• 2024年10月23日

富士見中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

富士見中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

富士見中学校は、東京理科大学と教育提携していることで知られる中高一貫の女子校です。この記事では富士見中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも富士見中学校ってどんな学校?

そもそも富士見中学校ってどんな学校?

富士見中学校は1924年4月富士見高等女学校として発足しました。「純真・勤勉・着実」を建学の精神として掲げていて、学力および情操を育み、社会貢献できる女性たちの育成を目指しています。

「自分と向き合う力」「人と向き合う力」「課題と向き合う力」の三つに重きを置き、三つの分類をさらに細分化した「17の力」の定着化を図っています。

学業面では理科教育への注力も、富士見中学校を語る上で欠かせない要素です。2020年以降、東京理科大学と連携し、関係を深めています。「中等教育と高等教育との円滑な接続を測り、学びへの興味を深める」ことを目的とした協定です。「研究室見学会」や「オンライン説明会」「葛飾キャンパスツアー」などの見学に留まらず、実際に研究室で実験を行う「模擬実験講座」を定期的に開催しているのもその一環です。社会の課題を、当事者意識をもって理科的アプローチで解決していく女性を育てていこうとしています。

グローバル教育にも熱心で、留学や海外研修はもちろん、留学生との交流やディスカッションの機会も多くあります。加えて、模擬国連大会をはじめ、校内校外問わず英語のイベントに参加することが可能です。ICT教育にも重きを置いていて、全学年でひとり一台のiPadを使用し、各教室にはApple TVが整備されています。Google classroomを日頃からあらゆる場面で活用し、教員・生徒双方向での情報共有もしています。

富士見中学校の入試概要

富士見中学校の入試概要

富士見中学校の入試について見ていきましょう。

2025年度の入試

富士見中学校の2025年度の一般入試は三回に分けて行われます。第一回が2月1日土曜日女子100名募集、第二回が2月2日日曜日に女子80名募集、第三回が2月3日の月曜日に女子40名募集です。WEB出願の期間は第一回が1月10日金曜日0時から1月31日金曜日20時まで、第二回が1月10日金曜日0時から2月1日土曜日23時まで、第三回が1月10日金曜日0時から2月2日日曜日23時までで設定されています。

検定料は各23,000円です。ただし、複数回同時出願者が合格し、すでに入学手続きをしたため受けない回があった場合には、検定料が返金される制度があります。

なお、一般入試以外には2月2日日曜日に算数一教科入試も実施しています。WEB出願の期間は第二回一般入試と同様1月10日金曜日0時から2月1日土曜日23時までです。

帰国生入試もあり、こちらの日程および出願期間は一般入試三回分とまったく同じです。ただし、受験科目は国語・算数の二科目で、保護者・受験生の約30分の面接があります。面接の言語は日本語です。

入試区分日時(曜日)募集人数出願期間
第一回2月1日(土)100名1月10日~1月31日
第二回2月2日(日)80名1月10日~2月1日
第三回2月3日(月)40名1月10日~2月2日
一教科受験2月2日(日)20名1月10日~2月1日

2024年度の入試倍率

第一回の受験者数は290人で合格者数が122人、実質倍率は約2.4倍でした。第二回の受験者数は317人で合格者数が141人、実質倍率は約2.2倍。第三回の受験者数は206人で合格者数は58人、実質倍率は約3.6倍でした。一教科受験の受験者数は178人で合格者数は73人、実質倍率は約2.4倍でした。
実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。

入試区分受験者数合格者数実質倍率
第一回290名122名約2.4倍
第二回317名141名約2.2倍
第三回206名58名約3.6倍
一教科受験178名73名約2.4倍

富士見中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

富士見中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

富士見中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

比較的読みやすい文章が多い国語

国語は試験時間50分、配点100点で大問は三つです。大問一で漢字の書き取り、大問二と大問三は説明文と物語文(随筆文)からひとつずつ出題されます。

国語で出題される文章の難易度はそこまで高くなく、比較的読みやすい文章が多いです。説明記述問題は少なく、字数も五十字以内程度と少なめ。メインとなるのは選択問題です。特に、語句の意味や使い方、接続詞の使い方などを問う問題が多く、語彙力が問われる内容となっています。

算数は小問集合の割合が多め

算数は試験時間50分、配点100点で大問は四つです。大問一で計算と小問集合、大問二以降は単元別の出題となっています。小問集合では各単元の基礎的な問題が出題され、大問二以降は各単元の応用問題です。

