サレジオ学院中学校は中高一貫制を採用するミッションスクールです。穏やかな生徒が集まる校風に惹かれて、受験を希望する家庭も多くあります。この記事では、サレジオ学院中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の勉強法を紹介します。
そもそもサレジオ学院中学校ってどんな学校?
サレジオ学院中学校はミッションスクールです。サレジオ学院中学校は奉仕の心を持ったリーダーの育成を掲げ、社会の隅に追いやられている人々の叫びに気づけるような人間を育てたいと考えています。
中高一貫校であるため、六年間を見据えた無駄のないカリキュラムが実現されています。たとえば、算数は中学二年生までに、本来中学でやるべきカリキュラムをすべて終えるようになっています。中高三年ずつではなく、六年間という長いスパンに必要なカリキュラムを効果的に落とし込んでいるのです。
国際交流にも力を入れています。感染症予防の観点から現在は中止になっていますが、中三終了時に全員で行くイタリア研修旅行はその一例です。
校内の施設も充実していて、中高合わせた生徒全員を受け容れられる規模のドンボスコシアターや広大な人工芝のグラウンド、オムニコートが四面、ハードコートが八面とれる規模のテニスコートがあります。学校自体は、閑静な住宅街の中に位置し、緑豊かな環境で勉学に励むことが可能です。
サレジオ学院中学校の入試概要
サレジオ学院中学の入試概要について見ていきましょう。
2023年度の入試
2023年度、サレジオ学院中学校の受験者は2月1日実施のA試験は350名で、うち167名が合格で倍率は2.1倍でした。2月4日のB試験は受験者数409名に対し合格者数は116名で倍率は3.5倍です。
2024年度の入試
募集人員は160名です。2月1日のA試験が110名、2月4日のB試験が50名の募集です。両日程ともWeb出願のみの受付で、出願期間は1月7日(日) 9:00~1月30日(火)16:00、1月7日(日) 9:00~2月3日(土)20:00となっています。四科目の試験で、受験料は25,000円です。
1月14日には帰国生入試もあり、若干名の募集となっています。出願期間は12月1 日(金) 9:00~1月12日(金)16:00です。試験内容は国語、算数および作文。受験料は一般入試と同じく25,000円です。
サレジオ学院中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
サレジオ学院中学校における一般入試の出題傾向を紹介します。
国語は読解が二題
配点100点で制限時間50分です。大問は四つで一と二は漢字の読み書き、三と四は読解文の構成になっています。読解文は物語文がひとつと、随筆や論説文からひとつ出ます。出題形式は記述問題と選択問題が中心です。選択問題の選択肢はやや長めなので、よく読み込んで解くのがよいでしょう。記述は説明を五十字程度で求める問題が多いです。文章の伝えたい内容をきちんと理解できているかを問う問題がメインになっています。他にも、接続詞の使い方や、語句の意味、文章の構成を理解できているかが問われます。
算数は規則性の問題がカギ
配点100点で制限時間50分です。大問は五つで、問一が計算、問二が小問集合、問三から問五はテーマ別の文章題です。頻出単元としては平面図形や立体図形、規則性、速さとグラフなどが挙げられます。特に規則性は解くのに時間のかかる問題が出やすいので注意です。2022年度には学校の航空写真を見ながら、図形の考え方を用いて答えを求める問題もありました。図形の問題では比や、点の移動と絡めた問題が多いです。テーマ別の文章題は会話文の問題も出ます。
理科は計算問題が多め
配点は75点で制限時間は40分です。大問は四つで生物・化学・物理・地学の分野からひとつずつ出題されます。各分野から計算問題が出て、計算問題の全体における配分が大きくなる年度も少なくありません。会話形式の出題もあり、問題文が長めのものがよく出ます。また、基礎知識を問う問題も多く出題されます。グラフや図表を使った問題も多いです。
社会は網羅的な出題で問題数が多い
配点は75点で制限時間は40分です。満遍なく出題されていますが、問題数が多く解くのが大変です。図版を用いた問題が多く出題されます。用語は漢字のものは漢字で書く必要があります。地理、歴史、公民だけではなく時事問題からの出題もあり、社会への関心が問われます。
