• 2024年7月22日
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成蹊中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

成蹊中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

成蹊中学校は、リベラルアーツ教育や留学に力を入れている中高一貫校として知られています。この記事では成蹊中学校を受験する家庭に向けて、出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも成蹊中学校ってどんな学校?

そもそも成蹊中学校ってどんな学校?

成蹊中学校では、創立者の精神「知育偏重では無く、人格、学問、心身にバランスが取れた人間教育を実践したい」を掲げています。生徒一人ひとりを大切にする学校で、品格と教養の育成に重きを置き、リベラルアーツ教育に注力しています。詰め込み教育ではけっしてなく、生徒の主体性に重きを置き、興味を持たせ考える力を育成しているのです。

英語教育にも熱心で、入学前の経験によりクラス分けを実施し、スムーズな語学学習を導入しています。また、帰国生に向けた一年間だけの国際学級も用意されています。15名という小人数で教育環境のギャップを一年かけて埋めていくシステムです。ちなみに、中学二、三年生で、帰国生向けの「帰国生英語特設クラス」の授業を受けることも可能です。

留学プログラムが充実していて、アメリカにあるセントポールズ校、カリフォルニア大学デービス校、チョート・ローズマリー・ホール校、フィリップス・エクセター・アカデミー校やオーストラリアにあるセント・ラファエルズ・カソリック・スクール、イギリスのケンブリッジ大学、デンマークのルンステッド高校、スウェーデンのカルマーレ国際高校など名だたる留学先が用意されています。ほかにもカナダへのターム留学や、サマープログラム、国際教育プログラムも充実のラインナップです。また、成蹊中学校では、体験学習や学校行事、学外活動も活発です。中学一年生では自然観察を活動の中心に据えています。

成蹊中学校の「留学プログラム」留学先

引用元:成蹊中学・高等学校

なお、内部進学制度はあるものの外部受験が盛んな学校であり、成蹊大学に進むのは卒業生の三割程度です。

成蹊中学校の入試概要

成蹊中学校の入試概要

成蹊中学校の入試について見ていきましょう。

2024年度の入試

2024年度の入試は、一般入試の第1回が2月1日、第2回が2月4日でした。2月1日の第一回は男女各45名の募集。第二回は男女各20名の募集です。出願期間は2024年1月10日9:00~1月24日13:00まで。ただし、webだけで完結するわけではなく書類提出が必要とされます。そのためこれは書類の郵送までを含めた期間です。なお、webと窓口を併用する場合は2月2日9時から2月3日15時となります。ネット上で出願したあと、書類を窓口へと持参します。

2月1日の一般入試(帰国生)は男女合わせて若干名の募集となります。出願期間は1月10日9:00~1月18日13:00まで。国際学級入試(帰国生対象)と中学二年生帰国生入試は1月8日で、国際学級入試(帰国生対象)は男女あわせて約15名の募集、中学二年生帰国生入試は男女合わせて若干名の募集です。

国際学級入試(帰国生対象)と中学二年生帰国生入試のweb出願期間は2023年12月4日9:00~12月10日13:00です。書類の郵送は12月15日必着でした。

2024年度の入試倍率

第一回の受験者は男子受験者数138名、合格者59名、実質倍率約2.3倍でした。女子受験者数は109名、合格者は52名、実質倍率は約2.1倍

第二回の受験者は男子受験者数158名、合格者数58名、実質倍率は約2.7倍。女子受験者数144名、合格者数48名、実質倍率は約3.0倍です。

第一回の帰国生受験の男子は受験者数3名。合格者数は2名、実質倍率は1.5倍、女子は受験者数2名で合格者数は0名でした。

国際学級(四月入試)の男子受験者数は13名で合格者数9名、実質倍率は約1.4倍、女子受験者数は14名で合格者数9名、実質倍率は約1.6倍となっていました。

中学二年生帰国生入試は男子受験者数1名で合格者数は0名、女子受験者数6名、合格者数3名で実質倍率2.0倍です。なお、実質倍率は小数点以下第二位を四捨五入しています。

男子の2024年度入試倍率

受験者数合格者数実質倍率
第一回138人59人約2.3倍
第二回158人58人約2.7倍
帰国生3人2人1.5倍
国際学級(四月入試)13人9人約1.4倍
中学二年生帰国生1人0人

女子の2024年度入試倍率

受験者数合格者数実質倍率
第一回109人52人約2.1倍
第二回144人48人約3.0倍
帰国生2人0人
国際学級(四月入試)14人9人約1.6倍
中学二年生帰国生6人3人約2.0倍

