• 2024年9月27日
  • 2024年9月30日

吉祥女子中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

吉祥女子中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

吉祥女子中学校は理系が強いことで知られる人気の女子校です。この記事では、吉祥女子中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向や勉強法を紹介します。

そもそも吉祥女子中学校ってどんな学校?

そもそも吉祥女子中学校ってどんな学校?

吉祥女子中学校は建学の精神として「社会に貢献する自立した女性の育成」を掲げる学校です。帝国書院の創設者であり、地理学者であった守屋荒美雄とその長男で数学者の守屋美賀雄が創設しました。学びは中学・高校のみで終わるものではなく生涯続くものであると位置づけ、知的探究心を育む教育を行っています。

吉祥女子中学校のカリキュラムは「学びの深化」を目指していて、一般的な学校より早いペースです。国語、社会、数学、理科はそれぞれの科目をさらに二科目に細分化して、きめ細やかに学べるようになっています。高校に進むと二年次に文系、理系、芸術系に分かれ、三年次に文系は国立文系と私立文系に分かれます。半数以上が理系に進むことで知られている、理系に強い学校です。加えて芸術系のコースがあることからもわかるように、音楽や美術に力を入れている学校です。

中高一貫校ならではの重複しないカリキュラムが魅力で、生徒の学びをフォローするため、補習にも力を入れています。数学と英語の補習を放課後週一回実施していて、実力アップのための手厚い体制が整えられています。

国際交流にも力を入れていてボストン近郊にある名門校ウォルナット・ヒル・スクール(WHS)と姉妹校関係を結んでいます。オーストラリア、カナダ、中国、韓国、ベトナムにも交流の輪を広げ、総計九つの姉妹校・パートナースクール・友好校を持つに至っています。

吉祥女子中学校の入試概要

吉祥女子中学校の入試概要

吉祥女子中学校の入試について見ていきましょう。

2025年度の入試

第一回は2月1日土曜日で募集人数は134名、第二回は2月2日日曜日で募集人数は100名です。出願期間はどちらも2025年1月10日0時から1月30日23時59分までとなっています。受験料は各回とも25,000円です。

2024年度の入試倍率

第一回の入試結果は受験者数571名で合格者数が187名、実質倍率は約3倍。第二回の入試結果は受験者数762名で合格者数232名、実質倍率は約3.3倍でした。なお、実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。

入試区分受験者数合格者数実質倍率
第一回の入試結果571名187名約3.0倍
第二回の入試結果762名232名約3.3倍

吉祥女子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

吉祥女子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

吉祥女子中学校の四教科の出題傾向は以下のとおりです。

一万二千字に達する年度もある文章量の国語

国語の配点は100点で試験時間は50分、大問は三つです。

読解文のボリュームが多いことで知られていて一万字以上が基本です。ときにその文章量は一万二千字に達します。大問一、二は読解文で大問三は漢字です。読解文は説明文と物語文からひとつずつ出題されます。説明文も物語文も分量は同じぐらいです。選択問題、書き抜き、説明記述などさまざまな問題が出ます。

説明記述は字数指定なので、指定字数どおりに過不足なく内容を詰め込まなければなりません。大問三は漢字の書き取りで六問ほど出ます。

算数は2025年度から出題形式を変更

算数の配点は100点で試験時間は50分、大問はこれまで五つでしたが、2025年度に向けた入試サンプルでは六つに変更されています。2025年度は出題形式が変わると予告されています。見本が学校ホームページに掲載されているので、解いておくようにしましょう。

大問一は小問集合で大問二以降が単元別の出題となっています。小問の数は七問ほどと多かったですが、サンプルでは五問に変更されています。頻出単元は図形、速さ、割合です。ただし、小問集合含めて幅広い単元から出題されています。

2024年度までは問題のいくつかは途中式や考え方を書くように、解答欄にマスが設けられていました。2025年度のサンプルでは答えだけを書く仕様へと変更されています。

理科は各分野からの出題

理科の配点は70点で試験時間は35分、大問は四つです。それぞれ四分野からの出題となります。知識問題が多く出ますが、物理や化学からは計算問題の占める割合も高いです。特に力のつり合いから計算問題が多く出る傾向にあります。時事関連の出題もあるため、社会問題への関心を持つようにしましょう。