- 国語と算数は比較的解きやすい内容が多い
- 理科・社会では思考力や読解力を問う問題が多い
サレジオ学院中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
サレジオ学院中学校に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
記述問題対策を
記述問題で内容についての説明を求める問題が出てくるので、過去問をやって字数内に収める練習をしましょう。要点だけを短くまとめるのは難しいものです。必ず塾や家庭教師の先生にチェックしてもらってください。記述は自己採点してしまう子供もよくいますが、どこが減点ポイントになるかをわかっていないケースがほとんどなので、注意が必要です。
選択問題には注意
サレジオ学院中学校の国語で扱う文章は読みやすいものが多く、とっつきにくい問題は出ません。しかし、選択肢がややこしいので、早合点しないよう細部まで読み込む練習をしましょう。
漢字の読み書きは丁寧に
サレジオ学院中学校では漢字がしっかり出題されるので、対策しておきましょう。特に日頃から字を丁寧に書かないタイプの子供は注意が必要です。中学受験に臨む子供たちの得意不得意が顕著に出やすいもののひとつが、漢字の書き取りだといえます。
不得意な子供は「とめ」「はね」「はらい」がきちんと書けません。鉛筆の先を浮かせないまま書道のように書いてしまう子供や、筆圧が薄すぎて字が判然としない子供、消した字がまだ薄く残っているのに上から書いてしまう子供、いろんなケースがあります。
本人は「書けている」と思い込んでいるケースも少なくないので、大人のチェックと声かけが早いうちから必要です。漢字は多くの場合、「もっとこんな風に書いてごらん」と指導したところで、すぐには改善しません。日頃から身に着いている癖を直すのには時間と根気が必要です。できるだけ早い段階から、注視して声をかけてあげるとよいでしょう。
- 過去問を活用して記述力を鍛える
- 漢字の出題が多いので復習に力を入れる
- 漢字の書き取りは必ず大人のチェックを入れる
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
出題される問題は難しくない
冒頭の計算以外は文章題ですし、設問の分量を前にひるんでしまう子供も多いでしょう。しかし、よくよく読めば問われている内容は、ごく基本的なものがほとんどです。過去問をやり込んで、算数のレベルを知っておきましょう。問題集の基本問題は、頻出単元を中心に、すべて解けるよう繰り返しやり込んでください。頻出単元としては、速さとグラフや、図形、水槽問題、特殊算などが挙げられます。図形は平面図形と立体図形の両方から出題されます。
計算力を身に着けよう
毎年、大問一で二問計算問題が出ます。確実に点をとるべき問題です。計算の仕方に慣れておきましょう。分数や小数、括弧の計算が出題されます。計算自体は難しくはないですが、ミスを誘発するタイプの問題です。
規則性の問題をやり込んでおこう
規則性はいろいろなバリエーションでの出題が考えられるため、問題集や過去問をやり込みましょう。他の学校でも規則性の問題を出題する学校は多いので、あわせて過去問をやり込んでおくとよいです。
連鎖的なミスを防ごう
ひとつの大問あたりの問題数が多いため、連鎖的にミスをしないよう気を付ける必要があります。一度で確実に解けるようにし、見直しが必要な問題はマークをしておきましょう。
- 過去問をやり込んで算数のレベルを知っておく
- ミス誘発タイプの問題が多いので注意して問題文を読むよう心掛ける
- 連鎖的なミスを防ぐために一度で確実に解けるようにする
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
各単元の計算問題をやり込もう
理科は各単元から計算問題がよく出ます。計算問題でつまずきやすい単元というと、電流や浮力、てこなどが挙げられるでしょう。計算問題で失点しないために、出題パターンを網羅しておいてください。苦手意識を解消するためにも、解きづらい問題は何度も解くようにしましょう。図やグラフを見ながら解く問題も多く、2023年度はふりこ、水溶液、水の流れの三つの大問でグラフを用いています。グラフや図表を読めるようにしておきましょう。
