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「より良く生きる」東洋大学京北の礎【哲学教育】
「本当の教養を身に付けた国際人を育成する」を教育目標に、哲学教育に力を入れる東洋大学京北中学・高等学校。
物事の真理を探究し、それを実践していく力を育むことができる。それが東洋大学京北の掲げる哲学教育のあり方です。
インタビュー
東洋大学京北中学校の生徒さんにインタビューしました!
~哲学教育の「哲学」と「国語論理」の違いは?~
今日は、東洋大学京北中学校に来ています。本日は4人の生徒さんにお話を伺ってみたいと思います。よろしくお願いします!
全員よろしくお願いします!
ちょっと緊張しているかな?リラックスしてお話してくれて大丈夫ですからね。
全員はい。
今日はですね。皆さんに「哲学教育」のお話と、「理数教育」のお話を伺っていきたいと思いますが、皆さんは全員中学3年生ですよね?
W.Iさんはい。中学3年生です。
こちらの「哲学教育」には、哲学と国語論理の二つの中学必修科目がありますが、1年生の頃から哲学教育の授業を受けていたんですよね。
C.Yくんそうですね。
そもそものお話で、「哲学」と「国語論理」とはどう言った授業なのか。それぞれお聞きしたいと思います。
W.Yくんじゃあ、哲学の説明を。
W.Yくん。よろしくお願いします!
W.Yくん哲学の授業では、例えば普段自分が疑問に思っていることを紙に書いて他の人と意見を出し合ったりします。あとは、一つの問いに対して賛成・反対のグループに別れて話し合いをするという授業もあります。
お互いの意見を聞いたり、討論したりするんですね。哲学の授業は週何回あるんですか?
W.Yくん週1回です。
週1回、1年生の頃から皆さん哲学の授業をやっているんですね。それでは、国語論理についてはいかがですか?
W.Iさんはい。国語論理も週1回の授業なんですけど、哲学と違いメインは文章を書くことです。書くテーマについて他の人と交流することで自分以外の意見を視野に入れながら、自分の考えを文字にする力を養っていきます。
そのテーマは自分自身で考えるんですか?
W.Iさん先生が新聞記事から出してくれたり、先生自身がテーマを考えてくれたりします。
なるほど。その時の授業にならないとどんなテーマが出てくるかわからないんですね。
W.Iさん先生たちによって違うと思いますが、私たちは先生が新聞記事とかをプリントにまとめてくれることが多いです。それを読んで、どう思ったか、要約とかを書く訓練をしています。
なるほど。今の話をまとめると、問いに対して深く考えて自分の意見をまとめる授業が【哲学】で、文章で人にわかりやすく、筋道を立てて伝えるのが【国語論理】ということなんですね。
N.Wさんへのインタビュー
~【哲学】の授業で心に残っているものは?~
それでは、順番にお話を聞いていこうと思います。まずは哲学の授業について、1年生の頃から今までで印象に残っている授業は何かありますか?
N.Wさん私は一つの授業というよりは、毎年哲学の授業の集大成として哲学エッセーコンテストというのを冬に書いています。それはすぐにかけるものではないので、本当に今くらいの時期(8~9月頃)には準備し始めなければならないんです。
冬に発表で、しっかりと準備期間を設けているんですね。
N.Wさんそうですね。哲学の授業を受けていなかったら、哲学エッセーコンテストコンテストの題材になるようなものに気づけなかったと思うんです。結構自分の当たり前に思っていることとか、普通に生活していたら気づかないようなことから書き出したりするので。
そうなんですね。実は、哲学エッセーコンテストのことについては後でお聞きしようと思ってたんです。
N.Wさんそうだったんですね。でも、哲学の1回1回の授業で、人と交流したり、自分で考えている時も、「自分ってこういう風に考えているんだな」と客観的に把握できたりするんです。だから結構どれもいい授業だなって思います。
1回1回の授業の積み重ねが多方面から物事を考える力になっているんですね。
N.Wさんそうですね。
~哲学の授業を通して学んだこと・活かしていきたいこと~
この哲学の授業を通して、どんなことを学んで、今後どう活かしていきたいかを教えてもらえますか?
“N.Wさん普段の生活をしていると、宿題や部活が多い学校だなって感じます。その中でゆっくりと色んなことを考える時間ってなかなか取れないです。
でも週1回の哲学の授業があると、その時間は「自分ってなんなんだろう?」とか、社会的な問題などをじっくりと考えられる機会が得られると思っています。机に向かうだけが勉強じゃないということを学びました。”
大事ですね。
N.Wさんなので、今後は哲学の授業だけに限らず、ちょっと時間が空いたなと思ったときなんかに深く考えられるような機会を積極的に作っていきたいと思っています。
C.Yくんへのインタビュー
~【哲学】の授業で心に残っているものは?~
では、次にC.Yくんに聞いてみましょう。
C.Yくんはい。僕も特に心に残ったものがあるというのではないんです。毎回答えのない問題についてみんなで考えたり、その価値観の違いとかを出し合ったりしています。その1回1回を大切にして、それが全部重要だなって思っています。
なるほど。例えば、この議論がすごい白熱したみたいな回とかありましたか?
C.Yくんそうですね。例えば、社会人になっても働かず家にいて親に養ってもらっている、いわゆるニートの方の問いが出た回ですかね。その人は夢を追い続けているけど、働いていなくて。それは果たして本当の大人と言えるのだろうか?
なかなか繊細なお題ですね。ちなみにC.Yくんはどんな意見を持っていたんですか?
C.Yくん僕は、本当の大人じゃないという意見を持っていました。年齢的にもそうですが、親に養ってもらっているところが自立していないと感じて、個人的にはそういう意見を持っていました。
なるほど。その意見に対して反対の意見を持っている人もいたんですね。
C.Yくんもちろんいましたね。
この会話だけでも個人的な意見が出てくるので、授業ではかなり白熱したのではないかと想像しています!個人的にはすごく興味がある問いです!
