本郷中学校は、文武両道を目指す豊島区にある男子校です。この記事では本郷中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも本郷中学校ってどんな学校?
本郷中学校は「個性を尊重した教育を通して国家有為の人材を育成する」を建学の精神としている学校です。教育目標に「強健」「厳正」「勤勉」、教育方針に「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」を掲げ、仲間同士切磋琢磨し、次世代のリーダーとしてふさわしい男子を育成しています。
「文武両道」を実現すべく部活に重きを置いていますが、中学での部活は週3日1回2時間以内、高校での部活は週5日1回3時間以内と決まっています。限られた時間で集中的に取り組むことは、勉強ともつながっているという考えです。自学自習の習慣も大切にしています。図書室や自習室、ラーニング・コモンズといった施設を目的に合わせて使えて、個人の自習から仲間とのディスカッションまでできる環境が用意されているのです。
本郷中学校では、ほとんどの生徒が本郷高等学校に内部進学し、外部受験する場合は進学辞退届の提出を必要とします。内部進学先の本郷高等学校は、卒業後の進路でも実績をあげていて、たとえば、東京大学13名(内現役10名)、京都大学2名(内現役0名)、一橋大学8名(内現役8名)、東京工業大学6名(内現役3名)といったように最難関レベルの国公立大学にも合格者を出しています。私立大学では早稲田大学127名(内現役94名)、慶應義塾大学94名(内現役65名)と、多くの合格者がいます。医学系大学には全部で73名(内現役55名)が合格です。
指定校推薦制もあり、慶應義塾大学(薬・法)、早稲田大学(基幹理工・創造理工・人間科学・商・文・文化構想・教育)、上智大学(理工)、青山学院大学(理工)、東京理科大学(工・理・経営・薬・創域理工)、学習院大学(理・文・国際社会科学)、北里大学(医・薬・獣医)、獨協医科大学(医)、東京都立大学(都市環境)他と充実のラインナップです。
本郷中学校の入試概要
本郷中学校の入試について見ていきましょう。
2025年度の入試
2025年度の入試の募集人数は男子280名で、内訳は2月1日(土)の第1回で100名、2月2日(日)の第2回で140名、2月5日(水)の第3回で40名です。インターネット出願の期間は第1回が1月10日(金)9:00~1月31日(金)23:59、第2回が1月10日(金)9:00~2月1日(土)23:59、第3回が1月10日(金)9:00~2月4日(火)23:59に設定されています。入学検定料は各回25,000円です。
2024年度の入試倍率
第1回は2月1日で受験者数461名、合格者数164名、実質倍率は約2.8倍。2月2日の第2回は受験者数1,238名で合格者数538名、実質倍率約2.3倍、2月5日の第3回は受験者数536名、合格者数41名、実質倍率約約13.1倍です。なお、実質倍率の小数点第二位以下は四捨五入しています。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
第1回 | 461名 | 164名 | 約2.8倍 |
第2回 | 1,238名 | 538名 | 約2.3倍 |
第3回 | 536名 | 41名 | 約13.1倍 |
本郷中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
本郷中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語はスピードを要するボリューム
国語は試験時間50分で配点100点、大問三つです。大問一は漢字の読みと書き取り、大問二、三で物語文、説明文という構成になっています。国語の読解文の大問は選択問題がメインですが、記述問題も大問ひとつにつき一問ずつ出題されています。
2024年度は説明文では八十字以内の記述が出題され配点は十点、物語文では八十字以上百字以内の記述が出題され配点は十二点でした。
算数はラストで図形が出やすい
算数は試験時間50分で配点100点、大問は五つ程度です。大問一は計算、大問二が小問集合、大問三以降が単元別の出題となっています。ラストの大問五では図形の問題が出ることが多いです。
立体の切断といった子供たちが苦手な問題も出題されるため注意が必要となります。計算問題が一問五点で、他の問題が六点であるケースが多く、問題ごとの点差はあまりありません。計算や小問集合も落とすことができません。
