成城中学校は文武両道を掲げる中高完全一貫の男子校です。この記事では成城中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも成城中学校ってどんな学校?
成城中学校は1885(明治18)年に創立された歴史ある男子校です。校名の「成城」は中国の古典「詩経」にある「哲夫成城」の「城を成す」に由来します。この場合の「城」は「地域社会」や「国」を指し、「社会に有為な人材を育成する」ことを意味するのです。
よく名称のせいで誤解されますが、成城中学校と成城大学は関係ありません。成城高校は内部進学でき、特に成績基準も設けられていないので、外部進学したいわけでなければ全員進学可能です。2018年に高校からの入学を取りやめ、2021年から中高完全一貫となりました。
教育目標として「自由な人間」「開かれた心」「社会への参加」「青年の使命」を掲げています。「知・仁・勇」を備えた、グローバル社会を生きるリーダーの育成を目指す学校です。
成城中学校はJETプログラムに参加していて、英語を母語とする青年が二名指導補助についています。ほかにも、グローバルスタディズ・プログラムのようにカリフォルニア大学をはじめ、世界のトップの学生を招いて行う研修やオーストラリア・グローバルリーダー研修、高校に進んでから参加できる台湾・グローバルリーダー研修などが用意されています。また、留学先としては一学期間現地校に通学するニュージーランド・ターム留学があります。
学習においては自学自習を重視。自ら計画を立て時間を適切に管理できるよう学校として働きかけています。日々の小テストにより学習到達度を確認し、居残り学習、再テストなどのフォローをしているのです。
成城中学校の入試概要
成城中学校の入試について見ていきましょう。
2025年度入試
第一回入試は2月1日土曜日100名、第二回入試は2月3日月曜日140名、第三回入試は2月5日水曜日40名、出願期間はどの回も1月10日金曜日からで、第一回が1月31日金曜日12時まで、第二回が2月2日日曜日19時まで、第三回が2月4日火曜日19時までです。受験料は一回25,000円で、二回同時出願の場合は合計35,000円、3回同時出願の場合は合計45,000円に設定されています。四科目の試験で面接はありません。
入試区分 | 日時(曜日) | 募集人数 | 出願期間 |
---|---|---|---|
第一回 | 2月1日(土) | 100名 | 1月10日~1月31日 |
第二回 | 2月3日(月) | 140名 | 1月10日~2月2日 |
第三回 | 2月5日(水) | 40名 | 1月10日~2月4日 |
2024年度の入試倍率
第一回は受験者数368名、合格者数132名で実質倍率は約2.8倍、第二回は受験者数778名、合格者数229名で実質倍率は約3.4倍、第三回は受験者数510名、合格者数55名で実質倍率は約9.3倍でした。なお、実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
第一回 | 368名 | 132名 | 約2.8倍 |
第二回 | 778名 | 229名 | 約3.4倍 |
第三回 | 510名 | 55名 | 約9.3倍 |
成城中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
成城中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語は総合知識問題が多い
国語の制限時間は50分で配点は100点、大問は三つです。大問一では、漢字の読み書きを含む総合知識問題、大問二、三ではそれぞれ説明文・物語文から読解文が出題されます。
大問一の総合知識問題は副詞や、四字熟語、慣用句、ことわざなどさまざまな知識を問う内容です。読解文は、接続詞の使い方を問う問題や最も適当な選択肢を選ぶ問題、五十字以内程度の字数指定での説明記述が出題されます。
算数は途中式や考え方を書く問題も
算数の制限時間は50分で配点は100点、大問は六つです。大問一は計算と小問集合、大問二からは単元別の出題となっています。
頻出単元は平面図形やダイヤグラムを使った速さの問題、数の規則性、倍数約数などです。
解答欄は基本的に答えだけ書き込む形式ですが、ここ数年は大問四で一、二問ほど考え方や途中式を書く問題が出題されています。
理科は記述問題も
理科の制限時間は30分で配点は60点、大問は三つです。大問ひとつにつき一分野のため、その年度によって出ない分野もひとつあります。その年話題になった社会問題と絡めての出題もあり、2024年度はOSO18(ヒグマ)と絡めた問題が出題されました。
