お茶の水女子大学附属中学校は、お茶の水女子大学と積極的に連携する男女共学の附属校として人気を集めています。この記事では、お茶の水女子大学附属中学校の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそもお茶の水女子大学附属中学校ってどんな学校?
1947年に東京女子高等師範学校附属高等女学校から学制改革で分離独立し、男女共学の中学校として発足しています。中等普通教育を行うだけではなく、中学校教育の理論及び実際に関する実践的研究と学生の教育実習を実施している学校です。
お茶の水女子大学附属中学校は共学ですが、多くの女子が進学する附属高校は女子校です。男子はあくまで中学までとなります。そのため、男子と女子では、お茶の水女子大学附属中学校の偏差値は大きく異なります。四谷大塚2024年度第三回合不合判定テストにおけるAラインの偏差値で男子47,女子65。18もの開きがあるのです。
なお、お茶の水女子大学附属高校からお茶の水女子大学に進学しているのは2024年度では現役7名既卒1名で、多くはありません。お茶の水女子大学とお茶の水女子大学附属高校の間には「高大連携特別選抜」という募集人数若干名の選抜枠がありましたが、こちらは2026年度入試を最後に廃止となります。
教育目標として、「自主自律の精神をもち、広い視野に立って行動する生徒を育成する」を掲げています。そうした目標を実現するための取り組みのひとつが「自主研究」です。お茶の水女子大学附属中学校では、「自主研究」として自分の興味・関心に基づく課題を設定し、自分なりに方法を考え研究し発表を行っています。
教育活動では、大切にしていることが三つあります。ひとつめは「科学的・論理的思考力の育成」です。理科の教育に代表されるように、事象のメカニズムをわかりやすく提示し、話し合いやレポート作成、プレゼンテーションを行います。ふたつめは「グローバルな視座の育成」です。英語の分割授業やALTの授業、グローバルキャンプ、スプリングイングリッシュを積極的に取り入れています。三つ目は「あたたかく深い人間力の育成」で、ボランティア活動や他校との交流を通して育んでいます。
お茶の水女子大学附属中学校の入試概要
お茶の水女子大学附属中学校の入試概要について見ていきましょう。
2025年度の入試
お茶の水女子大学附属中学校の入試は、2月3日月曜日に行われる予定です。国公立なので「入学検定」を受けます。一般学級は男子約20名、女子約25名の募集で、検査I、検査II、検査IIIの三種類の受検です。それぞれ、「理科」「社会」の知識・技能、思考・判断・表現等の力、および教科の枠を超えた思考・判断・表現等の力をみる検査(45分)、「国語」の知識・技能、情報活用能力・言語運用能力をみる検査(30分)、「算数」の知識・技能、数理的思考力をみる検査(30分)、を受けます。出願はwebで2024年12月11日水曜日から2025年1月7日火曜日23:59までです。
帰国生の受検もあり、2月5日水曜日です。第一学年が男女合わせて15名(ただしどちらも10名を超えないものとします)、第二学年が男女合わせて5名程度の募集です。出願期間は2024年12月1日日曜日から2025年1月7日水曜日23:59まで。検定料は一般学級・帰国生ともに5,000円に設定されています。
2024年度の入試倍率
2024年度の受検結果は男子52名受検、28名合格、実質倍率は約1.9倍。女子は201名受検、34名合格、実質倍率は約5.9倍です。なお、実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。帰国生入試は男子3名受検、2名合格、実質倍率は1.5倍。女子は6名受検、6名合格で全員合格しています。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
男子 | 52名 | 28名 | 約1.9倍 |
女子 | 201名 | 34名 | 約5.9倍 |
帰国生男子 | 3名 | 2名 | 約1.5倍 |
帰国生女子 | 6名 | 6名 | 約1.0倍 |
お茶の水女子大学附属中学校における各検査の出題傾向
お茶の水女子大学附属中学校の一般における各検査の出題傾向を紹介します。
国語はさまざまなジャンルの文章が出題
過去問を遡ると、さまざまなジャンルの文章が出題されています。読む力と同時に書く力が大きく問われる問題なので、記述の練習が欠かせません。
