• 2025年2月28日

品川女子学院中等部の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

品川女子学院中等部の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

品川女子学院中等部は中高一貫の女子校として人気を集めています。この記事では品川女子学院中等部を目指す子供に向けて、各科目の出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも品川女子学院中等部ってどんな学校?

そもそも品川女子学院中等部ってどんな学校?

創立は1925年で、荏原女子技芸伝習所として設立されたのが始まりです。1929年には品川高等女学校となり、与謝野晶子が校歌を作っています。志願無倦(しがんうむことなし)明秀端雅(めいしゅうたんが)を創立者指針として掲げていて、目標の達成と明るい心と知性を持ち常にまっすぐ正しく生きることを大切にしています。

品川女子学院中等部では「企業マインドを持つ人」、すなわち「自ら社会の問題を発見し、多様な人を巻き込んで、問題解決に一歩を踏み出す人」を育成しています。問題発見力、共感力、発信力、内省力、基礎学力の五つの力を設定し、生徒に身につけさせているのです。

実際に、品川女子学院中等部では、企業や大学とコラボした授業や講座、起業体験プログラムといった総合的な学習に取り組んできています。

クラス編成としては、1,2年生は1クラス約35~40名程度の6クラス、3~5年生は約40~45名程度の5クラスです。選択科目が増える6年生では、きめ細かく対応するために再び6クラスとなります。

2024年度の進路を見ると、80.6%が私立大学、10.8%が国公立大学という内訳です。分野別進路では、生物・理工系19.2%、社会・情報系は14.0%、医療・獣医系は14.0%、経済・経営・商学系は10.5%となっています。なお、国公立大学や難関私学(早稲田・慶應・上智・東京理科・国際基督教など)の進学者は国内の四年生大学に進学した生徒の四分の一程度が該当します。

品川女子学院中等部の入試概要

品川女子学院中等部の入試概要

品川女子学院中等部の入試を見ていきましょう。

2025年度入試

2025年度入試は第一回入試が2月1日、四科目受験で90名募集、算数一科目入試が同じく2月1日午後で20名募集でした。翌2月2日、第二回入試が行われ、四科目受験の60名募集。表現力・総合型入試は2月4日、試験Ⅰ(読解・論述)・試験Ⅱ(4科目総合)で30名募集でした。

出願期間は、第一回入試と算数一科目入試が1月10日から1月31日8時まで、第二回入試は1月10日から2月1日23時まで、表現力・総合型は1月10日から2月3日23時まででした。受験料は22,000円で算数一教科入試のみ11,000円に設定されていました。

帰国生入試は11月23日で募集人数は特に決まっておらず、出願期間は11月3日から11月21日12時まででした。受験料は25,000円でした。

2025年度入試倍率

2025年度第一回入試は受験者数297名、合格者数115名で実質倍率は約2.6倍、算数1教科は受験者数262名で、合格者数127名、実質倍率は約2.1倍です。第二回入試は受験者数357名、合格者数118名、実質倍率は約3倍、表現力・総合型入試は受験者数199名、合格者数39名で実質倍率は約5.1倍でした。これらの実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。

なお、合格ラインは第一回入試が320点203点、算数一教科が100点中65点、第二回が320点中213点、表現力・総合型が160点中106点でした。

入試区分受験者数合格者数実質倍率
第一回297名115名約2.6倍
算数1教科262名127名約2.1倍
第二回357名118名約3倍
表現力・総合型入試199名39名約5.1倍

品川女子学院中等部における国語・算数・理科・社会の出題傾向

品川女子学院中等部における国語・算数・理科・社会の出題傾向

品川女子学院中等部の四教科の出題傾向は以下のとおりです。

国語は漢字や語彙の知識が求められる

国語の試験時間は50分で配点は100点、大問は四つです。大問一・二は漢字と語彙の問題、大問三・四は小説文と説明文の読解文が出ます。国語の特徴は記述が多いことです。

2025年度の第一回と第二回ではそれぞれ六問ずつ出題されました。解答欄も広めなので、長い記述でも書ける力が求められます。解答欄のスペースからすると、100字程度書く問題が多いです。