社会はリード文の長さが特徴

社会の配点は70点で試験時間は35分、大問は三つです。大問ごとに各分野からの出題となっています。社会のリード文は大問ごとにどれも長く、まるで国語の読解文のような仕様なのが特徴です。ただし、問題の内容自体は平易なので、合格者平均点は高く出る傾向にあります。記述問題も出題されますが、選択問題が多いです。

ポイント
  • 国語は読解分のボリュームが多く、一万字以上が基本
  • 算数は2025年より出題形式が変わる
  • 理科は、力のつり合いから計算問題が多く出る傾向にある
  • 社会は記述問題も出題されるが、選択問題が多い

吉祥女子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

吉祥女子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

吉祥女子中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

速読ができるように

吉祥女子中学校の国語は、速読ができないととうてい読み切れない文章量です。一分間に700字~800字を目指して読めるようにしていきましょう。一気に早く読めるようになるのは無理なので、段階的にレベルアップを目指してください。文章を読む際には、必ず速度を測るようにし、今自分がどのぐらいのスピードなのかを把握します。意識して読むことが、スピード向上につながります。

説明文を読みこなそう

国語は説明文を読みこなす力が必要です。難易度の高い文章は出ませんが、段落ごとの趣旨を把握できるようにしておかなければなりません。形式段落に番号を振って、意味段落ごとにまとめる作業に取り組んでみましょう。吉祥女子中学校の国語はボリュームこそありますが、難易度自体が高いわけではありません。慣れればスムーズにできるようになるはずです。意味段落に分けたら、塾や家庭教師の先生に確認してもらってください。それぞれ意味段落の内容を説明できるようにしておきましょう。

物語文に慣れておこう

物語文では登場人物の心情理解ができるかどうかが問われます。登場人物ごとの気持ちを色分けして線を引いてみてください。時間の経過についても追いかけておくようにしましょう。

接続詞を理解しよう

空欄にあてはまる接続詞を選ぶ問題が出ることがあります。接続詞の使い方を理解するため、文章を読む際は、接続詞を線で囲んで意識的に読むようにしましょう。説明文において接続詞は論旨を理解する上で欠かせません。

記述は指定字数の中で要点をまとめよう

吉祥女子中学校の記述は「五十字以上六十字以内」「八十字以上九十字以内」など字数指定があります。指定された字数の中で要点をまとめられるようにしましょう。たとえば、八十字以上九十字以内の場合、問題の内容によっては途中で一度句点を使い、二文に分けて読みやすくするといった工夫も必要です。冗長に読みづらい文章を書くのではなく、文字数と相談しながら解答として要点が伝わる文章を書きましょう。

七割五分以上を目指そう

年度によって合格者平均点の開きがあります。第一回の合格者平均点は2024年度が73.3点、2023年度が69.3点、2022年度が65.7点です。だいたい六割五分から七割五分に収まることが多いため、目安としては七割五分以上を目指しましょう。

吉祥女子中学校の国語対策
  • 文章量が多いため、速読を身につける
  • 物語文では登場人物ごとの気持ちを色分けして線を引く
  • 接続詞を線で囲んで意識的に読む

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

2025年度の出題形式をチェック

2025年度から出題形式が変わるため、学校ホームページにサンプルが載っています。大問が五つから六つになり、大問一の小問の数が七つから五つに減っています。過去問にだけ取り組んでも、時間配分のイメージがしづらいので、ホームページのサンプル二種が時間内に解けるかどうか一度試しておきましょう。

前半でいかに得点するか

算数の問題も得点しやすく、過去三年の第一回の合格者平均点は2024年度69.4点、2023年度75.2点、2022年度は76.9点となっています。

問題の難易度は前半が簡単で後半が難しいです。そのため、前半でどれだけ得点できるかが合格ラインに到達するためのポイントとなります。後半の問題もどこから解けばよいのかを速やかに見極めるようにしましょう。後半の大問でも、途中までは簡単に解ける問題もあるので、とにかく解ける問題はすべて解ききるようにしてください。大問一の小問集合だけで二十点の配点です。確実に二十点をとるところから始めましょう。