しかし、際立って難易度が高い問題が出ることはありません。富士見中学校の算数の頻出単元は、平面図形や立体図形、速度、割合といった単元です。また、小問集合では特殊算の問題もよく出ています。

理科の大問は分野ごとに出題

理科は試験時間40分、配点60点で大問は四つです。生物・地学・化学・物理の内容が各大問に振り分けられています。受験対策で学ぶ類型的な問題が多く、奇をてらったような出題はありません。とりわけ、地学、化学、物理では計算問題がよく出題されています。

比較的難易度が高くなりがちなのは物理で、計算問題で失点する子供が一定数います。短い記述問題やグラフを書く問題もいくつか出るのが特徴です。

社会は総合問題なので横断的な理解が必要

社会は試験時間40分、配点60点で大問は二つです。どちらの大問も総合問題になっていて、分野を横断した構成となっています。リード文が長いのが特徴で、記号問題や語句を問う問題が多いです。

短い説明記述もあります。地理・歴史・公民の各分野から満遍なく出題されます。資料や地図、雨温図、グラフなどを使った問題が多いです。

ポイント
  • 国語は比較的読みやすい文章が多く、選択問題がメインで語彙力が問われる内容が中心
  • 算数は小問集合の割合が多く基礎問題が出題されるが、特に難易度が高い問題は少ない
  • 理科は分野ごとに出題され、物理の計算問題で失点する傾向が見られる
  • 社会は横断的な理解が必要で、リード文が長く資料や地図を使った問題が多い

富士見中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

富士見中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

富士見中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

漢字の書き取りで確実に得点できるようにしよう

大問一では漢字の書き取りが出題されます。「とめ」「はね」「はらい」を意識して読みやすい字を書けるようにしておきましょう。

筆圧が弱い子供は、日頃から意識してはっきりした字を書く癖をつけてください。字が薄いと「とめ」「はね」「はらい」が確認しづらくなりがちなので、注意して臨んでください。

語彙力をつけておこう

富士見中学校では言葉の意味を問う問題がよく出ます。語彙力が少ないと対応できないので、文章を読む際にわからない言葉を調べる習慣をつけましょう

ただ、言葉の意味だけを理解していてもダメで、文章の中で実際どう使われているのかを知っておく必要があります。読解文を解いているときに言葉の意味を調べたら、その単元の文章の中でどういう使われ方をしているかを合わせて覚えておくようにしてください。

接続詞に注目しよう

接続詞の使い方を問う問題も出るため、常日頃から接続詞が出てきたら、印をつけておくとよいです。特に説明文では意識的にチェックしましょう。それだけで論旨を把握しやすくなります。説明文の骨組みが見えてくるはずです。

指示語から内容を読み解こう

文意を把握するのが苦手な子供は指示語の差し示す内容を理解できていない傾向にあります。指示語が出てきたら、その指示語がなにを示しているのかを考えて、該当箇所に線を引いてみましょう。それだけで文章の意味がとりやすくなります。

説明文が苦手な子供は早いうちから要約を

説明文に苦手意識を持つ子供は多いです。そういう場合は形式段落に番号を振り、意味段落ごとに分けてから読んでみましょう。読み終わったら、意味段落ごとに要約を書いてみるとよいです。

説明文の内容すべてを一度に理解するのは難しくても、意味段落ごとなら内容が追える子供もたくさんいます。記述の練習にもなるので、やってみるとよいでしょう。

富士見中学校の国語対策
  • 漢字の書き取りを確実に得点するために「とめ」「はね」「はらい」を意識して日頃からはっきりとした読みやすい字を書くことを心がける
  • 語彙力を高めるため、わからない言葉はすぐに調べる習慣をつける
  • 説明文が苦手な子供は、形式段落に番号を振り、意味段落ごとに分けて読むことで理解を深め、要約を書く練習をする

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

計算問題で失点しないように

算数の合格者平均点は高く、七割から七割五分を目指す必要があります。そのため、計算問題をはじめ簡単な問題で失点していては不合格になりかねません。分数・小数を使った括弧の計算を解けるようにしておいてください。

過去問をやってみて計算ミスがあるようなら、計算問題集を日常的に一日何個と決めて取り組むようにしたほうがよいです。自分ではただのケアレスミスのつもりでも計算慣れしていないために起きたミスの可能性があります。

小問集合も全問正解を目指そう

平均点の高さから、小問集合でも全問正解したいところです。食塩水や割合、図形の出題が多いので、やり込んでおいてください。問題数があるので、素早く計算していかなければなりません。受験対策で学ぶ特殊算はすべてスラスラと使いこなせるようにしておきましょう

