• 2024年11月17日
  • 2024年11月19日

筑波大学附属駒場中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

筑波大学附属駒場中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

筑波大学附属駒場中学校は、「筑駒」の略称でよく知られる難関男子校です。東大への高い進学率でもよく知られています。この記事では、筑波大学附属駒場中学校の出題傾向と勉強法について紹介します。

そもそも筑波大学附属駒場中学校ってどんな学校?

そもそも筑波大学附属駒場中学校ってどんな学校?

筑波大学附属駒場中学校はその名のとおり筑波大学の附属校です。「自由・闊達の校風のもと、挑戦し、創造し、貢献する生き方をめざす」を学校目標として掲げています。明治5年、昌平黌跡によって創立された師範学校から始まり、合併や校名変更を繰り返し、今に至っています。

例年、東京大学に四割を超える生徒が合格する最難関レベルの学校です。自由な校風で知られていて、校則らしい校則はありません。生徒の自主性に大半を委ねる大胆なスタンスは、最難関レベルならではといえるでしょう。なお、隔週の土曜日が登校日です。

国立大学の附属校なので、教育に関する研究や教育実習の実施に協力しています。加えて、「国の拠点校」「地域のモデル校」として、日本の初等中等教育における研究開発を実践していかなければならない立場です。「先導的教育」「教師教育」「国際教育」の三つの分野において、国の拠点校を目指しています。

筑波大学との連携も強固です。教育実習生の受け入れはもちろん、校内において多数の講演会や実験講座を開催したり、筑波大学の研究室を訪問し学問の最先端に触れる機会を設けたりしています。

一学年につき三学級で、全員が高校へと連絡進学することが可能です。その後は難関大学への進学が多く、2024年度は新卒既卒合わせて90名が東京大学へと進学しています。

筑波大学附属駒場中学校の入試概要

筑波大学附属駒場中学校の入試概要

筑波大学附属駒場中学校の入試について見ていきましょう。

2025年度の入試

募集人数は男子約120名です。第1次は抽選、第2次は2月3日の学力検査(国語、社会、算数、理科、各教科100点)と報告書(100点)となっています。抽選を実施するかどうかは令和7年1月10日(金)午後5時に発表になります。場所は筑波大学附属駒場中学校正門左脇掲示板(令和7年1月15日水曜日まで掲示)か、ホームページです。

2024年度の入試倍率

2024年度は募集人数120名に対し出願者数660名で、抽選による選考は実施しませんでした。第2次選考受験者数は555名で合格者数は128名、約4.3倍です。なお、小数点第二位以下は四捨五入しています。

入試区分受検者数合格者数実質倍率
第1次選考
(抽選選考)
660名660名実施なし
第2次選考
(学力検査)
555名128名約4.3倍

筑波大学附属駒場中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

筑波大学附属駒場中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

筑波大学附属駒場中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は短時間で記述をこなさなければならない

国語の配点は100点で時間配分は40分、大問は三つから四つです。問題数自体はあまり多くなく、問題の大半記述問題が占めます。文章量は5000字以内が多いため少ないほうですが、その分試験時間も40分と少ないです。ほとんど記述問題なので、時間内に解ききるのには苦労します。なお、記述問題において字数指定はありません問題の難易度も高いです。説明文や随筆、物語文だけではなく詩や短歌、俳句からの出題もあります。読解以外だと、2024年度は大問としてことわざを漢字に直す問題が出題されました。

算数の解答用紙には計算欄が大問ごとにある

算数の配点は100点で時間配分は40分、大問は四つです。他校でよく見られるような計算問題や小問集合はあまりありません。大問四では手こずるかもしれませんが、それ以外の問題は比較的解きやすい内容であるため、いかに失点しないかを競い合うタイプの問題です。頻出単元としては「規則性」「数の性質」「速さ」「図形」などが挙げられます。答えがひとつだけで終わる問題ではなく「考えられるものをすべて」答えなければならない問題が多く出題されます。

理科はボリュームがある出題

理科の配点は100点で時間配分は40分、大問は六つから七つです。理科の特徴として、問題のボリュームが挙げられます。大問数が多く、問題文も長めです。分野としては全ての分野から出題されます。水溶液、力のつり合いや電流などが頻出単元です。限られた時間内でどれだけ問題が届くのを待てるかが問われます。

