城北中学校は大学進学に力を入れている学校です。この記事では城北中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも城北中学校ってどんな学校?
城北中学校は「人格形成と大学進学」のふたつを教育目標として掲げる学校です。多様性社会を生きていくための視野の広さを育てながら、次のステージに向けて社会の第一線で活躍できるよう後押ししています。
中高一貫教育の城北中学校では、三期体制を実践しています。三期とは、中学一・二年生の「基礎期」、中学三年生と高校一年生の「錬成期」、高校二・三年生の「習熟期」です。文理選択は習熟期から始まります。
教育目標である「人間形成と大学進学」の実現のために勉強はもちろん、行事やクラブ活動も活発です。温水プール、柔道場、弓道場にテニスコートと、スポーツをするための施設も整っています。
2024年度の進学実績の一部を紹介すると、東京大学7名、京都大学7名、東京工科大学10名、一橋大学9名、慶應義塾大学58名、早稲田大学83名と難関大学への合格者を多数出しています。
城北中学校の入試概要
城北大学の入試について見ていきましょう。
2024年度の入試倍率
城北中学校は三回に分けて一般入試を実施しています。第一回は受験者数407人、合格者数138人、倍率は約2.9倍。第二回は受験者数561人、合格者数297人、倍率約1.9倍、第三回は受験者数255人、合格者数54人、倍率約4.7倍です。
なお、問題の難易度としては第二回より第一回と第三回のほうがやや易しい傾向にあります。
2024年度の入試倍率
受験者数 | 合格者数 | 倍率 | |
---|---|---|---|
第一回 | 407人 | 138人 | 約2.9倍 |
第二回 | 561人 | 297人 | 約1.9倍 |
第三回 | 255人 | 54人 | 約4.7倍 |
2024年度の入試
第一回は2月1日実施で募集人数は115人、第二回は2月2日実施で募集人数は125人、第三回は2月4日実施で募集人数は30人でした。
第一回の出願期間は1月10日9時から1月30日23時まで、第二回の出願期間は1月10日9時から2月1日23時まで、第三回の出願期間は1月10日9時から2月3日23時までです。受験料は一回あたり25,000円でした。
合格発表は第一回が2月1日19時から2月4日14時、第二回が2月2日20時から2月4日14時、第三回が2月4日19時から2月5日16時です。
城北中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
城北中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語は読解ひとつと漢字の書き取り
国語の試験時間は50分、配点は100点で、大問は二つから構成されます。大問一が読解、大問二が漢字の書き取りです。長い文章を的確に読む力が求められます。小説文が出るか説明文が出るかはわからないので、両方対策しておきたいところです。
一万字ほど出題される年度もあるため、速読が必須となっています。出題形式は選択問題、書き抜き、記述とバラエティに富んでいて、記述の占める割合も比較的多めです。
算数は図形が頻出単元
算数の試験時間は50分、配点は100点で、大問は五つ程度から構成されます。大問一が計算、大問二が小問集合、大問三以降が単元別の出題です。
特徴として図形が頻出である点が挙げられます。図形は立体図形も平面図形も解けるようにしておきましょう。
出題順は難易度順になっていて、標準レベルの問題が多いです。最後の大問だけはやや難しい問題が出題されます。解答用紙は答えのみを記入するタイプです。
理科は計算問題が多い
理科の試験時間は40分、配点は70点で、大問の数は年度によってばらつきがあります。各分野から、知識問題、図表の読み取り、計算問題などが出題され、バランスのよい構成です。
実験・観察からの出題も多いので、器具の名前、手順はもちろん、結果をまとめたグラフの読み方、問題の解き方などを覚える必要があります。
社会は国内の問題が中心
社会の試験時間は40分、配点は70点で、大問は三つです。
歴史・地理・公民のそれぞれから出題されます。地理は地図がよく出るので読めるようにしておきましょう。歴史は日本史が多く、他国の歴史が出題されることはほとんどありません。公民は憲法や人権、三権分立について押さえておきましょう。