頻出単元の対策を

算数の頻出単元は図形、速さ、割合です。2025年度の出題形式は変わりますが、出題傾向については特に予告されていません。恐らく、サンプルからして似たような傾向で出題されると見てよいでしょう。平面図形では比を使った問題がよく出ますし、立体図形では切断の問題などがよく出ます。

吉祥女子中学校の算数対策
  • サンプル二種が時間内で解けるかを試してみる
  • 解ける問題を先に解ききる
  • 頻出単元の図形、速さ、割合を対策する

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

生物と地学は知識を固めて

生物と地学は知識分野をきっちり押さえるようにしましょう。理科の難易度はけっして高くありません。70点の配点で、第一回の合格者平均点は2024年度52.6点、2023年度55.9点、2022年度53.4点となっています。つまり、かなりの高得点をとらなければ合格ラインに達しないということです。

8割近い合格者平均点が出る年度もあるため、一点でも落とさないように臨まなければなりません。知識分野はとりこぼしなく解けるようにしておきましょう。

物理と化学は計算が頻出

物理と化学からの出題では、計算が頻出です。そのため、力のつり合いをはじめ、計算問題が出やすい分野をやり込んで、いろんなパターンの問題の対策をしておきましょう。

実験や観察からの出題が多い

実験や観察の単元と絡めた計算問題が多いので、実験や観察で必要な器具の名前や手順とあわせて、解けるようにしておいてください。2024年度の第一回の理科では顕微鏡に関する問題が出ました。

吉祥女子中学校の理科対策
  • 生物と地学は知識分野を押さえる
  • 物理と化学ではいろんなパターンの計算問題を対策する
  • 実験や観察で必要な器具や手順を覚える

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

社会の合格者平均点はほとんど一定

社会の合格者平均点は過去三年ほとんど変わらず、約50点です。70点満点のテストで50点なので、7割以上は確実にとらなければならない計算になります。合格ラインに到達できるよう、解ける問題は確実に解いてください。

長いリード文にも慌てないで

社会はリード文が長いのが特徴で、国語の読解文に挑んでいるような感覚になることでしょう。時間内に読み終わって解かなければならないので、過去問をやる際に制限時間内に終えられるかどうかを確かめてください。

歴史分野は時代の流れを押さえて

歴史分野ではよく整序の問題が出るため、時代の流れを押さえておきましょう。何が起きたのか、時代順に並べ替えられるようにしておいてください。

地理は地図や地形図、図表や統計が読めるように

地理では、地図や地形図、図表や統計といった資料を見て考えて解く問題が数多く出ます。地域とその地域の産業や工業、農業などは頭に入れておいてください。

社会問題に目を向けよう

現代社会を生きていると、社会を取り巻くさまざまな問題と出くわします。時事のニュースを押さえておくことももちろんですが、日頃から社会について考える習慣をつけておきましょう。時事と関連付けて問題が出題されます。

吉祥女子中学校の社会対策
  • 解ける問題は確実に解く
  • 整序の問題が出るため時代順に並べられるようにしておく
  • 地域とその地域の産業や工業、農業を頭に入れておく
  • 日頃から社会について考える習慣を身につける

科目ごとに合格ラインを目指そう

科目ごとに合格ラインを目指そう

吉祥女子中学校の入試は基本的に平均点が高めです。そのため、高めの成績を目指して勉強する必要があります。国語は文章量が多く速読が必須です。内容自体は平易なので難しくないですが、読み終わった残り時間で解かなければならないのでハードです。

算数は2025年度から出題形式が変わるため、学校ホームページでサンプルを確認しておいてください。小問の数が減る分、大問の数が増えるので時間内に解けるかどうかの確認もしておきましょう。

理科は知識問題から計算問題まで解けるように仕上げてください。社会は長いリード文を読みこなして、資料にも目を向けましょう。

各科目の合格ラインをそれぞれ把握して、到達できるようにしましょう。苦手科目があり合格ラインに届くのが難しいようであれば、他の科目で点数を稼ぎます。時間はタイトな科目が多いので、優先順位を間違えないようにして、確実に得点することを目指すとよいです。

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