成蹊中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

成蹊中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

成蹊中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は記述をこなせるかが問われる

成蹊中学校の国語の配点は100点で時間配分は50分です。大問は三つで物語文と説明文、漢字の書き取りが出題されます。知識問題が少ない代わりに記述問題がたくさん出るため、記述問題が苦手な子供にとっては厳しい構成だといえるでしょう。

文章の難易度も易しくはありません。そのため、ある程度の難易度の文章を読みこなす力と表現する力の両方が問われているといえます。

算数は頻出単元のやり込みから

算数の配点は100点で時間配分は50分です。大問は六つで、大問一で計算、大問二で小問集合、それ以降はテーマ別の問題から出題されます。

主に点の移動、平面図形、立体図形、食塩水、速さ、特殊算などが出されています

理科は各分野からの出題

理科は制限時間30分で配点は50点、大問は四つです。大問ひとつにつき、各分野からの出題となっています。

理科は記述問題もしっかりと出題されるのが特徴です。実験・観察からの出題が多く、問題文には写真図表が使われています。

社会は時事や地図の知識が必須

社会は制限時間30分、配点50点です。大問は二つ程度にまとめられています。時事問題や近代史に関心があると解きやすい内容です

時事問題といっても、最新の出来事だけではなく数年前の出来事についての問題が出るケースもあるので、広く「社会」に問題意識を持てているかを問うような内容となっています。記述問題も複数出題される上、三行ぐらいの解答欄に収める形式なので、問題の背景への深い理解が必要となります。

ポイント
  • 国語は文章の難易度が高く、記述問題が多いため、時間が足りなくなりやすい
  • 算数は点の移動、平面図形、立体図形、食塩水、速さ、特殊算が頻出単元となっている
  • 理科は記述問題があり、写真・図表が多く使われる
  • 社会は数年前に起こった社会問題なども出題される

成蹊中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

成蹊中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

成蹊中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

記述問題の占める割合が大きい

成蹊中学校はとにかく記述問題が多いです。「抜き出し」の問題、特定の言葉を入れて記述する問題、説明記述もたくさん出ます。記述問題が苦手なまま成蹊中学校に合格しようとするのはかなり難易度が高いと言わざるを得ない分量です。

字数が指定されている問題もあれば、解答欄に収まるように書く問題もあります。どのぐらいの分量を書けば丸がもらえるのかを知っておかなければなりません

言葉の意味を問う問題も

文中の言葉の意味を問う問題も出題されます。語彙力アップを図りましょう。読解文を解いていて知らない言葉が出てきたら確実にその場で覚えるようにしてください。

接続詞の使い方を理解しよう

どういうときに、どういう接続詞を使うのが適当なのかを問う問題が出題されます。苦手意識のある子供は、文章の構成にはパターンがあることを知るとよいでしょう。例えば問題提起に始まり、具体例、結論といった具合です。構成を把握した上で滑らかにつなげるためにはどの接続詞を使うのが適当なのかを考えてみましょう。

成蹊中学校の国語対策
  • 記述問題対策は必須で、字数指定の問題では丸がもらえる分量を把握しておく
  • 語彙力が必要になるため、知らない言葉が出てきたら確実にその場で覚えていく

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

カッコや分数、小数の入った計算を正確に解こう

冒頭に出題される計算問題は、ミスを誘発させる要素がたくさんあります。カッコや小数、分数が出てくる計算で、落ち着いて解かないとケアレスミスをしてしまいがちです。

小問集合でミスをしない

小問集合で出てくる問題は各単元の基本から標準レベルであり、得点源といえる問題ばかりです。ここでいかにミスをしないで解けるかが問われます。

算数は答えだけを書くタイプの問題

途中式や考え方を採点対象に入れる学校も多いですが、成蹊中学校は答えだけ採点対象としています。

そのため、解き方がわかっているだけでは部分点は入らないので、正確に正答を導き出せるようにしましょう

頻出単元を解けるようにしておこう

頻出単元をやり込んで解けるようにしておきましょう。特に平面図形や立体図形といった図形の問題はよく出るので、さまざまなパターンの問題に挑んでおきましょう。

図形とグラフを関連づける問題や、点や図形の移動の問題もよく出ます。点や図形の移動の問題は、苦手とする子供も多い単元です。苦手な自覚がある場合は多くの類題を解いてみましょう。