算数は途中式を整理して書く力が大切

算数の試験時間は50分で配点は100点、大問は四つです。大問一は計算が四問ほど、大問二は小問集合で十問ほど、大問三、四は単元別の出題となっています。

大問二の小問集合の解答欄は答えを書くだけのスペースとなっていますが、大問一、大問三、大問四は途中式を書き入れなければなりません。解答欄のスペースは広めなので、省略するのではなく丁寧に過程を提示することが求められます。

理科は各分野から出題

理科は社会と合わせて試験時間60分で、配点は60点、大問は三つです。2025年度は大問一が物理と生物、大問二が化学、大問三が地学、2024年度は大問一が地学と物理、大問二が化学、大問三が生物でした。

つまり、四つの分野からの満遍なく出題されるものの、大問は三つしかないので、ふたつの分野が混ざっている大問もあります。記号選択がメインで、語句を記入する問題と記述も出題されます。

社会は資料が多い

社会は理科と合わせて試験時間60分内に解かなければならず、配点は60点、大問は三つです。大問一が地理、大問二が歴史、大問三が公民という構成になっています。社会は記号問題が多く、語句を記入する問題や、説明記述もあります。雨温図やその他グラフ、地形図、年表をはじめ資料からの出題も多いです。各地のデータを頭に入れて臨みたいところでしょう。

ポイント
  • 国語は漢字や語彙の知識と長い記述でも書ける力が求められ、算数は途中式の整理と丁寧な過程提示が大切
  • 理科は各分野から出題され、社会は資料問題が多く時間配分が重要

品川女子学院中等部に合格したい。どんな勉強が効果的?

品川女子学院中等部に合格したい。どんな勉強が効果的?

品川女子学院中等部に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

漢字力と語彙力を身につける

国語は大問一・大問二で漢字と語彙の問題が出題されます。語彙の問題では漢字力も問われるので、言葉の意味を知っているだけではなく書けることが前提です。語彙に関しては受験前にまとめ教材を使って一気に覚えようとする子供が少なくありません。たしかに、まとめ教材の語彙のページは有用です。自分の語彙力をチェックするために使う分にはよいでしょう。

しかし、まとめ教材を使って一気に詰め込もうとしても、スムーズに身につけるのは難しいです。受験直前まで溜め込まないで日々少しずつ消化していくことをおすすめします。漢字は小テストのような形で定期的に確認する語彙力は読解文を解くたびに、知らない言葉の意味を調べて覚えるようにしましょう。

記述問題に慣れよう

記述問題の多い学校は珍しくありませんが、長めの記述が何問も出る学校はそこまで多くありません。品川女子学院中等部の国語で合格を目指すのであれば、長い記述であってもなるべく減点されないように書く必要があります

百字程度の長さであっても基本的には一文にまとめるタイプの問題です。冗長にならないよう要点を押さえた文章を書くためには、塾の先生や家庭教師に添削してもらってください。指摘された点は読み流さず、確実にひとつひとつ身につけましょう。

スピードをもって解こう

ボリュームある記述問題の数が多いということは、最後まで解くのに一定の時間を要するということです。スピード感をもって解き進めないと、時間内に終わらせることができません。文章は速読し、記述は手早く処理していく必要があります。速読するためには、読む時間を計測し、段階的なレベルアップを図っていくことが大切です

品川女子学院中等部の国語対策
  • 漢字と語彙は日々少しずつ覚え、読解文で知らない言葉を調べて覚える
  • 記述問題は要点を押さえて書き、添削を受けてもらい、速読と手早い記述で時間内に解けるようにする

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

計算問題でケアレスミスをしないように

大問一の計算は全問正解にしたいところです。解き方を書く解答欄が用意されているので、採点者が納得いくよう、順序立てて書いていきましょう。解答欄のスペースは広いので、解法の一部を省かなくてもすべて収まります。途中式を省く癖がついていると、こうした問題をクリアするのは難しいでしょう。日頃から意識して書くようにしてください。

小問集合の数が多い

算数の特徴として、小問集合の占める割合が非常に大きい点が挙げられます。小問集合で出題される問題は、どれも各単元の基本がきちんと理解できているかを確認する内容です。難しい問題は出ません。過去問を解いてみて、もし解けない問題があるようなら、その単元を徹底的に復習しましょう。

