渋谷教育学園幕張中学校は「渋幕」の略称でおなじみの中学校で、渋谷教育学園の学校として人気を集めています。この記事では渋谷教育学園幕張中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも渋谷教育学園幕張中学校ってどんな学校?
渋谷教育学園幕張中学校は、同じ渋谷教育学園の学校である渋谷中学校と並んで知られています。その名のとおり海浜幕張駅の近くにある学校で、共学校ではあるものの男子の割合が高い学校です。中高一貫校ですが、高校からの外部受験もできます。四谷大塚の偏差値で男子70、女子72の難関校で、女子の偏差値のほうが高い一因は、募集人数自体が少ないためです。
サッカー部・テニス部をはじめ運動部の目覚ましい活躍でもよく知られています。スポーツ分野で、有名な卒業生は田中マルクス闘莉王氏です。
教育方針は渋谷教育学園渋谷中学校に似ていて、「自調自考」を掲げています。自分と社会を客観視する目線を大切にしているのです。他にも、高い倫理観の育成を重視し、個人の尊厳や権利を尊重した上での自由を掲げています。国際人を輩出すべく、帰国生入試はもちろん、海外留学、ネイティブの先生たちによる語学教育、海外校との活発な交流を実施。放課後には希望者に向けて、中国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ハングルの講座を開講しています。
渋谷教育学園幕張中学校の入試概要
渋谷教育学園幕張中学校の入試について見ていきましょう。
2023年度の入試倍率
2023年度の入試倍率を小数点第二位以下、四捨五入して紹介します。
渋谷教育学園幕張中学校の2023年度の入試では一次入試は男子1282名、女子616名が受験。合格者は男子515名、女子189名でした。倍率は男子約2.5倍、女子約3.3倍。二次入試は男子305名、女子183名で合格者は男子48名、女子19名。倍率は男子約6.4倍、女子約9.6倍です。帰国入試は男子53名、女子84名が受験、合格者は男子10名、女子24名。倍率は男子5.3倍、女子3.5倍です。
2023年度の入試倍率一覧
男子 | 女子 | |
---|---|---|
一次入試 | 約2.5倍 | 約3.3倍 |
二次入試 | 約6.4倍 | 約9.6倍 |
帰国生入試 | 約5.3倍 | 約3.5倍 |
2024年度の入試
2024年度の一次入学試験は募集定員215名です。実施日は2024年1月22日で、出願期間は2023年12月15日9時から2024年1月10日15時となっています。合格発表は1月24日14時頃ホームページです。二次入学試験の募集定員は45名。2024年2月2日実施予定で、出願期間は2024年1月24日9時から2024年1月27日15時です。合格発表は2月3日10時頃ホームページに掲載されます。帰国生入試は約20名の募集で、入試日は1月20日です。出願期間は12月15日9時から1月10日15時となっています。
渋谷教育学園幕張中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
渋谷教育学園幕張中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語は読解文の字数が大幅増加
試験時間は50分、配点は100点です。大問は二つで、論説文と物語文の二つに総合知識問題が組み込まれています。読解文の字数は多く、2023年度は9000字を超える問題が出ています。例年に比べて1000字~3000字ぐらい増えています。2023年度は同じ渋谷教育学園である渋谷中学校でも字数が大幅に増え、一万字程度になりました。
なお、渋谷教育学園幕張中学校の2024年度一次入学試験が1月22日に終わりましたが、一次入学試験の問題では字数は減って例年どおりでした。多いのは2023年度だけなのか、今後に注目です。
論説文にせよ、物語文にせよ、難易度は高めのものが多いです。日頃から文章を読みなれていない子供は、理解に手間取るかもしれません。
算数は難しい問題が多い
試験時間は50分、配点は100点です。大問は四つで、ひとつめが計算と小問集合、残りが単元ごとの問題という構成になっています。頻出単元は図形や場合の数、速さ、数の性質などで、その辺りは同じ渋谷教育学園である渋谷中学校とも類似します。図形において独自性の強い作図が出るのも同様です。図形は平面図形のほうが易しい問題が出題されます。立体図形は立体の切断など、多くの子供が嫌いな問題が出ます。