社会の出題は各大問に各分野

社会の配点は100点で時間配分は40分、大問は三つです。社会の各分野からの出題で大問にひとつずつ落とし込まれています。どの分野も、時事問題などを切り口にしたボリュームあるリード文となっているのが特徴です。正誤を判断する問題では、該当する答えを指定の数選ぶ問題もあれば、すべて答えなければならない問題も出ます。歴史においては、歴史順に並び変える問題もよく出ます。全体で見ると選択問題が多いですが、記述問題も出題されます。

筑波大学附属駒場中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

筑波大学附属駒場中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

ポイント
  • 国語は記述問題が大半を占め、算数は取り返しが許せない問題になっている
  • 理科と社会は問題にボリュームがあり、スピードが求められる

筑波大学附属駒場中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

学校別対策で記述に慣れよう

字数制限のない解答欄に、過不足なく答えを落とし込めるかが問われる問題です。解答欄自体は100字以上書くような大きいものではありません。つまり、本当に要点をピックアップできていないと点数をもらうことは難しいです。どのぐらいの字数でどの程度内容を絞り込めばよいのか、筑波大学附属駒場中学校の問題に慣れていないとわからないでしょう。また、問い自体シンプルでヒントがないため、答えにくいです。過去問や学校別対策を通して慣れるようにしていきましょう。記述の採点は必ず塾の先生や家庭教師にお願いしてみてください。

詩・俳句・短歌も解けるようにしよう

例年、詩・俳句・短歌などからも出題されています。大問として独立して出題されていましたが、2024年度は物語文と詩が融合したような文章が出題されています。詩を出す学校は限られていますが、筑波大学附属駒場中学校を受験するのであれば、早いうちから対策しておきたいところです

ことわざや故事成語がよく出る

語彙力の問題や漢字の書き取り問題として、ことわざや故事成語がよく出題されます。2024年度は大問二がたった一問だけで、「トんでヒにイるナツのムシ」のカタカナ部分をすべて漢字に直せという問題でした。意味を理解できていれば間違えない平易な問題です。語彙の知識をできる限り増やしておいてください。

国語の文章題を解く際には、合わせて語彙力を強化するようにしましょう。わからない言葉が出てきたら放置せずに必ず意味を調べて、その場で覚えるようにします。後回しにしないことが肝心です。また、文章中、どういう文脈で使われているのかもチェックしておいてください。問題を解くだけで精一杯で、語彙力の強化を後回しにする子供は多いですが、たいてい受験本番に間に合わなくなるので、日頃の積み重ねが肝心です。

筑波大学附属駒場中学校の国語対策
  • 過去問や学校別対策で記述に慣れることが重要
  • 筑波大学附属駒場中学校を受験することを決めているのなら早いうちからの対策が必要
  • ことわざ・故事成語対策には語彙の知識量が重要

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

短時間で問題を正確に解けるかどうか

40分という限られた時間内で思考力を問う問題を解き進めなければなりません。そのため、スピードが必要となります。筑波大学附属駒場中学校の算数は、論理的に提示された条件を整理しながら解く問題が多いので、作業量も多くなりがちです。さらに、2024年度の問題は「考えられる答えをすべて答えよ」という問題が多く出ました。そのため、どうしても時間がかかります。合格ラインに到達できるよう過去問でスピード感に慣れておきましょう

頻出単元の対策をしよう

数の性質についての問題は頻出なので、倍数・約数数列周期算N進法などが出題されます。他にも速さや面積、図形などもよく出る問題です。図形は平面図形が多く出ます。解く過程が複雑な問題も多く、補助線を引いたり、図形を書き出したりといった作業がスムーズにできなければなりません。

最短の解法を選ぼう

問題によっては解法が複数ある問題もあります。どの解き方であっても正解が書ければよいわけですが、解法によってかかる時間は大きく異なります。40分以内に合格ラインに届く速度で解かなければならないので、なるべく最短の解法でもって解かなければなりません。解きながらその辺りの判断ができるようにしておきましょう。

筑波大学附属駒場中学校の算数対策
  • 過去問でスピード感に慣れておくことが大事
  • 頻出単元には解く過程が複雑な問題が多いため、補助線や図形を書く習慣をつける
  • なるべく多くの問題に触れて最短の解法を身につける

