明治大学付属中野中学校は、その名のとおり明治大学の付属校である中高一貫の男子校です。この記事では明治大学付属中野中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも明治大学付属中野中学校ってどんな学校?
明治大学付属中野中学校は「質実剛健・協同自治」を掲げる男子校です。六年間の中高一貫教育を行うと同時に、付属校として明治大学と密に連携しながら、中学・高校・大学の十年間の一貫教育を目指してもいます。
基礎学力の育成に励むと同時に、学校行事や特別活動を通じて生きる力を定着化させています。「文武両道」を達成できるよう、クラブ活動にも熱心です。
明治大学の付属校であるため、内部進学させたくて子供を受験させる家庭が多いです。実際、2023年度のデータですが、高校を終えた397名の進路は内315名が明治大学への内部進学、内7名が国公立大学への進学、内49名が私立大学への進学、内1名が専修・各種学校等への進学、内25名が海外準備という内訳になっています。
付属中学として大学教育までを視野に入れているので、カリキュラムも長期的です。大学に進学した段階での学問の完成を想定し、カリキュラムを構成しています。
明治大学と連携しながらキャリアサポートもしてくれるので、じっくりとこれから進む道を考えられる学校となっています。なお、中学校からの入学だけではなく高校からの入学も受け付けています。
明治大学付属中野中学校の入試概要
明治大学付属中野中学校の入試は以下のとおりです。
2025年度入試
明治大学付属中野中学校の2025年度入試は、第一回が2月2日男子約180名、第二回が2月4日男子約90名です。検定料は30,000円で、第一回の出願期間は1月10日0時から1月30日23時59分、第二回の出願期間は1月10日0時から2月3日14時までとなっています。
2024年度入試倍率
第一回の受験者数が786名、合格者数が273名、実質倍率は約2.9倍です。第二回は受験者数が522名、合格者数が106名、実質倍率は約4.9倍です。第一回と第二回で実質倍率に大きく差がありますが、過去の年度でも同様です。なお、実質倍率は小数点以下第二位を四捨五入しています。
2024年度入試倍率
受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|
第一回 | 786人 | 273人 | 約2.9倍 |
第二回 | 522人 | 106人 | 約4.9倍 |
明治大学付属中野中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
明治大学付属中野中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語は読みやすい文章が出題される
国語の制限時間は50分で配点は100点です。大問は四つで大問一が読解、大問二・三が総合知識問題、大問四が漢字の書き取りという構成となっています。
国語の読解でどういうジャンルが出るかは年度によって異なります。説明文の年もあれば物語文の年もあり、説明文のほうが物語文より短い文章で出題されるケースが多いです。扱う文章は他校に比べて比較的読みやすい傾向にあるといえます。
字数も難関校の中では多くありません。説明文で4,000字程度、物語文のほうで7,000字程度です。そのため、合格者平均が75点を超える年度もあります。
算数の後半は難易度順ではないので時間配分に注意
算数の制限時間は50分で配点は100点です。大問は六つで、大問一は計算、大問二・三は図形を中心とした小問集合、大問四以降は単元別の出題となっています。
計算と小問集合は比較的得点しやすい内容です。大問四以降は難易度順というわけでもないので、時間配分に気をつけて取り組む必要があります。
全体的に標準レベルの難易度で、合格者平均も六割以上です。国語と同様、合格者平均が75点を超える年度もあるので、六割以上解けても油断しないようにしましょう。
理科は計算問題も出題
理科の制限時間は30分で配点は50点です。大問は七つほどで、全分野から出題されます。出題傾向も難易度も標準的であるため、合格者平均点も高めです。年度によって差はありますが、50点中38点ぐらいを目指しましょう。
問題集を標準レベルまでしっかりとやり込んでおけば合格ラインがとれる内容です。計算問題も出るため、一通り解けるようにしておきましょう。
社会は大問三つで全分野から