単元別の出題も標準的

単元別の問題のレベルも標準的で、算数のテストは比較的解きやすい内容だといえます。実際、合格者平均点は7~8割と高めです。たとえば2025年度の算数の問四では食塩水の問題が出題されています。リード文が会話形式で少し長めですが、よくある濃度計算の問題になっています。

ただし、解答欄には解き方を詳しく書かなければならないので、むしろ解くこと自体よりそちらのほうが難しく感じる子供もいるかもしれません。採点者に意味が伝わるように式と文章を使ってまとめる練習をしておきましょう。

品川女子学院中等部の算数対策
  • 計算問題では途中式を省かず、順序立てて書いてケアレスミスを防ぐようにする
  • 小問集合は基本的な内容の確認問題なので、解けない問題があればその単元を徹底的に復習する

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

社会との時間配分に注意する

理科は社会とセットになっていて、60分以内に両科目とも終わらせなければなりません。社会のほうが先に出てくるので、理科に回す時間がなくならないように時間配分しましょう

社会は資料が多く、ボリュームがあるので注意が必要です。理科も会話文形式のリード文であったり資料であったりが多く、時間がかかります。

記述問題にも対応できるように

一行もしくは二行程度の長さの記述問題が出題されます。理科は記号や語句中心なので、記述問題の数自体は少ないですが、確実に得点につなげたいところです。手短にポイントを押さえた説明ができるようにしておきましょう。

計算問題が解けるように

地学や化学や物理では計算問題が出ることがあります。スムーズに解けるように仕上げておきたいところです。正確さはもちろん、スピードも大切なので、自信がない単元の計算問題は数をこなしておいてください。間違えた問題は演習問題がのっている教材などを使って、類題をたくさん解いておくとよいでしょう。

理科の計算問題は、問題集の解説を読んで解ける気になってしまっているケースがよくあります。必ず、自力で解ける状態にまで仕上げておいてください。受験本番で通用する力をつけましょう。

品川女子学院中等部の理科対策
  • 社会で時間を取られ過ぎて理科に回す時間が足りなくならないよう、過去問を通して時間配分を身につけておく
  • 記述問題ではポイントを押さえて簡潔に説明できるよう練習しておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

地理を中心に資料を頭に入れよう

社会を解くにあたっては各分野の資料をしっかり学んでおくことが大切です。雨温図や図表やグラフ、地形図からの出題が多いので対応できるようにしておきましょう。特に地理分野は重点的にデータを頭に入れておくとよいです。

思考力を問う問題に対応できるように

社会の問題では基礎知識も問われますが、それだけではなく、資料を通して自分で考えるタイプ思考力を問う問題もいくつか出ます。そのため、解きなれない問題にも挑戦することになるでしょう。過去問を解いてイメージをつかんでおいてください。

社会は記述が多い

一行の短い記述ではありますが、社会では記述問題が複数出題されます。物事の背景を説明できるようにしておいてください。2025年度は「育成就労制度」の対象として選ばれた業種について、その理由を述べる問題や、奈良県の観光収入が伸び悩んでいる理由を説明する問題などが出題されています。書く力はもちろんですが、知識や思考力、提示された資料から必要なデータを読み取る力も求められます

品川女子学院中等部の社会対策
  • 雨温図、図表、地形図などの資料をしっかりと覚えて、特に地理分野に重点を置く
  • 記述問題では背景を説明できる力をつけ、資料から必要なデータを読み取る練習をする

書く力に重きを置いている入試

書く力に重きを置いている入試

品川女子学院中等部の入試ではいわゆる「難問奇問」は出題されません。ただし、書く力に重きを置いていて、記述させる問題が多いので時間内に対応できるようにしておきましょう。

国語は解答欄広めの記述問題がたくさん出ます。数が多く、求められている字数も多めなので解き終わるためにはスピードが必要です。

算数では途中式や考え方をきっちり提示しなければなりません。解答欄が広めなので、丁寧に書くことを要求されていると考えてよいでしょう。

理科も長いもので二行程度ですが記述問題があります。実験や観察、現象について言葉で説明できるようにしておきたいところです。

社会も一行程度の記述が出題されます。思考力を問う問題や、データから必要な情報を読み取り纏める問題などさまざまです。

記述は対策したからといって即座に上達するものではないので、早いうちから取り組んでおきましょう。

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