2024年度で扱ったテーマはゴリラについてとフェイクニュースについてでした。知識問題としては接続詞や指示語について問う問題が出ています。漢字の書き取りも出題されました。
算数は計算・小問集合・単元別の順に出題
算数は大問一で計算問題・大問二で小問集合・大問三、四で単元別の出題となっています。単元別の問題では、平面図形やグラフ、数の性質、グラフが頻出なので解けるようにしておいてください。考え方や解き方を説明する問題も複数出題されます。要点をまとめて提示する力が必要です。
なお、小問集合では既約分数から総和を求める問題、電子レンジについての計算、帯グラフの問題、水の体積の問題と、バリエーションに富んだ問題が出題されました。
理科は基礎知識を問う問題から
理科は基礎知識を問う問題と思考力を問う問題の両方が出題されます。頻出単元は生き物・物質の変化・力のつり合い・天体などです。2024年度は、脊椎動物や昆虫の問題、水に関する問題、温度変化の問題、星の日周運動の問題などさまざまな問題が出題されました。設問は会話形式のものが多いです。
選択問題が多いですが、記述問題も出題されていて、会話文を穴埋めする問題などが出ています。
社会は記述が多め
社会は地理や時事問題、公民、歴史、身の周りにあること・もの(交通安全・防災・ピクトグラムなど)についての問題が出題されます。記述は、会話文の穴埋めだったり、自分の考えだったり、問われた理由を述べたりする問題です。
2024年度は奈良・大阪・京都についての資料を見ながら、地理・歴史・公民についての問いに答える問題、身の周りの危険について考える問題が出題されました。2024年度は最後に60字から110字以内の記述が出ています。
- 国語は読む力と書く力が問われ、算数では考え方を説明する問題が多い
- 理科は会話形式で基礎知識と思考力を問う問題が多く出題され、社会は記述問題が多い
お茶の水女子大学附属中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
お茶の水女子大学附属中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
文章量は年度によって増減するので注意
国語の文章量は年度によって増えたり減ったりします。そのため、昨年度の問題を参考にするのではなく、数年分の過去問を通してイメージをつかんでください。
2024年度は比較的簡単だったので、2025年度は逆にレベルアップする可能性もあり得ます。
記述問題対策をしよう
国語は抜けている文を補充する問題や、空欄補充、抜き出し、自分の意見を記述する問題などがあります。2024年度は比較的書きやすい問題が出ていますが、これも年度によって差があるので過去問を数年分やり込んで、難易度の幅を把握しておきたいところです。一番難しいレベルの問題が出題されたときのことを考えて備えておきましょう。
文法問題を解けるようにしよう
接続詞や指示語を答える問題が出題されます。日頃から文章を読む際に、接続詞によってどう話が展開しているのか、指示語がなにを指しているのかを確認するようにしましょう。接続詞も指示語も文章を読んでいて、出てきた段階で傍線を引くとよいです。
- 国語の文章量は年度ごとに異なるため、数年分の過去問を通じて難易度や傾向を把握しておく
- 抜き出しや自分の意見を書く記述問題が出題されるため、過去問を数年分解き、幅広い難易度の問題に対応できるようにしておく
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算問題での失点を防ぐ
整数・小数・分数の四則計算が出題されます。慌てると計算ミスが起きやすいので、一度で正答を出せるよう日頃から数をこなして慣れておいてください。計算でミスをしやすい子供はなにかしら原因を抱えていることが多いのに、「考え方は理解できているから」とやり直さず放置してしまうケースが多々あります。
解き方を理解しているつもりでも、実は誤った考え方が定着化していたり、途中式を省略してミスを誘発してしまったりといったことが起きています。原因を特定して解決していかなければなりません。
小問集合の出題傾向に注目
小問集合ではよく数の性質、統計、図形などが出題されています。過去問はもちろん、類題も含めてやり込んでおきましょう。難易度は高くありません。基本が定着化していれば解ける問題だといえるでしょう。統計の問題は小問集合でも大問でもよく出ます。
アンケート集計が反映された図表を見て、その数字を手掛かりに計算をし、答えを導き出すような問題が多いです。データから正しい考察ができるかどうかが問われます。図形は平面図形も立体図形も出題されるので、どちらも解けるようにしておいてください。
