フェリス女学院中学校は「お嬢様学校」として高い知名度と人気を誇ります。この記事ではフェリス女学院を受験するにあたって、出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそもフェリス女学院中学校ってどんな学校?
フェリス女学院中学校はキリスト教系の学校で、系列校は中高大とあります。アメリカの改革派教会の婦人宣教師メアリー・エディー・キダーによって、1870年に創立された学校です。キリスト教信仰に基づく「For Others」を教育の柱に据えています。
疑問を持ち主体的に取り組む教育を大切にしていて、自ら学び自ら考える姿勢を育てている学校です。授業でも、実験・観察・研究レポート・小論文・プレゼンテーション・ディスカッションを取り入れています。
フェリス女学院中学校は中高一貫校であり、入学後の「低学年」のうちに基礎を固めます。各教科を細分化し、それぞれの教員が専門性を発揮した授業を実施。英語、聖書、国語作文では一つのクラスを二つに分ける少人数制授業を採用し、じっくりと指導しています。
キリスト教の学校ということで、児童養護施設や特別養護老人ホームを訪ねたり、社会事業やボランティアに携わる人々の話を聴いたりもします。国際教育活動も盛んで、AFSが主催する異文化体験プログラムにはホストスクールとして参加。留学生の受け入れを行っています。加えて、さまざまな国の方、あるいはグローバルな活動をしている方に講演会を実施しているのです。
フェリス女学院の入試概要
フェリス女学院中学校の入試について見ていきましょう。
2024年度の入試
フェリス女学院中学校の2024年度入試は2024年2月1日に行われました。募集人数は180人で、四科目の筆記試験と人物考査があります。
出願期間は2024年1月6日10時から14日23時59分まで。合否は2月2日13時にインターネット上での発表でした。入学手続きは第一次手続き(入学金納入)が2024年2月3日15時まで、第二次手続き(施設設備費納入)が2024年2月9日15時までとなっていました。
2024年度の入試倍率
フェリス女学院中学校の2024年度入試倍率は受験者数415人、合格者数は205人で、実質倍率は小数点第二位以下四捨五入で約2倍でした。
2024年度の入試倍率
受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|
2024年度入試 | 415人 | 205人 | 約2倍 |
フェリス女学院中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
フェリス女学院中学校の四教科の出題傾向は以下のとおりです。
国語の字数は増減が激しい
国語の試験時間は50分で配点は100点、大問は四つです。フェリス女学院の国語の字数は増減が激しいので、予測を立てるのが難しいところがあります。だいたい5000字から6000字が続いていましたが、一万字近く出たこともあるため、注意が必要です。
大問一・二の読解文は、物語文・随筆文などからひとつ、説明文・論説文などからひとつ出題されます。大問三で総合知識問題が出題され、大問四で漢字の書き取りが出題されるのが定番です。出題形式は選択問題や空所補充、記述問題などがあります。
一番難解なのは、条件を読んで自由に論述する問題です。内容は年度によってさまざまですが、二百字以内の文章を書かなければなりません。
算数は頻出単元が明確
算数の試験時間は50分で配点は100点、大問は五つです。頻出問題の傾向は比較的はっきりしています。大問一は計算問題と小問集合、大問二以下は単元別の出題です。
頻出単元として挙げられるのは、速さ、場合の数、数の性質、割合と比、平面図形などです。問題の難易度は大問ごとに差がありますが、標準問題が多めの構成になっています。そのため、標準問題で点数を落とさないようにしなければなりません。
理科は各分野からの出題
理科の試験時間は30分で配点は60点、大問は四つです。生物・化学・物理・地学の各分野から出題されます。記述問題が出題されるのが特徴です。記述問題は説明記述が複数問出題されます。
全体の問題数も少なくないため、解くのに時間がかかる点で注意しなければならないでしょう。実験・観察からの出題が多く、問題の中に図表が組み込まれています。問題文自体はそこまで長いものはありません。