理科は思考力を問われる内容
試験時間は45分、配点は75点です。大問は三~四つが多く、さまざまな切り口で出題されます。合格点をとるためには当然知識は必要ですが、どちらかというと、問題文と資料から必要な情報を読み取って解く思考力型の入試です。受験の問題集に掲載されていないテーマから出題されるケースもあるので、対策はしづらいでしょう。受験対策以外で、日頃から理科の分野に関心を持っている子供にとっては楽しい問題です。
社会は記述問題の比率が高い
試験時間は45分、配点は75点です。大問は三つであることが多く、ひとつは分野を横断的に出題する総合問題、もうひとつは歴史問題、残りひとつは地理もしくは分野を横断しての出題となっています。三つ目の大問は独自性が強い問題になりやすいです。歴史にしても地理にしても、基本事項を頭に入れた程度では解けない問題が出題されます。選択問題が多く出ますが、他校に比べると記述も多いです。年度によっては記述問題が半分を占めるケースさえあります。
- 全体的に「自分の頭でどう考えるか」を問う問題が出る
- 国語と算数は難易度が高く、理科と社会は思考力を問う問題が出やすい
渋谷教育学園幕張中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
渋谷教育学園幕張中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
増える字数に対応できるようにしておこう
2023年度は9000字とボリュームのある読解文が出ました。国語の字数が多くても対応できるよう、読み込む速度を上げておく必要性があります。ただし、2024年1月24日に実施された一次入学試験では字数は多くありませんでした。そのため、今後の傾向を注視しながら対応していきましょう。
過去問を解く際以外にはタイマーを使わない子供も多いですが、時間感覚を磨くためにぜひ勉強中は時間を計測してください。自分がどのぐらいの速さで解いているのかを知り、どのぐらいスピードアップすれば間に合うのかを把握しましょう。
堅い文体への苦手意識を克服しよう
国語が苦手な子供の多くは論説文を特に嫌う傾向にあります。文章が堅苦しく、読みづらいためです。しかし、渋谷教育学園幕張中学校の論説文では平易なものは出題されないため、そうした苦手意識を克服していく必要があります。
低学年のうちから幅広いジャンルの本を読ませておくことが一番ですが、本好きな子供ばかりではありません。本が苦手な子供が固い文体を読みこなせるようになるのは大変です。その場合、低学年のうちは学習漫画を読ませることをおすすめします。漫画であれば抵抗なく読む子供が多いですし、論説文に通じるような解説ページを用意している本も多いです。
- 過去問を解く際はタイマーを使ってスピードアップを心掛ける
- 堅い文体への苦手意識は低学年のうちから学習漫画を上手く取り入れて対策する
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
平面図形は捨て問の見分けがつけられるように
平面図形は頻出単元ですが、難易度の高い問題が出る年度も多いですし、受験問題集で実力を上げても歯が立たない問題もあります。そのため、タイムロスになると思ったら後回しにするか、場合によっては捨て問として諦めるかの判断が必要です。
そのためには、過去問をやり込んで、自分が合格点をとるにはどの問題を捨てて、どの問題を解かなければならないか、基準を見極められるようにします。
場合の数では解法に辿り着くスピードが物を言う
過去問を解いてみるとわかりますが、細かく場合分けしていく作業が必要な問題が多いです。いくつかある小問に簡単な問題も含まれますが、ぜんぶ解こうとすると難しい問題も解けなければなりません。計算だけでは答えに辿り着けない問題も少なくないので、手を動かしていきましょう。限られた時間の中で、手を動かして解いていると時間だけがかかるようで焦りを感じるはずです。
実際、場合の数でつまずいて、テスト全体の時間配分を間違えてしまうケースもあります。そのため、場合の数はいかに最短で解く力を身に着けるかが問題です。間違えて余分な作業をしているとあっという間に時間切れになります。最短で解けるよう、場合の数の単元をやり込んでおきましょう。いくつものパターンを解いていれば、そのうち解法にたどりつく速度が上がってきます。