C.Yくんあはは!
~哲学の授業を通して学んだこと・活かしていきたいこと~
この哲学の授業を通して、どんなことを学んで、今後どう活かしていきたと思っていますか?
C.Yくんはい。哲学の授業を通して、世の中には必ずしもすべての問題に答えがあるとは限らないということを学びました。
なるほどですね。
C.Yくん例え答えがないとしてもそのことについて考え続けていると、新たな視点から、その問題を客観的に捉えることができたりするんです。なので、考え続けることが大切だと思いました。
その場だけで終わってしまうと、せっかくこの授業を続けて来ているのにもったいないなって思います。それを考え続けるということが大事だということを学び、今後にも活かしていきたいということですね。
C.Yくんはい!
W.Yくんへのインタビュー
~【哲学】の授業で心に残っているものは?~
それでは、次にW.Yくんにお話を聞いてみようかな。心に残っている授業はありますか?
W.Yくん僕は、出生前診断に関する授業がすごい心に残っています。出生前診断をして、生まれる前に身体的な障害を持ってる可能性があると診断が出たときに、産むか産まないかという実際に映像を見ました。
こちらも深い内容の問いですね。
W.Yくんそうですね。産んだ人はしっかりと家族の一員として支え合っていました。でも、産まないという選択をしている人もいて。
W.Yくんの意見はどうだったんでしょうか?
W.Yくん最初は出生前診断は倫理的にどうなのかなって考えてたんですが、映像を見て家族として受け入れられるかどうかという重要な選択の機会が与えられる方がいいのかなという考えに変わりました。
なるほど。昔は出生前診断というのはなかったですからね。もし自分がその立場になった時どうするのかなって考えちゃいました。
W.Yくんそうですよね。
深いテーマですね。
~哲学の授業を通して学んだこと・活かしていきたいこと~
この哲学の授業を通して、どんなことを学んで、今後どう活かしていきたいですか?
W.Yくん一般的に人と人では価値観が違うと言われていますよね。それって当たり前のことだと思うんです。でも、哲学の授業を通して本当に価値観が違う人とたくさん交流してそれを実感して、色んな視点から物を見る力が着いたと思っています。
なるほど。実際に経験することによって思考力に幅ができたということですね。
W.Yくんはい。だからこそ、自分の価値観を押しつけるんじゃなくて、色んな人と話をする。そして、どんな人でも納得できるような最善の解決策とかを出せるようにしたいと思いました。
それが実現できたら、きっと戦争とかなくなっていくんだろうなという気持ちで、お話を聞いていました。
W.Yくんそうですね。そうなっていくといいですね。
W.Iさんへのインタビュー
~【哲学】の授業で心に残っているものは?~
W.Iさん私は代理母と赤ちゃんポストについての授業が心に残っています。
これまた深いテーマが来ましたね。
W.Iさん代理母というのは、苦労して子供を産むので愛情が湧いてしまうと思うんです。でもそれを仕事としてお金をもらっているのはどうなんだろう?というのをクラスのみんなで意見を出し合って話をしました。
W.Iさんはどんな意見を出したんでしょうか?
W.Iさん私は代理母の制度自体はいいのかなと思っています。
なるほど。
W.Iさん子供が欲しくても持てない家庭もあるから、そのためにはあった方がいいと思うんです。でも、やっぱり愛情が湧いちゃって裁判になったら意味がない。代理母の制度はあった方がいいけど、社会的な意見も視野に入れたら、ない方がいいのかなって思っていて・・・。
すごいですね。もっとライトな問いが出てくるのかなと思ったんですが、みんな深い意見を出してくれたので圧倒されてしまいました。
W.Iさんあはは!
色んな社会問題があるなとこの僅か時間でも感じました。きっと、問いのチョイスもいいんでしょうね。
~哲学の授業を通して学んだこと・活かしていきたいこと~
この哲学の授業を通して、どんなことを学んで、今後どう活かしていきたいと思っていますか?
W.Iさん自分では問題とか世の中の課題に対して、まず自分で考える力というのがついたと思っています。併せて、友達や先生含め色んな人と交流することで、自分にはない意見を聞いて、そういう考えもあったのかと理解や納得する機会が増えました。
いいですね。その経験を今後どう活かしていきたいですか?
W.Iさん将来仕事に就いたときに、自分の意見もちゃんと伝え、相手の意見もちゃんと聞けるようになりたいです。そして、その意見を大事にしながらより良いものを作ったり、解決策などを出し合えたらいいなと思います。
素晴らしいです。ありがとうございます。
~論述の力を鍛える「国語論理」~
ここからは国語論理の授業についてお話を聞いていこうかと思います。
N.Wさんへのインタビュー
~【国語論理】の授業で心に残っているものは?~
それでは改めてですが、国語論理の授業で心に残っている授業はありますか?
N.Wさん国語論理は哲学とちょっと違うような気がしているんです。誰かが書いた新聞記事のコラムなどを読んでどう思ったか、というのが私のクラスでは結構多い印象です。
先生によって出題するものが違うんですね。
N.Wさんはい。国語論理は友達の話を聞いても、自分の書いたものを後から見返して「こんなこと書いてたな」とか思い出すことはあるんですけど、それだけで終わってしまうことが多かったんです。
そうなんですね。
N.Wさん私も始め何を書いたらいいのかわからないことが結構あったんです。でも、自分の経験から似たようなことがなかったかを、1回1回の授業で思うことが重要なのではと感じています。
自分の経験を参考にすると書きやすいですよね。
N.Wさんそうですね。それによって、自分のことを振り返れるというのはすごくいいことだと思います。高校生になったらこの授業はないので、少しずつでも自分で継続していけたらいいなと思っています。
C.Yくんへのインタビュー
~【国語論理】の授業で心に残っているものは?~
国語論理の授業で心に残っているものはありますか?
