよい成績をとり、記述や作文に苦手意識がないのであれば、六年生だけ通って対策することも可能です。
逆に低学年からコースを用意している塾もありますが、公立中高一貫校に特化した指導ではなく、基礎学力対策をしているケースが多いです。「低学年の勉強が軌道に乗っていないけれど、将来的には公立中高一貫校を考えている」という家庭には向いているかもしれません。
なお、公立中高一貫校対策のために塾に通うなら、少人数制もしくは個別指導を行っているところがよいです。記述問題をスラスラ解けるようになるためには、添削によるフィードバックが欠かせません。このフィードバックを塾側がどの程度こまめに行ってくれるかで、塾のよしあしが決まると言っても過言ではないでしょう。集団授業で大人数を抱えての一律指導ではあまり効果は見込めません。

受検対策は家庭でもできる?

受検対策は家庭でもできる?
受検対策を家庭だけで進めることは可能なのでしょうか。

そもそも親のサポート自体は不可欠

塾や家庭教師といった教育サービスを活用するにせよそうでないにせよ、中高一貫校を目指すのなら、私立公立問わず親のサポートは欠かせません。よほど面倒見のよい塾に通わせるのであれば別ですが、基本的に学習の進捗管理や宿題のフォロー、プリントの整理など、親が伴走者となって受検に臨んでいる家庭が多いです。まず、受検指導の前にサポートだけでもかなり大変な負担であるということは、知っておく必要があります。

適性検査対策およびスケジューリングを担う難しさ

親がつきっきりで指導可能な家庭の場合、教育サービスを一切活用しないケースもなくはありません。もしくは、作文指導だけお願いして適性検査対策の添削は親が行うといったスタイルをとっている家庭もあります
ただし、解答に解説が載っているといってもわが子に的確な指導をするのは難しいもの。加えて、受検指導はやはりスケジューリングがカギとなります。記述問題の指導では、「今日も全然進まなかった!」と予定どおりにいかない状況に振り回されるケースが多いです。それぐらい一問あたりに時間がかかってしまいます。そのため、親がスケジューリングまで担うとなると、「本当にこの調子で大丈夫なんだろうか」と不安になりがちです。その点、積み重ねてきた経験から、広い視野でスケジュールを組めるプロの先生は頼りになります。

幅広いテーマへの対応力と文章力。作文対策を親だけで担えるか

作文対策を家庭だけで進めるのは難しいです。多くの子供が作文を苦手としています。意味の通じる文章を書けるようにするだけで一苦労です。文体が統一されているかどうかや句点の使い方、一文あたりの長さ、接続詞の使い方など、たいていは課題だらけ。指導経験がないと、わが子に教えるのはなかなかハードルが高いかもしれません。

わが子の甘えを受け止められるか

子供は親につい甘えが出てしまうもの。わが子を励ましたり叱ったりしながら、思いどおりに進まないスケジュールとにらめっこしているうちに、親のほうが精神的に参ってしまうなんてケースは少なくありません。中学受験における親の大変さは、かねてより指摘されていて、とりわけ母親に負担が偏りがちな現状があります。子供の気持ちや予算が許すのであれば、教育サービスを活用したほうが負担はぐっと減るでしょう。

公立中高一貫校対策ができる教育サービスって、塾以外になにがあるの?

公立中高一貫校対策ができる教育サービスって、塾以外になにがあるの?
公立中高一貫校対策を行っているのは塾だけではありません。他の教育サービスにはどんなものがあるのかを見ていきましょう。

通信教育

公立中高一貫校対策の通信教育は、さまざまな展開を見せています。Z会のような通信教育大手も参入していますし、作文指導に特化した教育サービスを提供している会社もあります。
通信教育は塾よりも安い費用で済み、丁寧な添削をお願いすることが可能です。塾と違って通う必要がないため、交通費が不要。行き帰りのタイムロスや安全を気にかけなくてもよいのも魅力です。ただし、常に先生が目の前にいるわけではないので、即時性の点ではデメリットもあります。

家庭教師

公立中高一貫校受検に対応している家庭教師派遣センターはたくさんあります。家庭教師のメリットは常に一対一の指導である点です。公立中高一貫校受検指導に欠かせない添削に、じっくりと時間が割いてもらえます。
常に先生がそばにいるため、わからなければすぐに質問することが可能です。その場その場で、自分の答案に不足している点を確認することができます。問題を持ち越さないで処理していければ、スケジューリング面でも助かることが多く、大きなメリットだといえるでしょう。
ただし、費用は通信教育や集団授業塾よりも高くつく傾向があります。家庭教師の場合は、先生の実績を調べて希望を出すこともできるため、予算と相談の上、コストパフォーマンスのよい先生を選ぶことをおすすめします。

家庭で学習を進めるなら、ときには臨機応変に

家庭で学習を進めるなら、ときには臨機応変に
予算との兼ね合いや子供の気持ちの問題もあるため、負担が大きいとわかっていても、親が指導にあたらざるを得ないケースもあるはずです。その場合は、複数冊の問題集を何周かして徹底的にやり込んでください。解答をよく読み込み、配点ポイントを具体的に伝えられるようにしましょう。適性検査にしろ、作文指導にしろ、どれだけ的を射た添削ができるかが、家庭学習だけで合格を勝ち取る上でのカギになります。

もしくは、ぎりぎりまで家庭学習で進めて、「このままじゃまずい」と思ったタイミングで、教育サービスに任せるやり方でもよいでしょう。状況を見極めて臨機応変に決断してください。子供の学力にもよりますが、小学六年生の夏休みまでに決めるのがひとつの目安です。その時点からであれば、教育サービスにかかる費用も限られた額で済みます。

集団授業塾では難しいですが、個別指導や家庭教師であれば、必要なカリキュラムを用意してくれるはずです。家庭学習での不足分を補うスケジューリングを担当の先生にお願いしましょう。

塾なしで合格を目指したい。どんな子供なら可能か

塾なしで合格を目指したい。どんな子供なら可能か
基本的には、塾に通わず公立中高一貫校の合格を勝ち取ろうと考えるならば、他の教育サービスを活用する方向で検討したほうがよいです。中でも、家庭教師のように一対一で即時性をもってフィードバックをしてくれるサービスは、公立中高一貫校受検対策に向いているといえます。ただし、一対一というスタイルですので、どうしても集団授業や通信教育よりは費用が高くつきがちです。最終的にはコストパフォーマンスで判断することをおすすめします。

塾だけではなく他の教育サービスも一切利用せず、家庭だけで受検対策していきたい場合は、子供の学力や文章力が一定ラインをクリアしていなければなかなか合格は難しいです。学校の授業を理解できていて、学内での評価も高い子供であることが大前提となります。文章力や読解力、思考力もあったほうが望ましいでしょう。
もしくは、親が公立中高一貫校の受検に明るく、質の高い指導を家庭で行うことができ、子供に学習習慣をしっかりと身につけさせることができれば可能です。難しければ、仕上げ段階だけでも、教育サービスを利用する選択肢を検討しましょう。

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