• 2024年12月20日

筑波大学附属中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

筑波大学附属中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

筑波大学附属中学校はその名のとおり筑波大学附属の中学校のひとつであり、優秀な共学校として人気を集めています。この記事では、筑波大学附属中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも筑波大学附属中学校ってどんな学校?

そもそも筑波大学附属中学校ってどんな学校?

筑波大学附属中学校は、難関で知られる国立の共学校です。1872年に神田昌平黌跡に創設された師範学校に端を発します。師範学校はそののち、高等師範学校となり、尋常中学校(のちの筑波大学附属中学校)が設置されました。合併や校名変更を繰り返しながら、長い歴史を紡いできた学校です。

校訓は「強く、正しく、朗らかに」です。自主自律の精神に重きを置き、正しい知識を身につけることを促しています。他者への心配りや協調していく姿勢明朗率直で誠実な態度の大切さなどを学べる教育環境です。

国際交流にも重きを置いていて、海外からの見学者との交流、ネイティブの先生による英語での指導、海外研修に行った先生による授業等を行っています。

筑波大学附属中学校を卒業したあとは、約八割の生徒が筑波大学附属高校に進学、残りの約二割の生徒は、一人一人の希望や適性に応じて、国立・私立・公立高校などに進学しています。なお、高校卒業後の進路として、2024年度の難関大学の進学実績の一例を挙げると、東京大学に36名(現役28名)、京都大学に9名(現役5名)、一橋大学に7名(現役4名)、早稲田大学113名(現役79名)、慶應義塾大学70名(現役52名)という内訳です。医学部は国公立大学医学部が36名(現役24名)、私立大学医学部が62名(現役35名)います。

筑波大学附属中学校の入試概要

筑波大学附属中学校の入試概要

筑波大学附属中学校の入試について見ていきましょう。

2025年度の入試

2025年度の入試は2月3日月曜日に実施されます。出願期間は2024年12月17日火曜日から2025年1月9日木曜日です。募集人数は男女合わせて約80名に設定されています。検定料は5,000円です。

2024年度の入試倍率

受験者数は389名で合格者数は124名でした。実質倍率は約3.1倍、内訳は男子の受験者数が194名で合格者数が62名、女子の受験者数が195名で合格者数が62名です。実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。

入試区分受験者数合格者数実質倍率
男子194名62名約3.1倍
女子195名62名約3.1倍
合計389名124名約3.1倍

筑波大学附属中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

筑波大学附属中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

筑波大学附属中学校の四教科の出題傾向は以下のとおりです。

国語は物語文と説明文がひとつずつ

国語は試験時間が40分で配点は50点、大問は二つです。文章自体の難易度はそこまで高くなく、読みやすい題材が多く出題されます。大問二つの中に、読解の問題と語彙等の知識問題が含まれています。内訳としては選択問題が多めです。

抜き出しや字数指定の記述問題もあります。適語の空欄補充も出題されます。制限時間が短いので問題量も時間相応です。

算数は時間に対し問題数が多め

算数は試験時間が40分で配点は50点、大問は六つ前後です。大問一で計算問題と小問集合が合わせて七問前後出ます。数の性質や平面図形・立体図形の問題などが出題されやすく、特に立体図形では空間把握力を問われる問題をはじめ難しい内容が出やすいです

展開図や点の移動も定番です。図に書き込むタイプの問題や記述問題が出ることもあります。パズルのようなひらめきが必要となる内容も出題されます。問題数に対して時間がタイトな試験です。

理科は思考力を問うタイプの問題も

理科の試験時間は社会と合わせて40分で配点は25点、大問は四つです。各単元から出題されます。大問ひとつあたりの小問数が少ないため、全体的に問題数はそこまで多くありません。時間も短いので、正確に素早く解いていくタイプのテストです

基本的な知識で解く問題もあれば、思考力を問うタイプの問題もあります。実験からの出題が多く、グラフや図表から必要な情報を読み取って解くタイプの問題が少なくありません。筑波大学附属中学校らしい少し変わった切り口の問題が出ることもありますが、難易度自体が極端に高いわけではありません。

社会は資料と合わせての出題が多い

社会の試験時間は理科と合わせて40分で配点は25点、大問は六つ前後です。各分野から出題されます。制限時間に対して問題数が多く、グラフや図表、写真など、情報を読み取らなければならない資料がたくさんあるため、時間配分に気をつけなければならないタイプの試験です。

暗記型の試験というよりは思考力を問うタイプの問題が多く、設問内にヒントが散りばめられています。選択問題だけではなく、記述問題も出題されます。

ポイント
  • 国語は選択問題が多く記述問題もありますが難易度は高くなく、算数は問題数が多く立体図形や空間把握力を問う問題が出る
  • 理科は思考力を問う問題が多く実験や図表を使って解く問題が中心で、社会は資料を読み取る問題が多く時間配分に注意が必要