C.Yくん国語論理は、例えば哲学の授業だったら自分の意見を述べる授業で、国語論理は感想を文章にして書き出すという訓練をしている授業です。
国語論理は論述の授業と聞いています。
C.Yくん国語論理で養ったその文章力を、それをその哲学と組み合わせていくと、より良い表現ができるようになると思っています。それが国語論理の役割や目的だと僕は思っています。
よく分析ができていますね。
C.Yくんそこで、一番心に残った授業は、「1人の人が人生をかけて作った桃源を守るか、一人の少女を助けるか」という問いですね。
桃源を守るか、少女を助けるか、ですか。
C.Yくんこれまで自分が長年積み上げて来た成果を守るのか。それともまだ知り合って間もない赤の他人を助けるのか。どっちを優先せるべきかという感想を書いて、それが一番心に残りました。
C.Yくんはどちらの意見を書いたんですか?
C.Yくん僕は人の命です。やっぱり「命」って何よりも大事だと思うので。成果も大事だとは思いますが、僕の意見は人の命だったのでそちらを選びました。
W.Yくんへのインタビュー
~【国語論理】の授業で心に残っているものは?~
それでは、W.Yくんにもお話を伺ってみましょう。国語論理で心に残っているものはありますか?
W.Yくん僕が国語論理の授業で一番心に残ったのが、「強いロボットと弱いロボット」という話です。
強いロボットと弱いロボットですか。
W.Yくんはい。ロボットって有能とか高性能というイメージがあるんです。でも人間は、例えばちっちゃい動物とかを見ると守りたくなると思うんです。その人間の感情をロボットが計算して、わざと人に協力してもらう形でティッシュ配りのロボットを開発したという成功例を見たんです。
高性能ではなく、敢えて人の感情に共感するロボットにしたということですね。
W.Yくんそうです。それをみて、敢えて他人に助けを求めることって大事なんだなって思いました。
なるほど。
W.Yくんそれで、僕が国語論理の授業を通して感じたことは、哲学の授業とは違って毎回紙に自分の文章を書き出すので、言葉の間違いとか、声では残らないようなこともしっかり記録できるのがいいことだと感じています。
例えばどんなところでそう感じますか?
W.Yくん例えば、自分の言葉遣いだったら、似たような意味の言葉でも少しずつ使う言葉が変化していったりとかですかね。ふとしたときに気づいたりすると、少しずつですが考え方も変化しているんだなって感じたりします。
語彙力が増えているということでしょうか。人にどうやったら伝わりやすいかとかを考えているんですね。
W.Yくんそうですね。そういう部分では、毎回の授業で訓練されていると感じています。
W.Iさんへのインタビュー
~【国語論理】の授業で心に残っているものは?~
それでは、W.Iさんにもお話を聞いてみたいと思います。W.Iさんが国語論理で印象に残っている授業はありますか?
W.Iさん印象に残っている授業はあまりないですね。毎回の授業での積み重ねで、うまくまとめられる力を訓練しているというのが国語論理の印象です。
なるほど。まとめられる力の訓練ですか。
W.Iさんはい。話している時とかはニュアンスで伝わってしまう時もあると思うんです。でも、それをどれだけうまく、わかりやすくまとめられるかということなんだと思っています。
私なんかはニュアンスで伝えてしまう人間なので、それを文章でうまくまとめるというのは日頃の訓練がないと人に伝わらないという心境は凄くわかります。
W.Iさんわかりやすく言葉に表さないといけない、且つ、字数制限もあるとなると、まとめる言葉も多くなっていってしまうんです。それをまとめられる力が付いていっていると感じています。
いい体験をされているんですね。
W.Iさん新聞記事とかを読んでも「へ~、そうなんだ」で終わっちゃうこととか、私自身も多いんです。でも、今後色んなことに対して簡潔にまとめなければならない時とか多くなると思うので、いい訓練になっていると思います。
哲学エッセーコンテスト
~自分とはなんなのか?~
では、N.Wさんにお話を聞いて見ましょう。N.Wさんの去年のテーマはどんなものだったんでしょう?
N.Wさん私はすごい抽象的な概念ですけど、『自分ってなんなんだろう』なって思ったんですよ。
自分とはなんなのか。
N.Wさん面接とかで自己アピールしろと言われることがあるじゃないですか。それで、実際中学3年と高校1年の間に高校に上がるための面接があるんです。
まさに今年がその時期に入ったんですね。
N.Wさんそうなんです。ちょうど今、面接の時に焦って何も考えられないということにならないように資料を作成しているんです。例えば、長所・短所とか、中学校で頑張ったこととかを結構ガリガリ書いているんです。
自己分析ノートのようなものですね。
N.Wさんでも書いていて、特に自分に関することってわからないことが多かったんです。中学に入ってからスマホをゲットして、Youtubeとかで自分が情報に触れる回数がすごく多くなったんですが、その情報に触れていなかった昔の自分って、結局何だったんだろう?と思うこともあったり。
知らない知識や価値観が昔とは少しずつ変わっていく感じですかね。
N.Wさん友達の関係性も中学に入ってから広くなって、うまくいくこともあれば、うまくいかないことも多くあってすごく傷ついて落ち込むこともあったんです。そんな色んなことがごちゃ混ぜになって、自分自身がわからなくなってしまったんです。
なるほど。
N.Wさんそうなった時に、『自分ってこうです!』って言えないじゃんって思って、それをエッセーのテーマにして書いてみようと思って、去年は書きました。
小学校から中学校に上がるタイミングでは、世界がまた広がっていくし、めまぐるしく環境が変化して行くので、自分のことがわからなくなってしまうこともありますよね。
~ポジティブとネガティブ、どちらがいい?~
C.Yくんにも同じテーマで聞いて見たいと思います。C.Yくんは去年の哲学エッセーはどんなテーマで書いたんでしょうか?
C.Yくん僕は、『ポジティブな気持ちと、ネガティブな気持ち、どちらがいいんだろう?』 というのをテーマにしました。
どうして、そのテーマにしようと思ったんですか?