頻出単元は応用レベルまで解けるようにしよう

平面図形や立体図形、割合、速度などの頻出単元は解けるようにしておきたいところです。受験問題集の応用問題まで解けるようにしておきましょう。応用問題の中でも必要のない難易度の問題は塾や家庭教師の先生にアドバイスしてもらってください。奇をてらった問題が出るわけではないので、受験問題集をどれだけ丁寧にやり込めたかが問われます。

考え方や途中式を書く問題も出題

考え方や途中式を書かなければならない問題も出題されます。2024年度は大問四でひとつありました。得点できるよう、要点をわかりやすく書く練習をしておきましょう

富士見中学校の算数対策
  • 計算問題集を日常的に取り組む習慣をつけ、計算問題で失点しないように分数や小数を使った括弧の計算を解けるようにしておく
  • 受験問題集をやり込み、頻出単元は応用レベルまで解けるようにしておく
  • 要点をわかりやすく書く練習をしておく

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

基礎知識を問う問題は全問正解を

理科は基礎知識を問う問題が多く出るので、すべて答えられるようにしておいてください。各分野の基本問題をとりこぼしなく解けるようにし、語句は必要なものは漢字で書けるようにしておきましょう。

計算問題が多い

地学、化学、物理は計算問題が出やすく、中でも物理の計算問題は難易度の高いものも出題されます。計算問題はなるべく数をこなしておきましょう

理解した気になっていて、いざ本番となると解けない子供が多いです。なにより、計算問題は数が多いので、時間内にこなせることが大前提となります。迷っている時間はありません。

解き慣れておいて、スムーズに対応できるようにしたいところです。問題の難易度に合わせて、優先順位をつけて取り組むとよいでしょう。

グラフを書く問題に慣れよう

理科はグラフを書く問題もよく出ます。物理や化学では、単元ごとの解説をよく読み、変化のグラフを見ておきましょう。自分で計算をしてグラフに落とし込んでいく問題の場合は、ケアレスミスに気をつけてください。

富士見中学校の理科対策
  • 基礎知識を問う問題はすべて解けるように問題集をやり込む
  • 地学、化学、物理では計算問題が出やすいので、数をこなして解き慣れておく
  • グラフを書く問題では物理や化学の単元解説を読み、変化のグラフを理解しておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

リード文を素早く読もう

大問ごとに長いリード文があるので、素早く読み込みましょう。時間をかけてじっくり読み込まなくても、内容を把握する程度で大丈夫です。基本的にはメインの情報は各問題のほうにあります。しかし、どんなヒントが隠れているかはわかりませんから、読み飛ばさないようにしてください。

時事的な内容も自分の頭で考えよう

時事に絡めた問題は、資料や文章の中にヒントのある問題や、考えればわかる問題も多いです。「勉強していないから」と諦めるのではなく、一度自分の頭で考えてみるようにしましょう。

雨温図や地図、産業、工業、農業のデータを覚えよう

社会では資料を使った問題が多く出ます。特に地理では雨温図や地図、産業、工業、農業のデータがよく出るので覚えるようにしてください。各地域や県の特徴を頭に入れておきましょう

富士見中学校の社会対策
  • 長いリード文は素早く読んで内容を把握し、ヒントを見逃さないようにしておく
  • 時事に関連する問題は資料や文章の中にヒントがあり考えればわかることが多いので、知らない内容でも諦めずに一度自分の頭で考えてみる習慣を付ける
  • 資料を使った問題が多く出るため、各地域や県の特徴を頭に入れておく

失点をいかに防ぐかが大切

失点をいかに防ぐかが大切

富士見中学校は合格者平均点が七割を超える科目も多く、いかに失点しないで高得点をとるかが問われます。基礎知識の問題を確実に解き、頻出単元はひと通り解けるようにしておきましょう。

国語は漢字や語彙力、接続詞の使い方を身につけます。語彙力は一気に増えないので、日頃からの積み重ねが大切です。算数は大問一を全問正解できるよう仕上げて、大問二以下も受験問題集の応用問題をやり込んで対応できるようにしてください

理科は計算問題が多いので、難しい計算問題が出題されやすい物理を中心に数をこなしておいてください。地学や化学も計算問題は頻出です。社会は各地域や県のデータを覚えておかないと、地理分野で苦戦します。横断的な出題なので、地理は全ての下地になります。

科目ごとの対策については以上です。本番はどの科目も問題を解く順番を意識してください。難問でつまずいてタイムロスしないようにしましょう。

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