- 難易度はそこまで高くないが、時間は割とタイトになる
- 受験問題集の内容から大きくそれた問題はあまり出ない
城北中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
城北中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
漢字の書き取りで失点しないように
毎年必ず漢字の書き取りが出題されるので、漢字の勉強には日々力を入れておきましょう。
塾や家庭教師の授業で日頃から漢字の小テストを受けている場合は、返却されたテストを保管しておき、間違えた問題を確実に解けるようにしていきます。いったん書けるようにしても、時間が経てばまた忘れてしまうものなので、定期的な復習も欠かせません。
また、漢字の書き取りはとめはねはらいも重要になります。どうしても字を雑に書いてしまう子供はいるので、習慣から直していかなければならない場合もあります。不安がある場合、低学年から「かきかた」や「書道」の習い事に通っておくのもよい方法です。
速読を身につけよう
一万字近い出題も珍しくないので、速読をできるようにしておきたいところです。速読というと、読み飛ばすようにして解く子供がいるのですが、それでは得点につながりません。読み飛ばしが目立つ子供には音読をさせるところから始めましょう。時間はかかりますが、声に出すことで、一文一文を飛ばさない習慣が身につきます。
音読に慣れてきたら、早口で読む練習をしましょう。淀みなく読めるようになってきたら、速読の練習開始です。速読は最初一分500字程度を目指し、徐々にレベルアップしていきましょう。一分700字程度は読めるようにしたいところです。目標時間を設定し、意識的に取り組むことで少しずつスピードアップすることが可能です。
記述問題に対応できるようにしよう
城北の記述問題の字数はそんなに多くないので、短くまとめる練習をしておきましょう。過去問でよく出る字数はだいたい50字から100字程度なので、似たような字数で答える問題を集中的に解くとよいでしょう。
- 漢字の書き取りは必出単元のため、日々の勉強と復習が重要
- 出題文章の文字数が多いため、速読の練習が必要
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
合格者平均点が高いため、失点できない
城北中学校の算数の合格者平均点は2024年度の場合、第一回が74点、第二回73点、第三回が85点です。回によって点の開きはありますが、八割五分以上とらなければならない可能性を想定して、受験に臨む必要があります。
城北中学校の問題は大問五を除いて標準レベルでまとめられているケースが多いです。そのため、大問五以外は解けるようにしておきましょう。
計算問題は二問。確実に正解しよう
計算問題は二問で、分数と小数が混ざっていて、カッコを使用するタイプの問題がよく出ます。落ち着いて解かないとミスしやすい問題なので、確実に正解できるようややこしい計算問題に慣れておきましょう。
計算問題は実力以上に「自分は解ける」と思い込んでいる子供が多いです。理屈は理解できるため、ミスを頻発していても、「でも理解できているから、本番は大丈夫だろう」と考える向きがあります。しかし、そうした子供はやはり本番でもミスをしやすいです。油断せず、毎日計算を何問か解く習慣をつけてください。
図形に慣れておこう
頻出単元は図形であり、複数の問題が出題されるため、図形問題に慣れておきましょう。
城北中学校では大問だけではなく、小問集合にも図形の問題はたくさん出ます。そのため、多い年度だと図形問題が半分を占めるほどです。集中的な対策が必要となるでしょう。平面図形が多めですが立体図形も出題されます。
速さの問題はグラフを使った問題が中心
速さの問題もよく出題されています。グラフから読み取って解くタイプの問題が多いので、ピックアップしてやり込んでおいてください。速度の問題は二人が移動するタイプの問題が多いです。
- 標準レベルが多い計算問題は確実に解けるようにしておく
- 図形の問題がとにかく多いので、過去問や問題集で慣れる必要がある
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
出題分野の順番を意識して