C.Yくん例えば、部活の試合で負けてしまった時や、機嫌が悪い時なんかに、どうしたら機嫌よくポジティブにできるのかというのを考えたんです。それってすごく身近なことだなと思い、テーマにしました。
なるほど。ポジティブとネガティブ。C.Yくんはどっちがいいと思いますか?
C.Yくん普通に意見を言ってしまうと、僕的には圧倒的にポジティブの方がいいと思っています。
どうしてそう思ったんですか?
C.Yくんポジティブな状態では、自信がついたり、前向きに行動しやすくなったりすると思いうからです。世界全体がポジティブな心情を保つことによって、色んなことに挑戦できるようになったりします。
なるほど。
C.Yくん一方で、ネガティブは確かに悪いところもあるんですが、失敗した時にネガティブな状態だと、ちゃんと自分の弱点と、うまくいかなかったところを客観的に振り返ることができます。そう考えると、ネガティブにもメリットはあると思っています。
きちんと分析ができていてすごいと思います!
C.Yくんでも、個人的な意見は、やっぱりポジティブの方が重要じゃないかなと考えているんです。ポジティブの方が人生は楽しくなると思います!
~無駄って必要なのか?~
W.Yくんは、去年どんなテーマでエッセーを書いたんですか?
W.Yくん僕は去年、『無駄って必要なのか?』ということについて考えました。
面白いテーマですね。
W.Yくん僕はまず辞書に載っている定義じゃなくて、自分の中の無駄の定義から考え始めたんです。それで色々考えて結果、無駄は生きる上で必ずしも必要じゃないと思ったんです。
なるほど。
W.Yくん例えば、お金を稼ぎたいのなら遊ぶことは必要ないじゃないですか。
確かに、そうですね。
W.Yくんでも、無駄がないと人間は作業をするだけの機械と一緒になってしまう。人間らしさを出すためには絶対無駄が必要だと考えて、それを去年のテーマにして書きました。
どうしてこのテーマにしようと思ったんですか?
W.Yくん選んだ理由は、親から「無駄な行動をするな」と言われたのがきっかけです。
親御さんの言葉がきっかけだったんですね。
W.Yくんそうなんです。自分の中では無駄な行動じゃないなって思っているんです。でもまずは、どうして色んな人は「無駄」って言葉をずっと口にしているんだろうって思って、それをテーマにしました。
きっかけも着眼点も面白いテーマだと感じました!
~平等はあるべきか?~
W.Iさんは昨年はどんなテーマでエッセーを書いたのでしょうか?
W.Iさん私は去年、『平等はあるべきか』ということを自分で考えて、エッセーを書きました。
どうしてそのテーマにしたんですか?
W.Iさん 平等というのは実体験とか少ないんですけど、その中でも自分の考えをちゃんと入れて行こうと思ったんです。平等があったらこうなるだろうな。平等がなかったらこうなる。みたいな感じですね。
それを考えた結果、どうなりました?
W.Iさん私たちはこうやって快適に、便利に過ごしている。だけど、他の国に行ったら貧困とかで悩んでいる人とか、若くして亡くなっちゃう人とかいますよね。日本では適切な医療を受けられるのに、他の国では受けられない。
確かに国によって格差はありますよね。
W.Iさんみんな治療を受ける権利はあるので、そういう機会を平等にするべきではないか。ということを書きました。
なるほど。どうして、そのテーマを選んだんでしょうか?
W.Iさん発表の前の年にウクライナの戦争が始まりましたよね。ウクライナは抵抗しているけど、逃げた人もいれば、逃げられなくて亡くなった人も大勢いました。
そうですね。
W.Iさんそれって、私たちは他人事のように見ているけど、他人事のように見るんじゃなくて、自分事のように考えて募金したりするとか。そうやってちょっとずつ平等に近づいていくことが必要なのかなって考えたので、このテーマを選びました。
時事からの問題提起だったということですね。
W.Iさんはい。
みなさん、どれも興味深いテーマでエッセーを書かれているんですね。この哲学エッセーコンテストは外部の人も一部の生徒さんの作品を読むことができると聞いていますので、私もどんな作品があるか読ませていただきたいと思います!
~理数教育 未来の科学者育成プロジェクト~
ここまで、哲学教育についてお話を伺ってきました。次に理数教育のことについて聞いていきたいと思います。
全員はい。
理数教育では、『未来の科学者育成プロジェクト』があると伺いました。これはどういうものなのでしょうか?
C.Yくん未来の科学者プロジェクトは中学3年生対象で、1年間をかけて研究をしていきます。最終的には来年の3月くらいに発表があります。
その発表までに研究を発表できる段階まで持っていくんですね。これは全員が対象ではなく希望制ですよね。みなさん、研究している内容が違うと聞いています。
W.Iさんそうです。
では、それぞれの研究しているテーマを教えてもらえますか?
~ちりめんモンスター~
C.Yくんはどんなテーマで研究しているんですか?
C.Yくん僕のチームでは、『ちりめんモンスター』について研究しています。
ちりめんモンスター?それは、一体……?
C.Yくんちりめんモンスターとは、海にいるちりめんじゃこの中に混じったちっちゃい生物です。
エビとかイカとか混じっている、あれですね。
C.Yくんその小さな生物の体の動く仕組みについて調べています。その体の構造を調べて、そんな小さな生き物でもどんな動きができるのかについて調べています。
それは、どういう風に調べるんですか?やっぱり顕微鏡とか?
C.Yくん今の段階では、まだいろんな生物がいるのでそれを分類している段階です。そのあとは、骨染色というもので骨を染色して、その染色したものを観察していくんです。
なるほど。どういう動きをしているのかを観察するんですね。
C.Yくんそうです。
それはどのくらいの種類がいるんですか?
C.Yくん今のところは100種類近くいると思います。
100種類!?…え?100種類!?