社会は問題数が多い
社会の試験時間は30分で配点は60点、大問は二つから四つです。年度によって分野の比率は異なります。分野別に出るとも限らず、総合問題としてさまざまな分野がまとめて出題されるケースも少なくありません。
難易度は標準レベルで解きやすいといえますが、問題数は四十問以上出題されて多めです。
- 各教科とも問題の難易度は標準的
- 問題数が多いため時間配分に気を付けなければいけない
フェリス女学院中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
フェリス女学院中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
ジャンルは手広く押さえておく
物語文、随筆文、説明文、論説文など広いジャンルから出題されるため、さまざまな文章を読みなれておきましょう。字数も一万字近く出る可能性を想定して、どんなジャンルでも速読で対応できるようにしておくことをおすすめします。
記述問題で点をとるために
フェリス女学院中学校の記述問題は抜き出しや説明記述といった中学受験の定番から、提示された条件に合うよう自由に論述する問題まで幅広く出題されます。特に難しいのは自由に論述するタイプです。字数が二百字以内なので、量がある上、提示される条件も年度によって異なります。過去には、自分の考えを聞かれたり、登場人物の立場になっての説明を求められたり、さまざまな問題が出ています。
対策としては二百字程度で文章を書く練習から始めましょう。読解で二百字程度の記述問題を集中的にやるのもよいですし、問題文の要約を二百字程度で行うのもよいです。書いた後は必ず塾の先生や家庭教師に見てもらいましょう。
語彙力を身につけよう
できるだけ早いうちから語彙を増やすことを意識したほうがよいです。よく受験間際になって、語彙の本を買って一気に詰め込む子供がいますが、文章を読んでひとつずつ頭に入れるのとは違って、定着しづらいです。
普段から読解文を解く際にはわからない言葉の意味を調べ、その都度覚える習慣をつけましょう。
総合知識問題に対応できるように
フェリス女学院中学校では必ず総合知識問題が出題されるので、文法を改めて入れ直しておきましょう。まとめ教材を使って勉強し、苦手なところはテキストに戻ってやり直すことが大事です。
- 字数の多さを想定して、どんなジャンルでも速読で対応できるようにしておく
- 二百字程度の文章を書く練習をする
- 語彙力の強化はなるべく早くから取り組む
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
過去問をやり込んで出題傾向の把握を
算数の頻出単元はある程度決まっていますし、出題形式にも特徴があります。まずは、過去問を掘り下げて傾向を把握したいところです。
頻出単元としては速さ、場合の数、数の性質、割合と比、平面図形が挙げられます。この中で難易度の高い問題が出やすいのは場合の数と数の性質です。そのほかの標準レベルの問題は解けるようにしておきましょう。苦手な子供は集中的にやりこんでおきましょう。
難易度の高い「場合の数」と「数の性質」の対策
「場合の数」と「数の性質」は難易度が高いことが多く、どのレベルの問題まで解けるようにするかの見極めが大切です。
算数の平均点は2022年度が37点、2023年度が50点、2024年度が57点と低めなので、合格ラインがとれそうなら、ある程度は捨て問に回しても構いません。しかし、その判断で間違えないために、あらかじめ塾の先生や家庭教師と相談しておいてください。
速さ・割合と比は図やグラフ、線分図を使おう
速さや割合と比の問題は式だけではなく、図やグラフ、線分図を使う必要があるケースが多くあります。書き出せるよう練習をしておいてください。
平面図形の出題形式を押さえよう
平面図形では、角度を求める問題、面積比や面積の和・差、辺の長さを求める問題が多く出題されてきました。難易度は年度によって異なりますが、基本的な解き方の問題も少なからず出るので確実に解ける問題を増やしたいところです。
フェリス女学院では立体図形より平面図形が頻出で、立体図形の問題に見えても、必要な知識は平面図形といった問題も見かけます。
途中式を書く練習を
途中式を書くタイプの設問なので、練習をしておく必要があります。フェリス女学院の算数は冊子に直接解き方と答えを書くタイプです。一度、過去問の現物、もしくは印刷した冊子で練習しておくとよいでしょう。