問題文を読み飛ばさない
問題文が長いタイプの問題には二種類あります。知識問題をたくさん問題文に落とし込んでいて、文章が長くなっているタイプは、ある程度要点だけピックアップして読んでも解けます。しかし、テーマを読み取る力があるかどうかを問われている問題の場合、つまみ読みをしてしまうと、重要な情報を見落としてしまいかねません。素早く全体に目を通せるようにしておきましょう。2023年度は理科だけで13ページ分の問題が出題され、ボリュームがありました。なかなか解き終わらないと気持ちが焦ってしまいます。過去問を解いて時間配分に慣れておくことをおすすめします。
思考力を問う問題も出題
問題文からヒントを読み取って考えるタイプの問題も出題されます。こうした問題はあくまで生徒の思考力を問うものです。過去問をやってどんな問題が出ているのかを確認し、少しでも慣れておきましょう。
- 出題パターンを網羅して計算問題で失点しないようにする
- グラフと図表は必ず読めるようにしておく
- 問題文が長い傾向にあるので過去問で時間配分を身につける
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
問題数の多さにどう対処するか
社会はとにかく問題数が多いので、下手をすると解き終わらない可能性があります。2023年度は問題だけで17ページありました。サクサク解けるよう基礎知識を確実に身につけるようにしましょう。用語を問う問題は、漢字のものは漢字で答えるよう指示があります。国語ではないからといって、漢字を適当に書かないようにしましょう。
問題文を読み込まなければ解けない問題
問題文をよく読んで理解した上で、そこに書かれたテーマを理解しなければ解けないような問題が出題されます。そうした問題を解くためには、社会の知識も必要ですが、国語的な読解力も欠かせません。たとえば、2023年度の問題では『冒険ダン吉』のある場面を抜粋し、それを読んだ子供たちの会話文から、出題意図を読み取る問題が出題されました。こうした問題では問題文を隅々まで読みましょう。会話文の中で提示されたどの意見に賛成する立場なのかを見極める目が必要です。
地図や地形図の出題が多い
地理は地図や地形図の出題が多いため、読み方や各地域の情報を頭に入れておく必要があります。2023年度の問題では、浮世絵から情報を読み取って、地図のどの位置を描いたものかを答えなければなりませんでした。歴史や公民を学ぶ際も、地図や地形図と結びつけながら覚えることをおすすめします。
記述問題の対策を
文中から読み取ったことや自分の考えを説明させる問題が出題されます。記述が苦手な子供は、解答用紙の分量に過不足なく要点をまとめる練習をしなければなりません。
掘り下げた問題への対策
社会の難易度はそれなりに難しく、基本問題だけではなく、事実を掘り下げた問題も出題されます。そのため、まとめ教材や用語チェックだけやり込んでいても合格ラインは難しいです。問題集を単元ごとにやり込んでいきましょう。分野を超える出題も多いため、身につけた知識は単発で覚えるのではなく、点と点を結び付けられるようにしてください。
- 過去問で問題数の多さに慣れておく
- 読解力を身につける必要がある
- 知識は分野を超えて点と点を結び付けて覚える
過去問で出題傾向を分析。科目ごとの対策を
サレジオ学院中学校の問題は、基本的には平易な問題が多いです。特に、国語と算数は比較的解きやすい内容だといえます。一方、理科・社会では思考力や読解力を問う問題が出るため、過去問をやり込んで慣れておいたほうがよいです。
国語と算数では着実に点をとれるよう基礎力を固めておく必要があります。国語では記述力を鍛え、漢字の復習に力を入れましょう。算数では計算を確実に解けるようにし、頻出単元の対策をしておいてください。
理科と社会はスピードが問われるため、すらすら解けるだけの知識を固めておくことをおすすめします。社会では、難しい問題も出題されるため、分野を超えて横断的に学ぶ必要があります。理科・社会ともに、資料や図版を用いた出題が多いので、テキストに載っている図や写真は理解しておくようにしましょう。また、サレジオ学院中学校らしく、思考力を問う問題では、弱者を思いやる自己批判的な眼差しがあるかどうかが問われることもあります。時事問題を学ぶ際には意識してみてください。