C.Yくんでも、そこに共通性とかもあると思うので、それについて調べています。
100種類と聞いて圧倒されちゃいましたが。そうですよね。これはちりめんAとか、これはちりめんBというグループがあるということですね。
C.Yくんそうです。
まだ、種類を分類している段階で、研究もこれからだとは思いますが、このプロジェクトに参加してよかったという点は何かありますか?
C.Yくんそうですね。僕のチームは海の小さな生物について研究していますが、全然身近なことではないんですよね。
海が近くにあればいいですが、そういう環境でもないですもんね。
C.Yくんでもそういう生物にも興味を持てたというのが、一番よかったなって思います。このプログラムに参加してなかったら、そんな小さな生物が存在するということも知らなかったと思いますし、触れる機会も一生ないのではないかと思うので。
いい機会に恵まれたということですね。
C.Yくんはい。自分の知らない小さな世界でも小さな生命がいることについて触れることができたことが、一番よかったと思います。
~一番ヒットになりやすい打球を見つけよう~
W.Yくんのチームはどんな研究をしているんですか?
W.Yくん僕のチームは野球を題材に扱っています。動作分析装置を使って、バットの起動やスイングスピード、打球角度を測って、一番ヒットになりやすい打球を見つけよう!という研究です。
今はどこまで研究が進んでいるんでしょうか?
W.Yくん今、実際に装置の使い方とかを確認をして、打球を打ち始めたところです。
その研究は、ヒットのみに特化しているんでしょうか?
W.Yくんそうですね。今の段階だと、何メートル飛ばすにはどのくらいのスイングスピードがいいとか、打球角度はどのくらいか。バットを振る角度は何度必要かというのを計算しています。
その分析で飛距離が上がったらもっと野球が面白くなりそうですね。
W.Yくん僕、部活が野球部なんで、部活でも活かせるかなと思っているんです。
そうだったんですね!部活でも大いに活かせる研究ですね!
W.Yくん僕のチームは男子2人ですが、どっちも野球部なんです。
取り組みがいがありますね。
W.Yくんそうですね。
やはり野球部だからこの研究のテーマを選んだということですか?
W.Yくんはい。恥ずかしいんですけど、野球部なんですが、めちゃくちゃバッティングが苦手で……。なので、これを機に自分の中で改善できるかなと思って参加しました。
なるほど。自分でも何か活かせるものがあるんじゃないかと思って参加したんですね。参加してみて何か意識が変わったことはありますか?
W.Yくん参加してみて、素振り1回でも意識するようになりました。なので研究に参加したことは自分の中でいい影響になっていると感じています。
~乾眠状態のクマムシは水以外でも復活するのか?~
W.Iさんのチームはどんな研究をしているんですか?
W.Iさん私たちのチームでは『クマムシ』という生物について調べています。
クマムシですか?
W.Iさんクマムシは世界最強と呼ばれているんですが、そのクマムシの中でも乾眠状態というのがあって、その状態に水をかけたら水を吸収して復活するんです。それが水以外でも復活するかという研究をしています。
そもそも、クマムシってどういったものなのでしょうか?
W.Iさんクマムシは、苔とかによくいる凄く小さい生き物で、白い紙に10匹いたら点々というのが頑張れば見えるくらいの大きさです。でも動いているのは全然わからないです。
そんな小さい生き物の研究のテーマをどうして選んだんですか?
W.Iさんチームが選べる時に、私の部活の先輩2人がクマムシのチームに入っていたんです。先輩が研究していたというのもあるし、理科系の活動にも興味があったので、クマムシにしようと思ったんです。
身近な先輩がやっていたことで自分自身でも興味が湧いたんですね。
W.Iさんはい。
なるほど。ちなみに今は水以外で復活したものはあるんですか?
W.Iさんあります。
ちなみに他は何で復活しました?
W.Iさん牛乳とか、緑茶、麦茶でも全然復活します。
それ、クマムシ自身には味がつかないの?牛乳味になったりとか……。
W.Iさんそれはわからないです……。
そうですよね。変なこと聞いてすみません。
W.Iさんいいえ。あはは!
話を戻しまして。クマムシの研究をして、今後活かせることはありますか?
W.Iさんクマムシって名前は聞いたことがなかったので興味があったから選んだというのが理由ですが、3月に研究を発表する場があるんです。
先ほどもお話でありましたね。
W.Iさんこの研究を通して、まとめる力とか、自分の考えを話す力とかも育っていくと思っているので、発表にも活かせると思います。
それはこれまでの1年生からの蓄積もあるのではないかと今までのお話から個人的に感じているところです。
W.Iさんあとは、授業とかは決まった答えがあったり、体験とかはあまりできないので、こういう研究ができるというのが良い経験だと感じています。
貴重なお話が聞けました。ありがとうございます。
~状況変化で摂食量は変化するのか?~
それではN.Wさんのテーマについてお聞きします。
N.Wさん私のチームでは摂食率といろんなものの関係について調べています。摂食率とは、元々食べ物が一定量あって、それをどのくらい食べられるかっていうことなんですけど。
条件を変えて、食べられる量の変化を研究するということでしょうか?
N.Wさんそうです。例えば、食べ物を入れる皿とか、あとはBGMとか、人間の五感で感じ取れる条件をいっぱい変えて、どのくらいの数値が出るのかというのを調べています。
面白い研究ですね。どうしてそのテーマを選んだんでしょうか?
N.Wさん私は実を言うと、凄く理科が苦手なんです。なんならもう嫌いの域まで行っていたんです。
嫌いと言い切ってしまうのに、希望制の研究をやろうと思われたきっかけはなんだったんでしょうか?
N.Wさん嫌いだけど、理科をやらなくていいわけじゃない。でも実験は好きと言うタイプなんです。未来の科学者はチームが選べること、特に私のチームは理科というよりは、実生活に近いと感じています。
食というのは、人生に於いても切り離せない要素ですものね。
N.Wさんそうです。やっぱり食べることは好きなので、自分の食生活に活かせないかと思い、このテーマを選びました。
なるほど。これまでの実験で、五感を変えてみて摂食率に変化はありましたか?