大問の配置は例年、物理、化学、生物、地学の順番になっています。単元ごとに得意不得意があるでしょうから、スピーディーに解くためにはどういう順番で解けばよいのか早めに把握しておきましょう。
また、どの分野が解きづらいか早めに確認して、各分野に応じた勉強をする必要があります。
図表・グラフから情報を読み取る問題が多い
理科は実験・観察からの出題が多く、図表・グラフから情報を読み取らなければならない問題が多いです。過去問をやって慣れておきましょう。
記述問題はないが、制限時間に注意
記述問題は出題されないのですが、計算問題は多いです。問題数はそこそこあるので、時間配分に気をつけないと解ききれなくなります。過去問を繰り返し解いて、感覚を掴んでおきましょう。
難易度は高くないが、思考力を問う問題も多い
基礎知識を問う問題も出る一方で、思考力を問う問題も多いです。そのため、受験問題集を解く際にはただパターン別解法を頭に入れるだけでなく、「どうしてそうなるのか」の理屈をしっかり理解しておく必要があります。理屈さえわかっていれば出題の仕方が変わっても解けるので、単元ごとの解説ページの内容を説明できるようにしておきましょう。
- とにかく過去問をこなすことが重要になる
- 計算問題で時間を取られないよう、計算問題にも慣れておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
問題文が長く問題数も多い
社会は問題数が五十問前後出題されるため、スピードアップして解かないと解ききれない可能性があります。会話文形式の出題があり、問題文も長めです。読み込むのに時間を取られ過ぎないよう、過去問で適切な時間配分の練習をしましょう。
選択問題が中心なので基礎固めを
基本的に選択問題が中心です。用語や名称を問う問題もありますが、説明記述はありません。難易度は標準的ですが、あまり聞いたことのない用語が出てくるときもあり、難しさを感じる問題も混在しています。
ただし、文脈や他の情報で判断できる問題が多いため、よく知らない用語が出てきても落ち着いて問題と向き合うようにしましょう。
地理はグラフや図表の出題が多い
地理分野はグラフや図表を用いた問題が多く、人口や特産品、温度といったさまざまな情報が出題されています。そのため地域や県名とそれぞれのデータが結びつくようにしておきましょう。地理分野は社会の中では最初に学ぶ分、抜けも多くなりがちです。改めて復習しておいてください。
日本史中心の出題
歴史分野は日本史が中心で海外との関わりはそこまで出題されません。出来事の順番を問われる問題が出るため、歴史の流れを頭に入れておきましょう。
作品と作者名の組み合わせを覚えておこう
日本史では作品と作者を正しい組み合わせで覚えて、答えられるようにしておきましょう。
憲法について正しく理解しよう
憲法の内容を問う問題もよく出るので、理解を深めておきましょう。自分でどういう意味なのか内容を説明できるように練習しておくとよいです。
受験問題集の内容が理解できていれば解ける問題
社会は受験問題集の内容が理解できていれば、だいたい解けるレベルの問題です。とりこぼしのないよう、間違えた問題を何度もやり直してください。
- 時間が足りなくならないよう、過去問で時間配分を身に付けておく
- 範囲が広いので、間違えた問題を何度も解き直すことで知識を定着させる
城北中学校の入試問題は受験勉強の積み重ねがカギ
城北中学校の入試問題の難易度は、そこまで高くありません。受験問題集の内容から大きくそれた問題もあまり出ないため、勉強すればするほど合格する可能性は高くなると言えるでしょう。受験勉強においてはコツコツと積み重ねていく姿勢、当日においてはケアレスミスに気をつける注意力が求められます。
裏を返せば一問のミスに足を引っ張られかねないということです。
とりわけ、算数はその傾向が強く、他の科目よりも合格者平均点が高めな分、確実に点をとらなければなりません。
国語は字数が多いので、速読に慣れる練習が欠かせません。音読、速い音読、速読と順を追ってレベルアップしていくことをおすすめします。
理科と社会は受験テキストに書かれている内容を隅々まで頭に入れましょう。難易度自体は高くないので、基本事項をいかにきちんと覚え込むかが問われます。どちらも問題数が多めなので、制限時間内に解くためには考え込んでいる時間はありません。問題集を解いて、間違えた問題は印をつけてとりこぼしのないよう、何度も復習することをおすすめします。