立教女学院中学校はキリスト教の教えを大切にする中高一貫の女子校です。この記事では、立教女学院中学校を目指す家庭に向けて国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも立教女学院中学校ってどんな学校?
東京都杉並区にある立教女学院中学校は、すべての人間が神の前には等しい意味と価値を持っていることを女子教育でもって実現しようとした学校です。1877年、米国聖公会の宣教師チャニング・ウィリアムズとその協力者クレメント・T・ブランシェによって設立された立教女学校から始まりました。
立教女学院中学校の特徴として、創立以来ずっと制服がない点が挙げられます。制服に近い雰囲気の私服の着用が伝統です。
カリキュラムは先取りで進んでいきます。中学三年生で高校の先取授業を行い、高校では進路に合わせて高校二年生・三年生でコース制を採用。中学校・高校ともに英語は学習習熟度別のクラス編成となっています。
ボランティアに注力しているのも立教女学院中学校の特徴です。土曜日に有志のボランティアグループが各施設を訪問しています。休暇中には希望者による老人ホームへのボランティアキャンプ、他にも老人ホームのためにクリスマスカードを作成しています。
ARE学習を推し進めているのも立教女学院中学校ならではです。AREとは求め(Ask)、調べ(Research)、言語化して発表する(Express)学習を指します。中学校では「地域調査と読書教育」「修学旅行事前学習」「平和と人権」などをテーマに据えて学びます。
立教女学院中学校の入試概要
立教女学院中学校の入試について見ていきましょう。
2025年度の入試
一般入試が2月1日で約120名、帰国生入試が同じく2月1日で若干名です。出願期間は1月10日金曜日から1月25日土曜日で受験料は30,000円に設定されています。
2024年度の倍率
一般入試は274人が受験し、129人合格。実質倍率は約2.1倍でした。帰国生入試は43人が受験し、24人合格、実質倍率は約1.8倍でした。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
一般入試 | 274名 | 129名 | 約2.1倍 |
帰国生入試 | 43名 | 24名 | 約1.8倍 |
立教女学院中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
立教女学院中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語は説明文と物語文二つが出題
国語は試験時間が45分、配点が90点で大問はふたつです。説明文と物語文がひとつずつ出題される構成で、漢字の読み書きも組み込まれています。選択問題がメインですが、各大問にひとつずつ、大きな解答欄での記述問題が出題されます。
マスはなく百字程度書けるスペースがあるのみです。読解だけではなく総合知識問題も出て、その中には漢字の読み書きもあります。
算数は大問一が計算と小問集合
算数は試験時間が45分、配点が90点で大問が四つです。大問一が計算と小問集合、大問二からは単元別の出題となっています。大問一の問題数が最も多い構成です。
大問一の難易度は前半が易しめで後半にいくほどレベルが上がります。小問集合というと、簡単なイメージがありますが、最後のほうはレベルが高い問題が出題されがちです。大問二以降は、ひとつの大問につき小問が四つ程度。頻出単元は立体図形、速さ、数列です。
図形は求積問題や切断の問題などがよく出ます。基本的に解答だけを書き込む形式です。展開図に線を引く問題も出ています。
理科は選択問題がメイン
理科は試験時間30分、配点は60点で大問が四つです。基本的に選択問題で計算問題も出題されます。各分野が四つの大問にそれぞれ出題されていて、満遍なく知識を問われる構成です。
グラフを読む問題もよく出ます。基礎知識の問題が多いですが、やや難しい問題も混在していて、そこで点差がつく作りになっています。頻出単元は生き物、力のつり合い、水溶液の性質などです。物理や化学は特に計算問題が出やすい傾向にあります。
社会の大問はすべて横断的な出題
社会は試験時間30分、配点60点で大問が三つです。リード文が長く問題数が多いので、素早く解いていかなければならない内容となっています。
知識として問われているのは基本的な内容であることが多いです。大問が分野別に出題される年度と総合問題として出題される年度があります。
総合問題の年度の場合は、横断的な出題となっています。各地域や各県の特徴と絡めた出題が多いので地理の知識を入れ直しておきましょう。
- 国語は選択問題がメインだが各大問で記述問題があり、読解力、総合知識、漢字の知識が問われる