N.Wさんそうですね。今、皿の色を変えて実験をしているんです。多分、食べるものにもよるんだと思うんですが、今は、おっとっとと果汁グミで実験をしています。
その2種類で変化はありましたか?
N.Wさん食べるスピードというよりは、おいしさが結構変わるみたいなんです。皿の色によっては、ぶどう味の果汁グミは紫ですよね。
そうですね。
N.Wさんそれで、赤とか青だと混ぜると紫を作れるので、逆に強まって美味しいとか。白い皿だと安っぽくみてちゃって、逆に「あれ?」ということが起きたりとか。
興味深いですね。
N.Wさんおっとっとは黄色なので、白や薄い色じゃなければ結構目立って美味しくなるとか。あまり想像してなかった点が変化していて面白いなと感じています。
今の話を聞いて、私も試したくなっちゃいました。誰かにお菓子を出す際とかにも活用できそうですね。
N.Wさんそうですね。
それを踏まえて、N.Wさんがこの研究に参加してどんなことがよかったと感じていますか?
N.Wさんさっきも言った通り、小学校くらいから理科に苦手意識があったんです。中学の定期考査でも思うようにいかなくてだんだん嫌いの方向に行ってしまいました。それでそのまま中3になってしまって。
一度苦手になってしまうとなかなか好きになるのは大変ですよね。
N.Wさん嫌いだなって思う教科があると、勉強してても楽しくない。でも、それを打ち破ろうと思った時に、「未来の科学者」と今年の夏に伊豆大島のフィールドワークに行ったんです。
とてもいいタイミングでしたね。
N.Wさんそうですね。どちらも共通していることは、自分の肌で感じることで、それがより重要と感じられたのが「未来の科学者」でした。希望制でしたが参加してよかったと思っています。
ありがとうございました。とても重要なお話を聞くことができました。
未来の科学者を体験後、高校生になって活動の幅はどうなるの?
~3つの具体的な活動~
ここからは、未来の科学者を体験した生徒さんたちが高校生になると活動の幅がどのように広がっていくのか。先生に聞いてみたいと思います!
先生よろしくお願いします。
早速ではありますが、先ほど生徒さんにお話を伺いました、『未来の科学者育成プロジェクト』。これを体験した生徒さんがこれまででどのような活動をしていくのでしょうか?
先生そうですね。まず、内容的な部分をお伝えします。高校生になると色々なフィールドワークを体験します。活動の中で重きを置いていることは、未来の科学者で1年間かけて探究したことを更に知識を広げ、深さも増していけるようにすることです。
具体的にはどう行った活動があるのでしょうか?
先生色々なフィールドワークがあると言いましたが、それぞれに名前をつけているんです。その中でも、アカデミックフィールドワークは学術的にフィールドワークをしながら、国内外で国際的な研究施設の訪問などを行います。
海外にも行かれるんですね!今年はどこなのでしょう?
先生今年もハワイにいく予定です。中学校にもフィールドワークはあるんですけど、より国際的に活動の幅が広がるんです。
ハワイではどんな施設に行くんですか?
先生国立天文台のすばる展望鏡のハワイ観測所に行かせてもらえることになっています。
素晴らしいですね!
先生そうですね。それ以外でも、国内でも色々やっていて、10月の頭には筑波でも活動予定。あとは、12月終わりには静岡県の三島まで行って、国立遺伝研究所でアカデミックフィールドワークを行う予定です。
本当に様々な場所で取り組みをされているんですね。他にはどんな活動があるのでしょうか?
先生大学の理系研究室の訪問があります。今年は東京工業大学に行かせていただき、過去には東大や千葉大などの国公立大学にも行かせていただきました。
大学との繋がりもとても充実されているんですね。
先生そうですね。あともうひとつの取り組みとしては理系の企業見学があります。企業とコラボして研究をしていくというものになります。
なるほど。高校生になるとアカデミックフィールドワークと大学研究室訪問、企業見学の3つの活動をメインに活動が進んでいくということですね。
先生はい。特に企業訪問では、理系に進んで行った後にどういう風に就職していくのか。またどういう人生を歩んでいくのかというキャリア的な視点を持ってもらうようにという意味も込めて取り組んでいます。
フィールドワークでの探究だけだと思っていましたが、しっかりとキャリアの視点も見据えてプログラムを組んでいるんですね。すごく充実しているということが伺えます。
先生今後はこの活動を広げたいという思いから、高校から入ってきた生徒もハワイへのアカデミックフィールドワークに参加できるようになります。ですから高校から入ってきた生徒も含めて、東洋大学京北に入ってきたら理科的な部分だけを伸ばすだけではなく、キャリアや探究を通して様々なことを考えられる機会を作れるようにしています。
~理数教育からの大学選択はどうなっていくの?~
キャリアも見据えてプログラムを組んでいるというお話でしたが、大学を選ぶ理由としてもやはり理数系を選択している生徒が多いのでしょうか?
先生理数教育を盛り上げるような大学進学先は用意していますが、このプログラムに参加した子たちが、必ずしも理系を選択しているというわけではありません。
意外ですね。これだけ理系のプログラムを勧めているので多くの生徒が理系を選択するものだと思っていました。
先生理科の力をつけるためだけにやっているものではないんです。でも大学を選ぶ時にこの活動がきっかけになる生徒も勿論いますし、そうでない生徒もいるなというのが、実感としてはあります。
そうなんですね。
先生ただ、去年ハワイのフィールドワークに参加した生徒が、今年は哲学的な研修でまた別の海外フィールドワークに参加したいと言って積極的に取り組んでいることもあります。
とても意欲的な生徒さんもいるんですね。
先生理系関係のフィールドワークに参加したことで、自分の中での目標値が上がって、例えば学校以外で募集されているプログラムなどに参加して自分の力を磨く生徒もいます。
そういう風に視点を広く持っている生徒は何人か出て生きているので、それも成果であるのかなと思います。
フィールドワークは希望制だと聞きましたが、昨年に比べて希望する生徒は増えてきているんでしょうか?