成蹊中学校の算数対策
  • 得点源の小問集合で点を落とさないよう、ケアレスミスをなくす
  • 頻出単元が明白なため、類題を多く解いて慣れておく

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

解き慣れていない問題でも怯まない

標準的な問題が出題される一方で、時事や成蹊中学校と絡めた問題、独自性の強い問題なども出題されます。「解き慣れていない問題だ」と感じても怯まず、問題文を隅々まで読んで情報を整理してください。

たとえば、2024年度は成蹊中学・高等学校にあるトキの生物標本に絡めた問題が出題されています。トキのいる環境をどう保全していくかを受験者に問う内容です。「自動車とトキの距離」についてのグラフを見て、どのように人はトキとの距離を保つのがよいのかを答えさせるのですが、当然ながらこうした問題は受験問題集には出てきません

しかし、慣れない問題が出てきても慌てず、熟読する姿勢が大切です。ここで問われているのは知識というより思考力です。文章を読み想像を膨らませ、グラフから必要なデータを読み取り、意見としてまとめる力が求められています。つまり、知らない内容だからといって焦る必要はないのです。なお、こうした個性的な問題は生物分野で目立つ傾向にあります。

説明記述を意識して理科を学ぶ

理科の知識を上辺だけで覚えていても、説明記述には対応できません。たとえば、2024年度には温度計の性質について説明させています。物事の仕組みについて常に「どうしてこうなるのか」と問う眼差しを向けることが大切です。

同じ単元内での出題数が多いときも

成蹊中学校の理科では、同じ単元内の問題が多く出題されるときがあります。たとえば、2024年度は回路図の問題が多かったです。そういうケースで苦手単元に当たってしまうと、失点続きという事態に陥りかねません。苦手単元を克服する必要があります。

成蹊中学校の理科対策
  • 独自性のある慣れない問題が出ても、焦らず熟読して想像する習慣を付ける
  • 説明記述の問題が出るため、常に物事の仕組みに疑問を持ち考えることが大切

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

社会への高い関心が必要

歴史の出題は近現代史が中心で、時事問題も出ます。その中で地理の要素を絡めてくる出題が多いです

問題を見れば一目瞭然ですが、成蹊中学校が生徒に求めているのは社会への関心です。「勉強」の対象としての社会ではなく、今を生きている私たちが社会や歴史に向き合い考えていかなければならない問題を扱っています

そのため、受験対策として基本的な知識を身につけることも大切ですが、それ以上、常日頃から世の中の動きにアンテナを張っておくことをおすすめします。

時事問題を学んだあとは地図と照らし合わせよう

時事問題に地理的要素を絡めた出題をしてくるので、時事問題を学んだら必ず地図でその国や地域の位置を確認するようにしてください。日本国内だけではなく海外についての情報も押さえておきましょう。

思考を促される記述問題

記述問題は、問題文を通して生徒に改めて思考を促す内容が多いです。問題文や提示されている資料を見れば、書くべき答えはおのずと見えてきます。問題集などで解いてきた問題とは毛色が異なりますが、考えた内容をまとめるようにしましょう。

成蹊中学校の社会対策
  • 時事問題に対応できるように、基本的な知識を身につけるだけでなく、常日頃からニュースや新聞などで世の中の動きにアンテナを張っておく
  • 思考を促される問題が多いため、「考えた内容をまとめる練習」をしておく

成蹊中学校は記述問題がカギとなる学校

成蹊中学校は記述問題がカギとなる学校

成蹊中学校の問題は算数以外では、記述問題がカギとなります。国語はかなりの割合を記述問題が占めますし、理科・社会の記述問題も多いです。記述問題といっても短い文章を書くだけで終わる学校も多い中、成蹊中学校の記述問題はしっかりとした分量を書かせます。

まずは解答欄に必要な文章を過不足なく書き出す能力を身につけることです

その上で、特に国語は時間内に終わらせる力が求められます。なんといっても記述問題が多いので、慣れていないとタイムロスで手付かずになりかねません。過去問をやり込む際には時間を計って、素早く記述問題を終わらせられるようにしておきましょう

理科は、生物分野を中心に学校独自の問題が出やすいので、解き慣れておきましょう。思考力を問う問題なので、知識がなくても諦めずに読み込めば解けるはずです

社会もまた、問題文と資料をよく読めば、問題が問いかけている内容がわかるでしょう。その一方で、常日頃から社会について考えておくと、スムーズに解けるはずです。

算数は頻出単元を中心に確実に得点につなげられる力をつけましょう。計算問題や小問集合といった得点源で落とさないよう実力を固めておいてください

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