理科は全分野から満遍なく出題
理科は試験時間40分で配点75点、大問は四つです。各分野から大問がひとつずつ出題されます。実験や観察からの出題が多く、計算問題も出ます。過去問をやってみるとわかるとおり、比較的出題傾向がはっきりしています。
途中、リード文の長い問題もあり、限られた時間内ですべて解き終えるのはなかなか大変です。写真や図表の類もたくさん出ています。
社会は難易度の高い問題と低い問題が混在
社会は試験時間40分、配点75点、大問は三つです。社会もまた、地理・歴史・公民の各分野からの出題です。リード文の長い問題が出題されます。語句を答える問題や選択問題がメインです。
基本レベルの問題の中に難しい問題が混在しています。地形図や図表などを使った問題が出題され、情報を読み取る力が問われます。歴史はひとつのテーマを設定して、そこからさまざまな時代に切り込んでいく問題がよく出ます。2024年度は「マイナンバー」でした。時事問題や社会問題が切り口です。
- 国語は記述問題も含まれるためスピードが重視され、算数は単元別の出題と図形問題が出題される
- 理科は実験・観察を重視した全分野からの出題で、社会は基本問題と難問が混在し情報読解力が問われる
本郷中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
本郷中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
漢字の読み書きの対策を
漢字の読みを答える問題とカタカナの文字を漢字に直す問題が出題されています。難しい漢字が出るわけではないので、特別な対策はいりません。ただし、習った漢字は確実に書けるようにしておいてください。
また、文章題を解く際に知らない言葉が出てきたら覚えておきましょう。語彙力がないと、漢字を知っていても書けない可能性があります。
説明文で扱うテーマの難易度に慣れよう
本郷中学校の説明文の難易度は比較的高めです。2024年度には臓器移植の背景にある倫理的問題を問う内容が出ています。リバタリアン・パターナリズムの視点から臓器移植について問題提起をするといった、小学六年生が解くには難しい内容でした。
文中で学術的な用語の説明がいくつかありますが、おそらく説明を読んでもぴんとこない小学生は多いでしょう。日頃から社会問題について問題意識を持っていないと、文章の意味がわかってもかみ砕いて理解するのは難しいはずです。社会の時事問題対策にもなりますから、日頃から興味を向けたいところです。
物事を考える際には「なぜ」という疑問を大切にしましょう。疑問に思ったことは塾や家庭教師の先生、あるいは家族と共有し、考えを深めるきっかけにしてみてください。自分で関連する本を読むのもよいです。高学年になるほど、読書をする時間も取りづらくなりますが、読書はそれ自体が国語の対策になるので、時間が許す限りしておきましょう。
擬態語や熟語などの語彙力を増やそう
適切な表現を選ぶ問題や熟語を作る問題などが出題されています。日頃、読解文を読む際に、わからない言葉は必ず調べて頭に入れてください。語彙力を増やさないと解けない問題が出ます。
2024年度には「悪態をつく」の「悪態」の部分が空欄になっていて、候補の漢字の中からふたつ漢字を選び、正解の熟語を作る問題が出題されていました。この場合「悪態」という言葉だけを覚えていてもダメで、「つく」につながる言い回しを知っておく必要があります。また、前後の文脈から意味を推測する力も欠かせません。
- 日頃から社会問題に興味を持ち、出来る限り多くの本を読んで難しいテーマの説明文に慣れておく
- 語彙疑問を持つこと、語彙力をつけることが重要になる
- 読解文を読む際にわからない言葉を調べる習慣をつけ、文脈から意味を推測する力を養っておく
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算問題を確実に解けるようにしよう
計算問題の配点が他の学校より高めなので、確実に解けるよう、計算慣れしておいてください。受験生で多いパターンは「解き方は理解できている」という自負があるため、計算ミスがあっても「今回はたまたまケアレスミスをしてしまっただけ」として、ろくにやり直したり練習したりしないケースです。解きっぱなしの子供は計算ミスを繰り返します。やはり計算慣れをしておくことが大切です。
小問集合は全問正解を目指そう
本郷中学校では小問集合の配点も高く、単元別の出題と同じ6点であることが多いです。小問集合の中でも難易度差はありますが、単元別の問題よりは解きやすい問題が多いので、確実に得点できるようにしておきましょう。仕事算、相当算、平均算、水槽算などがよく出ます。