先生全体としてすごく増えているというわけではないんですけど、必ず一定数の人数はいますね。10名から多くて20名くらいの人数が毎回集まっています。
でも毎回、参加したいという生徒さんが一定数いるというのはいい成果が出ていると言えますね。
先生面白い話で、毎回熱狂的なファンみたいな生徒もいまして。「あの子、毎回いるね」みたいな生徒もいるんです。
その話は面白いですね!
先生勿論、初めて参加する生徒もいるんですけどね。それぞれのプログラムで違う層がきていたりもする。そういう意味では本当に理科だけじゃなく、いろんな活動をうまく組み込みながらできているんじゃないかなと思っています。
お話を聞いただけでも、高校生になると国際的に活動の場が広がっているのがわかりますね。高校生の時にそういう機会があるというのは、人生に於いても貴重な経験になりますね!
もう少し東洋大学京北中学校のことについて聞いてみました!
~どのような生徒さんが東洋大学京北中学校にあっている?~
ここからは東洋大学京北中学校のことをもう少し聞いてみたいと思います。
先生はい。
基本的な質問となりますが、どのような生徒さんが東洋大学京北中学校にあっているのでしょうか?
先生例えば哲学とか、今の理数教育に通ずるところなのですが、好奇心旺盛で、いろんなことに興味がある子はうちでは活躍できる場面がたくさんあるのではないかと思っています。
なるほど。先ほどの生徒さんたちの研究のお話でも、面白い研究をしているお話がたくさん出てきました。
先生平等ってなんだろうとか、生物ってなんだろうとかね。哲学で考えてみれば、普段何気なく見ているこれってなんだろうとか。そういうことに興味が持てる子や、追究していこうという子はいいかもしれませんね。
なるほど。
先生それからもう一つ言えることは、じっくり物事が考えられる子がうちには向いていると思うんです。元気いっぱいな子だけど、落ち着いた時にはしっかりと一つのことについて集中して考えられる。
メリハリがある子が向いているんですね。
先生そうです。そういう子に入ってもらえると活躍できる場がたくさん見出せると思いますね。
~学習面のサポート体制は?~
次に、学習面でのサポート体制についてお聞かせいただきたいと思います。
先生はい。まず自習室が2つありまして、自習室1はこじんまりした部屋で、大学生のチューターが詰めていてくれるんです。
大学生のチューターさんがいるのは珍しいですね!
先生そうなんです。そのチューターさんに色々勉強を教えてもらえる。そういう部屋になっています。一方で、自習室2は衝立のある机で集中して勉強ができます。
自習室以外にも勉強ができる場所はあるのでしょうか?
先生廊下にも机が置いてありますし、職員室の前にも机が置いてある。放課後に勉強できるスペースをたくさん用意しています。
自分の好きな場所で自習ができるんですね。
先生そういう意味では、家ではスマホ、ゲーム、マンガなどの誘惑が多いから、学校で勉強してから帰るという生活パターンも作り出すことができると考えています。
学校内で生活パターンが習慣化できるというのはいいですね!
先生先ほどのチューターもそうですし、先生に「教えてください」とお願いしたり自習室を上手に活用する。これがうまく循環していけば、勉強を強要して勉強が苦になってしまうことって少なくなると思うんです。
勉強やりなさい!と言われ続けるのは確かに苦痛に感じてしまいますね。
先生さっきの生徒の話でも、ネガティブか、ポジティブかという話がありましたが、ポジティブに踏み出してもらえばいい回転が始まると思います。そういう態勢を整えているところが東洋大学京北の強みですね。
~カウンセリングサポートの体制は?~
最近親御さんからも聞かれることが多いですが、御校のカウンセリングサポートの体制についてはいかがでしょうか?
先生カウンセリングルームがあって、常時カウンセラーの先生が毎日1名ずつ、男性と女性が交代で配置されています。
男性と女性でそれぞれカウンセラーの先生がいるんですね。
先生そうですね。それで、生徒たちの相談や、保護者も相談できるような態勢になっています。
保護者の方も受けられるんですね。
先生そうなんです。あとは、いじめ対策ということについてはなるべく早く状況をキャッチして、スピーディに対応することを念頭に置いています。
具体的にはどのように状況を把握されるのでしょうか?
先生いじめ調査という、いじめアンケートというのを定期的に生徒にも保護者にもお願いをしています。そのアンケートから状況を探り、早期解決を心がけています。
そのいじめアンケートはどのような手段で周知しているのでしょうか?
先生今はデジタル系ですね。それが一番早く情報を回収できます。
そうなんですね。お話を聞いていて、カウンセリングのサポートも充実していることがわかりました。
~東洋大学京北中学校への通いやすさは?~
次の質問ですが、御校への通いやすさについて教えてもらえますでしょうか?
先生そうですね。駅からも割と近いところにあるので、特に通いづらいというところはないと思います。大きい交差点がありますが、道もきちんと整備されていますし。
私も今日ここまで来るのに白山駅を使いましたが、人通りも多く、活気があると感じました。
先生そうですね。茗荷谷駅の方に行くとなると少し距離もあるので、夜遅くなると不安な部分もありますが、白山駅からならば特に問題になることはないと思いますね。
ありがとうございます。
先生あとは、少し通いやすさとは別になってしまいますが、自転車通学は禁止になっています。
それには何か理由があるんでしょうか?