社会の制限時間は30分で配点は50点です。大問は三つもしくは四つで全分野からの出題となります、地理からは地図や地形図、雨温図を使った出題が多いです。写真や図表もたくさん使われます。
歴史は年度によりますが、年表や図版、史料などを使った問題もよく出ます。
記述問題は説明記述が出ます。問題の難易度は標準レベルが多いです。
- 国語の読解は年度によって出るジャンルが違うが字数が少なく読みやすい
- 算数の計算と小問集合は比較的点数をとりやすいが、時間配分に注意が必要
- 理科は全分野から出題され、社会は資料問題がよく出題される
明治大学付属中野中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
明治大学付属中野中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
総合知識問題を固めよう
総合知識問題の大問が漢字を含めると三つも出るので、しっかりと固めておきましょう。大問三つの内訳は、慣用句やことわざといった語彙、画数や漢字の正しい使い方を問う漢字関連、最後に漢字の書き取りといった構成が多いです。
文法が出ることもよくあります。慣用句やことわざは受験直前期に慌てて覚え直す子供が少なくありませんが、国語の勉強を進める際に、語彙を増やすことを念頭に置いて取り組んだほうが効率的でしょう。
なお、出題される知識問題は基本的なレベルが多いです。まとめ教材に載っている内容で対応できます。
読解問題は読みやすく語注もある
読解問題は行間が広く読みやすいスタイルになっています。内容も平易ですし、語注もあるため、解きづらいことはありません。しかし、その分、他の受験生も確実に点をとってくるため、ケアレスミスで失点しないようにしてください。
指示語がなにを示しているか
指示語がなにを示しているか考えさせるタイプの問題も非常によく出ます。そのため、日頃から文章を読む際に、指示語に線を引き、それがなにを指しているのかを見つける癖をつけてください。文章を読み流しがちな人も、理解が深まる作業なのでおすすめです。
文章の前後から接続詞を考える
文章内の空欄に、適当な接続詞を入れる問題も出題されます。接続詞は文章の前後から判断することが可能です。日頃文章を読む際に、接続詞の部分を囲むくせをつけてみましょう。意識的に読むようになると、接続詞のパターンが頭に入るようになります。
主語、言葉の係り受けの問題も出題
読解問題の中には主語や言葉の係り受けの問題も出題されます。たとえば、ある動詞にかかっている主語はなんなのか、ある被修飾語にかかっている修飾語はなんなのか、答えられるようにしておきましょう。文章の意味を一文一文理解しながら読み進めるようにしてください。
- 総合知識問題の割合が多いので、語彙、漢字、文法それぞれをまとめ教材でしっかり身につける
- 読解問題は読みやすく点もとりやすいが、他の受験者も同様のためケアレスミスをしないようにする
- 日頃から文章を読む際には指示語や接続詞など、どの言葉とどの言葉が繋がるかを考える習慣を付ける
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算問題は日頃から練習しておこう
複雑な四則計算が出題されます。分数と小数とカッコの混ざった計算に慣れておかないと、解けるつもりでいても本番で間違えてしまいがちです。計算問題は理屈を理解していても、数をこなしていないと解けないものです。
平面図形のパターンを押さえよう
これまで出題されてきた平面図形の問題には、ある程度パターンがあります。出題されやすいのは面積比を使う問題や点の移動、補助線を引く問題、複数の図形を重ねている問題などです。挑戦しておきましょう。
グラフの読み取りができるように
速度の問題や、立体に水を入れる問題に絡めてよくダイヤグラムが出ます。ダイヤグラムの読み方を理解するためにも、問題集から類題をピックアップして集中的に取り組んでください。
難問奇問は出ない
学校の方針として、難問奇問の類を出題して点差をつけるようなやり方はとりません。標準的な難易度の問題を解けるように仕上げましょう。できそうな問題から取り組んでいけば、合格ラインをとることは可能です。
- 複雑な計算問題が出るため、問題集などで数をこなし分数や少数の問題にも慣れておく
- 平面図形の問題は出題パターンを押さえ、それぞれに対応できるようにしておく
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
標準的な問題がさまざまな形式で出題