- 算数の計算と小問集合は進めるにつれて難易度が上がる構成で、立体図形、速さ、数列が頻出単元
- 理科は各分野からバランスよく出題され選択問題が中心で、やや難しい問題で差がつきやすくなっている
- 社会は年度によって分野別、総合問題、が分かれ、リード文が長く問題数が多いのが特徴
立教女学院中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
立教女学院中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
字数は受験問題としては平均的
字数は6000字から8000字程度なので、受験問題としてはよくある分量といえます。
ただし、一度過去問を実際に解いてみて、どのぐらいの速度で読めば間に合うかを確認してみてください。必要に応じて速読の練習をしましょう。
説明文を読む練習をしよう
説明文に苦手意識を持つ子供はとても多いです。テーマや文体を小難しく感じて身構えてしまうケースは少なくありません。読んでいるうちに、書いてある情報が頭から抜け落ちてしまうという子供もいます。
その場合は形式段落に番号を振り、意味段落に分けましょう。それから、意味段落ごとに内容を要約していきます。意味段落の要約をすべて終えたら、段落順に読んでみましょう。文章の伝えたいテーマが理解できるはずです。要約をすると読み取る練習だけではなく、記述の練習にもなります。
物語文は長めでも読みこなせるように
立教女学院中学校の特徴として物語文がふたつ出題される点が挙げられます。物語文が苦手な場合は、登場人物の整理と場面転換の整理をして読む習慣をつけましょう。登場人物それぞれの心情を色分けして線引きし、場面が変わるごとに印をつけます。
100字程度の記述にどう対応するか
100字前後の記述が各大問に出題されるため、解けるようにしておかなければなりません。字数が多くマス目もないので、まずは解答欄に収まる文章を書くことに慣れておく必要があります。要点を押さえてまとめられるか試しておきましょう。
総合知識問題対策を
語彙の問題や漢字の問題が出るので、確実に解けるように仕上げておきましょう。漢字は難しい字は出ないので、日々コツコツ勉強できているかが問われます。他には語彙力を問う問題が出題されます。
- 試験の文章量は標準的なので、過去問で時間内に読み終えるかを確認し、必要により速読の練習が必要になる
- 物語文は登場人物と場面転換を整理しながら読む習慣をつけ、登場人物の心情には色分けして線引きする癖をつける
- 漢字では難解な漢字は出ないが、語彙力が問われるので日常的な学習が大事になる
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算問題を確実に解けるように
立教女学院中学校では大問一で計算問題が三つ出ます。計算ミスを誘うような問題ばかりなので、計算慣れしておきましょう。計算力に自信がないのであれば、計算問題集を日々コツコツと説き進めておくことをおすすめします。
計算問題は正確さとスピードの両方が大切です。回りくどい解き方はせず、最短の解き方で得点しましょう。
小問集合で得点するためには特殊算を覚えよう
大問一の小問集合を解くために、頻出である特殊算を身につけておいてください。流水算の出題が多いです。食塩水の濃度やつるかめ算も含めて、一通り解けるようになっておきましょう。
平面図形と立体図形を確実に解けるように
平面図形と立体図形は頻出単元です。その中でも求積問題や点の移動や図形の移動、立体の切断などがよく出ます。図形に苦手意識がある子供は、一度さかのぼって基礎からやり込んでおいてください。補助線、相似や角度、比などを使った解き方を身につけておきましょう。
数の規則性、数の性質、場合の数の問題を解けるようにしておこう
数の規則性や数の性質、場合の数の問題も大問でよく出ます。この辺りの単元は問題のバリエーションが多いので、過去問をチェックして類題をやり込むところから始めましょう。作業量の多い問題が出やすい単元でもあります。時間との戦いになるので、過去問で時間配分を意識できるようにしておきましょう。
大問は過去問と出題単元がよく被るのでチェック
頻出単元が明確なので、過去問を解いてみてわからなかったり間違えたりしたところは、すかさず類題をこなしておくと、確実に得点力になります。立教女学院中学校の算数では、昨年出た単元がそのまま翌年にも出題されるケースが珍しくありません。
- 日々計算練習を重ねて確実に解けるようにし、正確さとスピードを意識して最短の解法を身につける
- 過去問で確認しながら類題をやり込み、作業量の多い問題も時間配分を意識して取り組む