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

知識を確実に定着化しよう

生物分野・地学分野を中心に知識問題が出題されます。各単元の基礎知識をよく読み込んで定着化させておきましょう。また、時事問題と関係深い箇所があれば合わせて覚えておきましょう。

計算問題を解けるように

物理分野、化学分野を中心に計算問題がよく出ます。物理では力のつり合いが頻出で特に難しい傾向にあるので、過去問を解いてレベルを把握した上で類題をこなしておきましょう。物理をどれだけ素早く解き終えられるかが合格ラインに到達できるかのカギといっても過言ではありません。

電流や回路の問題も対策が必要です。化学分野については実験関連、すなわち水溶液燃焼を中心に対策しておきましょう。地学や生物分野から計算問題が出ないわけではないので、こちらも準備しておいてください。

長いリード文に慣れておこう

筑波大学附属駒場中学校の理科はリード文が長めの傾向にあり、会話文形式などの出題が多いです。スピーディーに読みこなして、問題の意図を理解できるようにしておきましょう。

筑波大学附属駒場中学校の理科対策
  • 知識を確実に定着させ、スピーディーに問題を読み進める力を身につける
  • 過去問を通して実験関連の問題を中心に対策する

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

満遍なく横断的に理解する必要がある

社会は時事問題を含めて地理・歴史・公民全分野から出題されます。総合問題の大問もあるため、分野の枠を超えて横断的に理解する必要性があるといえるでしょう。地理はすべてのベースになるので、県の特徴や、農業、工業、気候などあらゆるデータを覚えておきたいところです。

歴史は並べ替えの問題も

歴史は時代ごとの並び替えをはじめ、流れで覚えていないと解けない問題が数多く出ます。そのため、つながりを理解することが大事です。人に歴史を流れで説明できるようにしておきましょう。

公民は海外との関係性も

公民分野からは、国内政治はもちろん、国際関係を問うような問題も出題されます。日頃から国内国外を含め政治や社会問題に関心を持つようにしておきましょう。2024年度は、時事問題をリード文にしている大問ばかりでした。

選択問題の難易度の高さに注意

「正しいものを選びなさい」という正誤判定の問題が出るのは他の難関校と同様です。しかし、筑波大学附属駒場中学校では、選択肢の中にいくつ答えがあるのかが提示されない問題が出るため、難易度が高くなっています。とりこぼしなく選ぶためには、確実に知識を固めておかなければなりません。

リード文がとにかく長いので注意

社会のリード文はとにかく長く、細かい字で一枚半近く問題文が続くような大問もあります。大問ごとに長いので国語のテスト問題を解いているような感覚でしょう。時間内に解ききれないようであれば、要点だけを拾って読めるようにしておいてください。

筑波大学附属駒場中学校の社会対策
  • 全分野を横断的に理解し、時代の流れはつながりを意識して覚える
  • 公民では海外との関係性も意識して覚える習慣をつける

出題傾向をよく知り、ピンポイントで対応できるようにしよう

出題傾向をよく知り、ピンポイントで対応できるようにしよう

筑波大学附属駒場中学校は科目ごとに失点しやすいポイントがあります。どの科目も過去問をやり込んで、出題傾向をよく知っておきましょう。

国語は記述問題が大半であり、シンプルな問題文から答えを導き出すのに苦労しがちです。また、字数指定がない分、どのぐらいの内容を落とし込めばよいのかわからないと戸惑う子供も多くいます。詩や俳句、短歌といった出題がある点も特徴的です。対策しておいてください。

算数は頻出単元がどれも作業量が多めの内容なので、40分という限られた時間内にスピーディーに解くことが求められます。最短で解ける方法を選ばなければなりません。

理科は知識を確実に定着化させてください。とりわけ物理分野の計算問題の難易度が高いので、対策しておきましょう。長いリード文を読みこなすのも大変ですが、こちらも過去問で読み慣れておいてください。

社会は分野の壁を超えて点と点を結びながら、満遍なく理解する必要があります。まず、地理を確実に理解し、統計やグラフを押さえておきましょう。歴史は並べ替えの問題もあり、出来事や時代のつながりを理解することが大切です。公民は自国だけではなく海外も押さえておきましょう。時事と合わせて理解を深めておきたいところです。

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