先生校庭を広く取るために自転車置き場を作らないということが一つですね。あとは、文京区は坂が多いんです。
多いですよね。御校に来るまでも坂を登ってきました。
先生自転車通学を禁止しているもう一つの理由は、自転車に乗って坂を下った時に、交差点の信号で止まらないで行ってしまったら事故に遭ってしまう。坂に慣れていない地域の人たちには危ないなと思っています。
そうですね。坂の下がすぐに大きな交差点になっていますから、考えるだけでも怖くなりますね。
先生近隣の方には不便かもしれないですけど、そういう理由もあって自転車通学はなしとなっています。
安全面を考えたら徒歩の方が断然いいですね。
~東洋大学京北中学校の入試合格に向けて準備すること~
次に入試合格に向けて生徒さんはどんな準備したらいいのかをお伺いできればと思います。
先生本校の入試問題は基礎的なことが中心なんです。基本的には小学校の教科書をしっかりと学習する。塾に通われていれば、塾の勉強をしっかりと行ってください。
なるほど。必ず点数を取れる問題を確実に取ることが大事なんですね。
先生そうです。基本的な問題で確実に回答率をあげられるような勉強をしてもらいたいと思います。難しいことを追い求めすぎて、「こんなところで点数を落としちゃった」というのが意外と分かれ目になるんです。
国語なら漢字の読み書き、算数なら計算問題などを落とさないということなんですね。
先生入試は100点を取る必要はないですよね。合格ラインに達することが目的なので、落としてはならないところをしっかりと固めていく勉強が一番必要となります。
基礎的な問題以外で、東洋大学京北中学校オリジナルの問題などは出題されますか?
先生各科目数問くらいはオリジナル問題が入っています。例えば国語なら150字で自分の意見を述べるとか。やはり哲学をやっている学校なので、入試でも考える問題は入れていくという方針となっています。
~入試合格に向けて親御さんが準備することは?~
生徒さんが準備することをお聞きしましたが、親御さんが準備することはありますでしょうか?
先生強いて言えば、100点を取ることではなく合格することが目的なので、あまり難しいことをやらせすぎないでください。
先ほどおっしゃっていたことですね。
先生或いは、これ落としちゃダメという問題をあまり間違えているようなら、「そういうところが大事なんだよ」という風に言ってあげてください。「あれもできない。これもできない」と焦るより、「これはできる。これもできる!」とお子さんに思わせてあげてください。
大事ですよね。
先生6年生も後半に来たら、やたら難しいものを追い求めすぎないようにサポートもしてあげてください。
~今年から始まる算数・理科入試ついてもお聞きしました!~
今年から御校では、算数・理科入試を導入したとお聞きしました。この試験を導入した理由や目的などをお聞かせください。
先生事の経緯としては、先ほど生徒たちも言っていた、理数教育に繋がります。
希望制の中学3年が「未来の科学者育成プロジェクト」のことですね。
先生順を追ってお話すると、中学生はKSST Jrの臨海実習などのプログラムがあり、中学3年生に「未来の科学者育成プロジェクト」があります。高校になるとKSSTとなり、アカデミックフィールドワークなどを行っていきます。
中学から高校まで6カ年のプログラムになるんですね。
先生はい。科学的、理科的な興味関心を探究し、新しいものや本物に触れたり、最後にはそれを発表する。そういった理数教育プログラムが6カ年をかけてようやく構築できたんです。
今までのお話でもかなり充実したプログラムが組まれていることを感じておりました。
先生体制が整ったので、じゃあ理科好きを集めよう!となったのが算数・理科入試を作った目的ですね。
なるほど。
先生うちは基本的には4科なのですが、2月1日の午後入試だけは2科にしているんです。今までは国語・算数だけだったんですが、そこに算数・理科という選択肢が加わりました。
理数系を推し進める御校らしいスタイルを入試にも組み込んだ形ですね。
先生理科が得意だ!理科が好きだ!と言う子が入学してくれる比率が少しでも高まればいいなと思いでいます。
他の学校では、1科入試と言うものも最近は増えて来ている印象ですが、理科1科目というのは導入予定はないのでしょうか?
先生ないですね。他校のように得意科目入試というのではなく、うちは6カ年のプログラムができたからシフトチェンジしたんです。
あくまで、6カ年のプログラムを中心に入試システムも考えられているんですね。
先生そうです。理科1科にしないのは、そういう目を引く入試ではなく、「未来の科学者育成プロジェクト」や、KSSTの理数教育プログラムを成長させること、そして生徒たちを成長させたいと言う思いなんです。
なるほどですね。
先生あくまで基本形で入試も進めていくのがうちのパターンです。そう言うスタイルの学校作りをこの10年間してきているので!
~受験生へのメッセージ~
最後になりますが、受験生に向けてメッセージをお願いします!
先生本校は、好奇心があれば、主体性を大事にいろんなことにチャレンジでき、哲学教育により物事を深く考える力を育てる学校です。生徒自身が色々と考えて、やりたいことを自分たちで進めて行く。そういう学校なので、自分を活かしやすい環境が整っています。周りもそういう雰囲気の生徒が大多数ですので、そのような環境で一緒に学んでくれる人が多くなれば嬉しいと思っています。
~ インタビューを終えて ~
哲学に力を入れる東洋大学京北中学校。
生徒は広い視野で物事を考え、向上心を持って探究やフィールドワークに取り組んでいることが印象的でした。
今年から算数・理科入試の導入も始まり、より一層理系に興味がある子との歩みを強化して行くことも伺えました。まさに「未来の科学者」を育てている、そんな素敵な学校だと感じました。
学校紹介動画
学校の特色
授業
6カ年一貫教育学習プログラム
「本当の教養を身に付けた国際人」を育てる6年間の成長
部活動
週4回のクラブ活動。メリハリをつけて取り組める
心身と技術を磨く部活動から趣味・興味を刺激する部活動まで、多彩な部活が揃っています!
学校行事
仲間との絆を深め、新たな自分を発見する体験が生徒の人間力をさらに高める
クラスの友人たちと発表、競技、実習などに打ち込む行事が豊富にあります。どの行事も集団の中で自分の役割を探し、チームに貢献するという過程を通じて、自分自身の特質を探し、成長することに繋がります。
合格実績
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