- 出題傾向が明確なため、頻出単元や苦手な単元は過去問でしっかりチェックし、すぐに類題をこなして安定した得点力を確保する
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
物理と化学は計算問題を解けるように
理科では計算問題が出題されます。とくに計算問題がよく出る分野は物理と化学です。中でも物理の「力のつり合い」は苦手な子供が多い傾向にあります。
解ける気になっていても、いざ問題を解かせてみるとミスをしてしまう子供が少なくありません。なるべく数をこなして、問題が出たら即座に手を動かせるぐらいに仕上げておきましょう。難易度自体はそう難しくないはずです。
生物は思考力を問われる問題も
生物は基礎知識を頭に入れておくのはもちろんですが、文章や資料を見て考えるタイプの問題も出ます。たとえば2024年度はグラフを見て積算温度を考える問題がありました。
思考力を問うタイプの問題は、身構えてしまいがちですが、問題文をよく読み資料から必要な情報をピックアップすれば解けます。一見して難しそうだからといって諦めないでください。珍しい問題でも、難易度自体はそこまで高くないケースが多いです。
実験に関する知識を頭に入れよう
実験についての出題もあります。道具の名前や手順を理解しておきましょう。実験においてやってはいけないことも押さえておいてください。実験に関連する計算問題も解いておきましょう。
- 物理と化学の計算問題に慣れ、特に「力のつり合い」を多く解き、即座に解き始められる力を身につける
- 基礎知識を身につけた上で、文章や資料をしっかり読み取り、問題文から必要な情報を抽出する力を養う
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
記述問題はなく知識を問う問題が多い
記述問題は出題されません。一般的な基礎知識を問う問題が多くを占めています。そのため、全分野の基礎を頭に入れておくことが大切です。公民分野は日頃から社会問題にまで目を向けておきましょう。
日本地理を頭に入れよう
地理の知識を頭に入れるようにしてください。各地域や県の特徴を理解していないと解けない問題が出題されます。地域ごとの雨温図をはじめとするデータも覚えておきましょう。
世界地理や国際関係を頭に入れよう
立教女学院中学校の特徴として、世界地理や国際関係の問題が出題されやすい点が挙げられます。あまり中学受験対策で扱わない分野なので、中学受験テキストとは別に頭に入れておきたいところです。
塾や家庭教師の先生に頼んで、立教女学院中学校対策として教えてもらってください。時事と絡めて知識を入れておくとよいです。
三権分立と日本国憲法を覚えよう
公民分野は三権分立や憲法の問題がよく出題されます。三権分立についてはテキストを読み理解を深めてください。2025年度は選挙と関連付けた出題がある可能性もあります。日頃から時事についてチェックしておきましょう。
歴史は並べ替えの問題に対応できるように
歴史はできごとを時代順に並べ替える問題が出題されることがあります。基礎知識を入れると同時に、歴史的なつながりを把握しておいてください。時代別に大まかな流れを人に説明できるようにしておきましょう。
- 記述問題は出題されず、基礎知識を問う問題が多いので全分野の基礎をしっかりと頭に入れておく
- 世界地理や国際関係は中学受験テキストでは賄えないため「立教女学院中学校対策」として別で教わった方が良い
- 公民分野では三権分立や憲法に関する問題が多く出題されるため、テキストを読み理解を深め、時事問題にも目を向ける
標準的な問題でどう失点を防ぐかが問われる
立教女学院の問題は標準レベルの占める割合が大きいです。難問も少しは混在していますが、奇問はありません。
国語は100字程度の記述に対応できるようにしておきましょう。長い記述は苦手な子供が多く、要点を押さえないまま字数稼ぎをしてしまいがちです。塾や家庭教師の先生に添削してもらい、得点できる回答を目指してください。
算数の大問は過去問の出題傾向を押さえた内容が多いです。そのため、まずは過去問を解き、解けなかった問題の類題をやり込むことをおすすめします。計算問題も過去問でミスをしているようであれば、計算問題集を一日一ページ等決めて進めていくのがよいでしょう。
理科はすべての分野から出題されます。基礎知識や計算力を固めておいてください。思考力を問われる問題にも慣れておきましょう。解いたことのないタイプの問題でも、問題文と資料をじっくり読めば解けるケースが多いです。
社会は分野別に出題される年度もあれば、総合問題の年度もあります。どちらにしてもリード文が長いので、問題数が多い年でも素早く解けるように練習しておいてください。日本だけではなく世界の動きと絡めた問題もよく出ます。