選択問題・語句を書く問題・計算問題・記述問題などさまざまな出題形式があります。問題のレベル自体は標準的なので、受験テキストをやり込めば得点につながります。
一問あたりの配点は2~3点ですが、合格者と受験者の平均点の差は、5点前後が多い事実を考えると、二三問のミスが合否を分けることがよくわかります。
出題される問題の種類を知り対策を
明治大学付属中野中学校は入試に出る問題を以下のように分類しています。すなわち、「知識を問うもの」「法則を使って論理的な思考力を問うもの」「実験・観察に関するもの」「分野を超えた総合的なもの」の四つです。
基礎知識を固めると同時に、問題が提示するデータを読み解き、答えを導き出す思考力も必要となります。他の学校と同様、実験・観察からの出題が多く、ときに横断的な出題もされます。対応できるようにしておきましょう。
記述問題は短い
理科の記述問題は長いものは出題されません。十字から二十字程度のものが多いです。そのため、必要な内容を端的にまとめる力が求められます。
- 問題のレベルは標準的なため、受験テストをやりこんで確実に点を取りに行く
- データを読み解き答えを導き出す思考力、内容を端的にまとめる力も身に付けておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
一問あたりの点数は1~3点
社会の出題は、「選択肢から選ぶ」「語句を解答する」問題がほとんどです。ただし「文章で解答するもの」も出題されます。
記述は歴史分野での出題頻度が高めです。基本的な内容を問うものもあれば、思考力を問うものもあります。
一問あたりの点数は1~3点程度で、社会も理科と同様に合格者と受験者の平均点の差は5点前後が多い傾向にあります。二三問のミスが合否を分けるため、注意が必要です。
日本地理だけではなく世界地理の対策も
明治大学付属中野中学校の社会では、日本地理だけではなく世界地理も出題されます。あくまで基礎レベルですが、受験テキストに世界地理はあまり載らないので、別途対策をしたほうがよいでしょう。
過去一年の時事に関する知識を
受験前の一年間の時事がよく出るため、受験生の間は特に勉強だけではなくニュースにも関心を向けるようにしてください。
グラフやデータを読みとる問題
グラフやデータから情報を読み取る問題も出ます。思考力が問われるため、見慣れない情報が出てきても慌てないようにしましょう。
歴史は単発で覚えない
歴史は出来事ひとつひとつの情報だけではなく、前後の流れで覚える必要があります。出来事の原因がどこにあるのか、人に整理して話せるようにしましょう。時代の整序の問題も出題されます。それぞれの時代に起きたことと時代の移り変わりの両方をまとめておいてください。年表も活用するとよいでしょう。
公民分野については日本からの出題が多い
公民分野の出題は日本に関する問題が多く、世界に関する問題が出題されたとしてもごく基本的な範囲に留まります。日本の政治の仕組みからの出題が多いです。時事と絡めた出題も多いので新聞を読む習慣をつけ、現代社会を勉強しましょう。
- 基本的な内容を問う問題と思考力を問う問題があり、二三問のミスが合否を分けるため確実に点を取れるようにする
- 受験テキスト以外で世界地理の対策が必要になる
- 歴史は年表などを活用して、前後を含めた時代の流れで覚える
難易度は標準的だが、失点のできない問題
明治大学付属中野中学校の問題の難易度は標準的です。その分、ケアレスミスによる二三問の失点で合否が分かれます。どの科目も細部まで勉強してください。
国語は総合知識問題をいかに固めるかが合格のカギです。読解自体はそんなに難しくありません。レイアウトからして読みやすさが意識されています。読解を勉強する際は、指示語や接続詞に注目しながら取り組みましょう。
算数は基本・標準を固めて、計算と小問集合は九割がた解けるようにしておいてください。過去問を解くと、出題傾向がよくわかります。平面図形やダイヤグラムといったよく出る問題に慣れておきましょう。
理科の入試も難易度自体は標準的です。記述問題も出ますが短いものが多く、そんなに負担にはならないでしょう。社会は世界地理の基礎も多少出題されます。中学受験テキストに載っているのはほぼ日本地理なので、世界地理もある程度対策が欠かせません。
理科にしろ、社会にしろ、わずかな差で合否が分かれてしまいます。ミスをしていないか見直しながら進めましょう。
明治大学付属中野中学校の入試は、問題自体はけっして難しくない分、受験テキストや問題集をどれだけやり込んだのかがそのまま点数に反映されます。各科目で他の受験者より二三問多く正解を出すつもりで臨みましょう。