作図の問題の出題
算数では作図の問題が出題されることがあります。2024年度も図形が描かれていて、それを見て点対称になる図形を作図する問題が出題されています。2023年度は定規とコンパスを使って設問で問われている範囲を示す問題でした。作図の出題に対応できるよう練習しておきましょう。
- 四則計算でミスを防ぐため、ミスにつながる原因を特定して一度で正確に解く練習をしておく
- 数の性質や統計、図形を含む問題に慣れるため、過去問や類題を十分に解いておく
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
知識を問う問題で失点しないように
思考力を問う問題が多いですが、知識問題も出題されます。知識を問う問題で失点しないように頻出単元を中心にとりこぼしのないように勉強しておきましょう。2024年度は、例年よりも問題の中で提示される資料が少なめだったため、基本的な知識にとりこぼしがあると、解きづらい問題でした。
思考力を問う問題では設問をよく読んで
思考力を問う問題では設問の中に、ヒントが散りばめられています。文章をよく読んで解くための手がかりを見つけましょう。理科であっても国語と同様に読む力、書く力が問われます。たとえば、会話文形式の空欄部分に当てはまる文章を考える問題が出題されます。
図表から必要なデータを読み取れるように
2024年度は2023年度よりも少なめでしたが、問題を解く上で参考にする資料が提示されます。図表やグラフから必要な情報を読み取る練習をしておいてください。データを参考に計算して答えを求める問題が出題されます。
- 知識問題で失点しないよう頻出単元を中心に勉強し、基礎知識を確実に身につけておく
- 思考力を問う問題では設問のヒントを見つけられるようにし、国語と同様に読む力や書く力を養っておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
全分野から出題されるので、地理を中心に覚え直しを
全分野から満遍なく出題されるため、抜け落ちがちな地理をはじめ、苦手な分野や単元を覚え直しておきましょう。地理はデータを見て考える問題が多いですが、各地域の特徴をあらかじめ頭に入れておけば、データを読み解くのに時間がかかり過ぎてしまうこともないでしょう。
2024年度は思考力系の問題が多め
2024年度の問題では、資料から情報を読み取って解く問題が増えています。思考力系の問題の数が多いので、隅々まで資料を読み込み、必要なデータをピックアップしていきましょう。過去問をやり込むのに合わせて、改めて関連する地図や資料を見直しておくとよいです。
記述対策が必要
自分の意見を文章にまとめる問題が出るため、百字程度で書けるように練習しておきたいところです。「意見」であれば「正解はない」と考える子供もよくいますが、なんでもよいわけではもちろんありません。問題や資料の内容から導き出された内容でなければならないのです。
2024年度は身の周りに潜む危険についてで、危険だと思った行動や状況をひとつ挙げてどのような事故が予想されるか、その危険を取り除くためになにができるかについて60字から110字で答える問題でした。
- 全分野から出題されるため、抜けやすい地理を中心に苦手分野を覚え直し、各地域の特徴を把握しておく
- 記述問題に対応するため、資料を基に自分の意見を百字程度で書く練習を行い、具体的な内容で解答できるようにしておく
読み取る力、書く力を鍛えて臨もう
お茶の水女子大学附属中学校の問題は、読解力、思考力、記述力がないとなかなか得点につながらない問題が出題されます。基礎知識を取りこぼしなく固めると同時に、思考力を問う問題にも対応できるよう練習しておきましょう。
国語は自分の意見をまとめる問題をはじめ、記述問題が出題されるので、練習しておきましょう。知識問題でよく出題される漢字や代名詞、接続詞についても対策しておいてください。
算数は計算問題が一定数出るので、ケアレスミスしないように解き慣れておいてください。小問集合は過去問を解くと出題傾向が見えてくるので、苦手な単元があれば克服しておくようにしましょう。
理科・社会では図表から必要なデータを読み取って思考する力が求められます。思考力問題では、文章やデータの中に解くための手がかりが隠れていますから、よく読み込んで挑戦するようにしましょう。各科目の過去問を分析して、対策を練ることをおすすめします。