主な問題は選択問題ですが、記述問題も出題されます。リード文の長い大問が多いです。問題の難易度はそんなに高くなく、基礎知識を問う問題がメインとなっています。
社会は各大問に記述問題がひとつ
社会の制限時間は30分で配点は60点、大問は三つです。各大問は分野ごとの出題となっています。分野につき一問、記述問題が出題されます。受験テキストをよく読み込んでいれば解ける問題もありますし、逆に入試の資料から必要な情報を読み解いて解くタイプの問題もあります。
他は、基本的には選択問題が多く、基礎的な知識が問われます。正誤のどちらかを選ぶ問題も多いです。地理では、地形図や各県の特徴、歴史では基礎的な知識や歴史のつながり、公民では社会問題や時事などが出題されがちです。
- 国語は総合知識問題が多く、副詞や四字熟語など幅広い知識が問われる
- 算数は平面図形や速さなどが頻出単元で、ここ数年は途中式を書く問題が一部出題されている
- 理科は記述問題もあり、その年話題になった社会問題と絡めた出題が特徴
- 社会は各大問に記述問題があり、基本的に選択問題が多く、正誤問題も多い
成城中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
成城中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
漢字の読み書きをマスターしよう
基本的に難しい漢字は出ません。書き取りのほうは「とめ」「はね」「はらい」まできちんと書く癖をつけて、減点されることのないようにしましょう。
まとめ教材で総合知識問題に対応できるように
国語は総合知識問題が多く出題されます。そのため、まとめ教材で勉強して対応できるようにしておきましょう。副詞、語彙、慣用句、ことわざ、四字熟語などひと通り覚えておきたいところです。ただし、まとめ教材はあくまで仕上げと位置づけて、日頃から文章問題を解く際に語彙力を増やすようにする必要があります。
問題文を読んでわからない言葉はひとつずつ覚えていってください。意味を調べる前に文章の前後を読んで、推測する癖をつけましょう。そうすれば、もし本番で知らない言葉が出た場合も文脈から推測して対応できます。
記述問題の練習をしよう
成城中学校は記述問題の数が多く四問程度出ます。解答欄にマスがあるタイプの字数指定の出題です。指定された字数に収まるように、五十字以内程度で答える記述問題をいろいろ解いてみてください。
六割五分を目指そう
国語の合格者平均点は六割五分程度です。そのラインを目指して問題を解きましょう。記述問題も多いので時間配分に気をつけて臨んでください。なお、記述の採点は塾や家庭教師の先生にお願いしましょう。
- 総合知識問題対策としてまとめ教材を活用し、副詞や語彙など幅広く覚える
- 文章問題で語彙力を増やし、文脈から意味を推測する習慣をつける
- 記述問題は五十字以内程度の字数指定に慣れるように練習し、解答欄の字数に合わせて書く練習を重ねる
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算問題でミスをしないように
括弧や分数、小数の問題を解けるようにしておきましょう。計算問題でミスをしやすい子供は数をこなせていない可能性があります。問題集をやり込んで解き慣れておきましょう。効率的に解くためにはどう解くのがよいのかを考えさせるタイプの問題もあります。
頻出単元を掘り下げよう
頻出単元は平面図形やダイヤグラムを使った速さの問題、数の規則性、倍数約数などです。過去問を何年か遡っていくと、出題傾向が見えてきますので、ぜひしっかりと解いてください。解いた上で受験問題集に載っている類題に挑戦してみましょう。
難易度は高くない
算数の問題の難易度は受験問題としてはそこまで高くありません。全体的に見ると前半が簡単で後半がやや難しいので、前半では確実に得点するようにしましょう。
後半も大問の中の最初のほうの問題は解きやすいケースが多いです。グラフや図表を使った問題では、情報量の多さから一見して難しいと感じがちですが、落ち着いて情報を整理すれば解けるので慌てないで臨みましょう。
合格者平均点の六割程度を目指そう
算数の合格者平均点は六割程度が目安なので、最後のほうの難しい問題を切り捨てる選択もありです。解けなさそう、あるいは解くのに時間がかかりそう、と感じたら捨て問に回して、解ける問題を確実に解いて合格ラインを目指すようにしましょう。
- 括弧や分数、小数の計算ミスを防ぐため問題集をやり込んで解き慣れておき、効率的に解く方法を考える
- グラフや図表の問題は情報を整理すれば解けるため、落ち着いて対処する