頻出単元の対策をしておこう
算数は比較的出題傾向がはっきりしている科目なので、過去問をやり込んで、頻出単元の対策をしておきたいところです。単元別の出題では、速さ、平面図形、立体図形、場合の数、数の性質、グラフなどが出題されます。過去問を解いてみて、苦手な単元があれば、やり込んでおいてください。
- 計算問題と小問集合では確実に点を取る必要があるため、間違えた問題は必ずやり直すようにする
- 速さや図形などの頻出単元を過去問などで重点的に対策し、苦手な単元を克服するようにする
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
頻出単元は比較的はっきりしている
理科はすべての分野からそれぞれ出題があり、ボリュームたっぷりなので、スピーディーに処理していかなければなりません。そのためにも頻出単元をしっかりとやり込んでおく必要があります。
中和反応や力のつり合いは計算問題でよく出るので解けるようにしておきましょう。観察や実験の問題も頻出なので、押さえておきたいところです。
時間配分に気をつけよう
理科はリード文の長さや資料の多さから問題自体にボリュームがあるため、過去問を解く際には時間配分のイメージトレーニングをする必要があります。2024年度は一問あたり1点~3点でした。2023年度は一問4点の問題も出題されています。問題数が多い分、一問あたりの点数は低めです。
合格ラインに届くよう効率的、効果的に解く必要があります。計算問題や記述問題といった時間のかかる問題も混在しているため、解く順番を考えながら挑みましょう。
- 中和反応や力のつり合い、観察や実験問題はよく出るので、確実に解けるようにしておく
- 問題の量が多いため、過去問で時間配分を意識して解く練習をしておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
情報を読み取る練習を
地理では毎回地形図が出ますし、グラフが出ることもあります。必要な情報を読み取り思考させるタイプの問題です。地形図は必ず読めるようにしておきましょう。また、グラフは苦手意識のある子供も多いので、過去問で慣れておいてください。
時事を切り口にしたテーマも
社会の大問では、時事を切り口にテーマを展開することがよくあります。時事問題や社会問題には日頃から関心を持っておきたいところです。
社会の一問あたりの点数差は小さい
社会の一問辺りの点数は1~3点程度です。1点か2点の二種類しかない年度もあります。しかし、点数差の小ささに反して問題自体は難易度を見ると意外にもばらつきがあります。
そのため、まずは簡単な問題を確実に解くようにするとよいでしょう。問題数が多く時間的にタイトなので、解けない問題は後回しにしてください。得点しやすい平易な問題として、空欄補充で語句を書く問題が出ます。漢字で書くべき答えは必ず漢字で書くようにしましょう。
- 地形図を読めることが必須になる
- 時事をテーマにした問題がよく出るので、日頃から時事問題に関心を持っておく
- 問題数が多く時間がタイトになるため、解けない問題は後回しにして簡単な問題から確実に解く習慣をつける
問題ごとの点数差が小さいのをどう生かすか
国語以外の科目は問題ごとの点数差が小さいので、その条件をどう生かすかが問われます。国語は難しい問題や記述問題の配点が高いので、そうした問題を一問でも多く解いて点数差をつけたいところです。算数・理科・社会は問題ごとの点数差が小さいので、とにかく解ける問題を確実に解く姿勢が求められます。特に理科と社会は問題量の割に時間が40分と短く、時間のかかる問題を後回しにしないと、あっという間に時間切れになりかねません。
算数は計算問題と小問集合を全問正解するつもりで解きましょう。
理科は時間のかかる計算問題は後回しでも構いません。過去問をやり込んで自分にとって効率よい順序を把握するようにしてください。
社会は出題傾向がここ数年変わらないので、問題自体の対策はしやすいです。一問辺りの点数差が少ない割に難しい問題と平易な問題が混在しているので、解ける問題を見極めましょう。理科も社会もボリュームが多いので、本郷中学校ならではの問題に慣れるところから始めたいところです。
過去問を通して頻出単元や出題形式を把握することが得点に直結しやすい学校なので、間違えた過去問は類題まで含めて取り組むようにしてください。過去問の点数に気をとられて復習が疎かにならないことが大切です。