算数は作図の問題対策を
算数は作図の問題が解けるように対策をしておきましょう。そうはいっても、受験対策の問題集には掲載されていないので、類題を見つけるのが難しいです。過去問をやり込んでください。その上で、塾や家庭教師の学校別の対策コースを活用しましょう。
- とにかく過去問をやり込むことが大事
- 時間が足りなくなることが多いため、解き進める順番を見極める練習が必要
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
初めてのテーマでも怯まない
理科は思考型の問題であり、問題文や資料から情報を読み解くことが求められます。そのため、受験の問題集で扱うようなテーマばかりが出題されるとも限りません。
過去には、ドラえもんに出てくるタケコプターについての問題が出題されたこともありました。他にも使い捨てカイロについての問題や、ガラスのコップでコーヒーをレンジで温める問題など、バラエティに富んでいます。ユニークかつ身近な問題から考察を深める切り口が多いです。
びっくりするようなテーマが出たとしても、焦らずに読解問題だと思って文中にヒントを探しましょう。設問同士がヒントになっていることもあります。
写真をはじめ資料が多い
2024年度の一次入学試験でもページをめくるごとに、資料や図表、グラフが満載でした。必要な情報を読み取れるよう、テキストや問題集の資料を押さえておきましょう。
記述問題に対応できるように
理由を問う問題が多いので、対応できるようにしておきましょう。要点を短い文章でまとめる力が必要です。
- どんなテーマでも問題文中のヒントを探す習慣を付ける
- 資料から情報を読み取る力を身に付ける
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
日頃から社会について考えよう
社会科では渋谷教育学園幕張中学校ならではの問題が出題されます。社会問題について日頃から考えをめぐらせていないと、記述で満足のいく答えを書くことはできません。表層的にニュースを消費するのではなく、ひとつひとつ考えを深める習慣をつけましょう。学ぶ際には、当事者や専門家が問題を語っているメディアを選ぶとよいです。
選択肢問題で得点しよう
問題文が長く、特に記述は難しい問題が多いため、すべてを答えるのは難しいでしょう。まずは選択肢問題で確実に点をとれるように実力をつけましょう
資料を頭に入れておこう
歴史の場合、図版が多く出ます。受験対策テキストに載っている資料をよく見ておきましょう。地理分野では、地図や地形図を読めるようにし、各地域の情報をまとめたグラフを頭に入れておきましょう。都道府県の特徴も暗記しておいてください。
論説文を解くように
渋谷教育学園幕張中学校の問題は、理科も社会もテキスト外からテーマを持ってくる大問がよくあります。そのため、国語の論説文を解くときのような姿勢が必要です。初めて触れるテーマでも身構える必要はなく、文章を通して学ぶことができます。
- 日頃から社会問題に対して深く考える習慣を付ける
- 地図や地形図、図版、都道府県の特徴はすべて暗記しておく
日頃から社会について考えていれば、文章が伝えたいことや問題提起したいことが見えてきます。思考力・想像力が必要です。まずは過去問を解いて、どんなテーマがこれまで出ていたのかを知り、ヒントがどんなかたちで文中にちりばめられているのかを確かめましょう。
思考力は日頃の積み重ねによるところが大きい
国語は論説文・物語文に慣れておきましょう。比較的、難しい文章が出るため、さまざまな問題を解いて慣れておきたいところです。字数の増加に備えて、速読もできるようにしておきましょう。
算数は頻出単元がはっきりしているので、それらの単元をやり込んでおきましょう。作図をはじめ独自性の強い問題が出るので、学校別対策できっちり準備しておいてください。
理科と社会はこの学校ならではの切り口の問題が出題されます。日頃から身の周りのさまざまな問題や現象に関心を持ち、考えを深める習慣をつけたいものです。社会問題や世界情勢も把握しておきましょう。
知識量以上に、自分の頭でどう考えるのかを問うのが渋谷教育学園幕張中学校の問題です。それはただテキストを通して受験勉強をしていても、身につくものではありません。自分なりに考えを深めて、文章で書けるようにしておきましょう。