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
時事にも注目しておこう
理科は時事と絡めた問題も出題されています。そのため理科関連のトピックで話題になっているものはチェックしておきましょう。あらかじめ知っているのと、問題を読みながら知るのでは解くスピードや理解の深さも変わってきます。
たとえば、2024年度の第一回入試ではOSO18(ヒグマ)の問題が出ています。OSO18はNHKで特番が放送されるなど、注目を集めた存在でした。実際、この年、クマの出没に関連する問題を出している学校は他にもあります。
NHKで注目集めている理科関連のトピックの特番が組まれたときは、それがどの分野であれ、録画してじっくり視聴することをおすすめします。こうした特番は、その出来事の背景を掘り下げ、現代を生きる我々に問題提起をする内容にまとめられていることが多いためです。入試の問題に時事が組み込まれているときは、まさに今を生きる我々に一度考えてほしい、という問題提起の意図があります。
問題自体は平易
理科の問題自体は平易なものが多く、基本的な知識があれば解けます。しかし、リード文の長さや図表などの情報量の多さから身構えて、難しく考えてしまう人は多いでしょう。意外と問われている内容はシンプルなので、焦らず一問一問確実に解いてください。
理科の合格者平均点は上下しやすい
理科の合格者平均点は年度によって多少差があります。その年の難易度と相談しつつ、六割五分から七割五分程度を狙うのがよいでしょう。
- 理科関連の時事問題に注目し、話題のトピックや特番などは録画をしてしっかりと見返す
- 理科の問題は基本的に平易なため、リード文や図表の情報量に惑わされず、問われている内容をシンプルに考える
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
正誤を問う問題はよく読んだ上で解こう
提示した選択肢の正誤を問う質問がよく出ますが、他校の入試問題でよく見かけるように正誤のどちらを選ぶかについて下線や太字で強調していないので、文章をよく読んでから解く必要があります。
記述問題の難易度が高い
知識を問う問題が難易度低めなのに対して、記述問題の難易度は高めです。受験テキストの知識を体系的に理解していないと解けない問題や、資料から必要な情報を読み取らないと解けない、思考力を問う問題が出題されます。
過去問を解いて難易度を把握しておきましょう。一問一答で知識を覚えるのではなく点と点をつなげて、全体像を理解する姿勢が必要です。
過去の合格者平均点にとらわれ過ぎない
理科と同様、社会も合格者平均点には開きがあり、六割から七割五分あたりになることが多いです。そのため、七割五分とるぐらいの気持ちで臨んだほうがよいですが、そこまで解けなくても難易度が高い問題であれば合格ラインに届いている可能性が高いでしょう。
記述問題で点差がつくので、基本問題でミスをひとつでも減らし、記述問題をひとつでも多く答えることが大切です。最後のほうの記述問題は、受験テキストで学ぶような類型的な内容ではありません。資料を見て答える問題は自信がなくても、とりあえず答えを書いてみてください。
- 記述問題の難易度が高く、知識の体系的理解や資料から情報を読み取る力が必要になる
- 過去問で難易度を把握し、点と点をつなげるように学習をする
- 記述問題で差がつくため、基本問題のミスを減らし、難しい記述問題でも答えを試みる姿勢が大切
平易な問題で点をとり、その上で難易度の高い問題に挑もう
どの科目も問題の多くを平易な問題が占めています。難易度自体が高いわけではありません。基礎知識を固めた上で、ケアレスミスをしないよう見直しをして、問題を解きましょう。
国語は大問一の総合知識問題でどれだけ得点できるかが大切です。漢字の読み書き、副詞、語彙、慣用句、ことわざ、四字熟語などをひと通り覚えましょう。記述問題で点差がつくので、文末表現を間違えることなく要点を字数以内に落とし込んでください。
算数は図形や速さの問題、数の規則性、倍数約数などの頻出単元をやり込んで対策します。最後のほうの問題が難しいですが、合格ラインに達すればよいので、残り時間と相談して解ける問題を確実に解くほうを優先しましょう。
理科は時事にもアンテナを張りつつ基本的な知識を固めていってください。
社会は正誤を問う問題が多いです。記述問題では思考力を問う問題も出ますが、焦らないで必要な情報を読み取ります。
平易な問題で一問でもミスを減らし、差がつきやすい問題で一問でも多く正答に辿り着くようにしましょう。ただし、難しい問題を無理に解くのではなく、優先順位を決めてください。場合によっては捨て問に回して、確実に合格ライン到達を目指すことをおすすめします。