途中式を雑に書く癖がついていると、失点の原因になります。
- 出題傾向と捨て問の判断力を養うために過去問をやり込む
- 図やグラフを書き出せるように練習をする
- 途中式をきちんと丁寧に書く習慣を付ける
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
記述対策が必要
理科では記述が数問出ます。二、三行にわたる説明記述に対応できるように慣れておくとよいです。短い文章内にキーワードを取りこぼさずに入れる練習をしましょう。
制限時間内に解ききれるかどうかを確認
解答用紙を見ると、明らかに記述問題の占める割合が大きいです。記述問題が多いということは、当然解く時間も長くかかります。理科はそもそもの問題数が多いので、時間を計って制限時間内に終わらせられるようにしておきましょう。
思考力を問う問題も
「妊娠中の身体にどんな症状が出るのか」など、思考力を問う問題もあります。体の仕組みを知っていればある程度推測できる内容です。
物理分野では作図の出題も
物理分野では作図の問題が出ることがあります。一例としては光の屈折が挙げられます。書けるようにしておきましょう。
- 記述問題が解けるように過去問をやり込む
- 時間を計って制限時間内に問題が解けるようにする
- 作図の練習をしておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
説明記述・考察記述がよく出る
フェリス女学院中学校は説明記述・考察記述をよく出題します。設問で問われている内容の背景を考察したり説明したりする問題です。出題された文章をよく読み込むだけではなく、因果関係を把握しなければなりません。用語だけ覚えているようでは、こうした問題ではまず得点できないため、前後関係や背景を学ぶようにしましょう。
問題数が多いので時間配分がカギ
社会科の問題数は2024年度こそ少な目でしたが、だいたい四十前後出ます。その中で、記述問題が多いということは、いかに時間をやりくりするかが問われることになります。当日と同じ時間配分で過去問に挑みましょう。
年度ごとの出題傾向の違いに対応しよう
社会は年度によって出題傾向の違いが顕著で、どの分野から多めに出題されるかわからないため、網羅的にやり込んでおかないと対応できません。
七割以上の得点を目指したい
年度によって合格者平均点は上下しますが、目安として七割以上得点しておきたいところです。そのためには、基礎レベルを確実に押さえておく必要があります。難易度自体はそんなに高くないので、社会の基本事項を頭に入れておきましょう。
ただし、一問一答のような問題だけで知識を固めてしまうと、比較的多めに出題される記述問題に対応できないので、テキストの解説ページを読み込むようにしてください。
- 当日と同じ時間配分で過去問を解く
- 分野を絞らずに網羅的に勉強する
- 七割以上得点するために、基礎レベルを確実に押さえておく
難易度は高くないが、記述問題が多くスピードが求められる
基本問題の占める割合が高いため、全体の難易度はそんなに高くありません。ただ、どの科目も問題数が多いので、時間配分がカギとなります。過去問を分析した上で、各科目各単元の基礎知識を頭に入れて、優先順位をつけて解いていきましょう。
基礎を完璧に解けていれば合格ラインに近づけます。そのため、迅速に捨て問の見極めができるかどうかも重要なポイントです。難問で時間をロスしてしまうと、合格点までとれない事態に陥りかねません。過去問をやり込んだ上で、現状の実力でどこまで解けばよいのかを塾の先生や家庭教師に相談しておいてください。
また、ケアレスミス対策も欠かせません。標準的な難易度である分ミスひとつで大きく差がつきますが、見直しをゆっくりしていられる問題数ではないので、一度で確実に解く力を身につけたいところです。
比較的、記述問題が多く考えをまとめる力やそれを表現する力に重きを置いた入試です。特に国語は二百字とまとまった字数の記述を求められるので、同程度の字数制限のある記述問題に慣れておいたり、文章を二百字程度に要約する練習をしたりして対策する必要があります。この際、必ずプロに添削してもらい、なにが減点ポイントになるかを把握しましょう。記述は自己採点しても、あてにならないので注意が必要です。