筑波大学附属中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

筑波大学附属中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

筑波大学附属中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

国語は語彙力を増やしておこう

国語では適語補充で語彙力を問われることがあります。また、読解文を読みこなすにあたり、言葉の意味を知っておくことは大切です。日頃から語彙力を増やしておきましょう。

受験間際になって、まとめ教材などを使って語彙の知識を一気に詰め込む子供も多いですが、言葉だけ切り離して覚えようとしてもなかなか正確な使い方までは頭に入りません。できるだけ読解問題を解く際に、文章とセットで意味を覚えたいところです

物語文では心情を追えるように

登場人物の行動の背景にある心情の変化について問う問題がよく出ます。心情の変遷を追えるようにしましょう。そのためには、心情を伝える表現をチェックし、その心情がどの行動とリンクしているのかを整理しながら読むようにします。

感情を表すワードが出てきたら、「なぜこの登場人物はそう思ったのか」と考える癖をつけるとよいでしょう。

説明文の論旨を把握しよう

説明文の問題では選択問題がよく出る傾向にあります。説明文は読みやすい文章が多く、そんなに難しい問題は出ません。ただし、説明文に苦手意識が強い人は形式段落に番号を振った上で、意味段落ごとに分けてみて、論旨を把握する練習をするのがよいでしょう

筑波大学附属中学校の国語対策
  • 受験間際の詰め込みではなく、読解問題を解きながら語彙力を増やし、文章とセットで意味を覚える
  • 登場人物の心情の変化を追い、その心情が行動にどう影響しているかを整理して読む

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

時間配分がカギ

算数は40分しか制限時間がないのに、問題数が多く、時間配分がうまくできるかどうかがカギとなります。一問あたりを解くスピードも大切です。2024年度は解答欄で24個答えを書かなければなりませんでした。つまり、単純計算だと一問解くのに一分半強で解いていかなければなりません。小問集合ならその速度で大丈夫でしょうが、単元別の問題はよほど得意でなければ難しいです。

そうなると、ある程度、問題の優先順位決めや取捨選択が欠かせません。前半には基本的な問題も多く出ているので、確実に解いて得点につなげましょう。

平面図形・立体図形の対策をしよう

点の移動や展開図、紙を折ったり切ったりする問題など、図形関連の問題はとても多いです。例年、似たような問題がいくつか出題されているので、過去問を解いてどういう問題が頻出なのかを把握するのが最短の対策といえるでしょう。

頻出問題は確実に解けるように仕上げ、それ以外で時間のかかる難問を必要に応じて捨てるのがよいです。図形問題は避けられない学校なので、苦手な子供はテキストや類題を集めた問題集を使ってなるべく数をこなしておきましょう。

図に書き込むタイプの問題に慣れておこう

例年、図に書き込むタイプの問題が二三問出ます。展開図や点の移動などさまざまなパターンがあるので、過去問を解いてチェックしておいてください。特に展開図は定番です。展開図を考えるのが苦手な子供は、問題と同じ展開図を作って組み立ててみるとよいでしょう。繰り返しているうちに、段々と考え方がわかってきます。

記述問題が出題されることも

算数では記述問題が出題されることもあります。問題の答えがなぜそうなるのかについて考え方を説明させる内容です。解答欄のサイズに合わせて、要点のみを書き出します。だいたい一、二行です。

筑波大学附属中学校の算数対策
  • 図形関連の問題が多いため、過去問で頻出問題を把握し苦手な部分は問題集で数をこなす
  • 展開図や点の移動に関する問題が多いので、過去問を解き出題パターンを把握しておく

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

問題数が少ないので一問あたりの配点も大きい

理科は問題数が少ない分、一問のミスが大きく響きます。一問一問正確に解くつもりで臨みましょう。制限時間内に解くことのできる分量と難易度です。

選択問題は、選択肢からひとつ選ぶ問題がメインですが、該当する選択肢をすべて選ぶ問題も混ざっているので注意して臨みましょう。

観察・実験の問題を解けるようにしよう

観察・実験を扱う大問が多いです。文章や資料が多いので、よく読み込んでください。スムーズに情報を汲むためには、観察・実験の手順や考え方を隅々まで理解しておく必要があります

受験テキストに載っているとおりの典型的な実験でなくても、そこまで難易度は高くなく、基本的な考え方を生かせる内容が出題されます。

時間配分のイメージをつかんでおこう

知識を確認する問題も多いですが、一方で思考力を求める問題も出ます。手のかかる問題に時間を多く割くためには、基本的な知識問題をいかに効率よく捌けるかが問われます。

過去問をやり込んで、時間配分のイメージをつかんでおいてください。社会と合わせて40分の時間配分であり、理科よりも社会の問題数が大幅に多いことが予想されるので、必然的に理科に割く時間は短くなります。

筑波大学附属中学校の理科対策
  • 理科は問題数が少なく、ミスが大きく影響するので正確に解くことを意識し、選択肢をすべて選ぶ問題にも注意する
  • 観察・実験の問題が多いため、手順や考え方を理解し、基本的な実験内容を覚えておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

問題数が多い社会でどう得点をとるか

社会は大問の数が多く時間内に終わらせるのにひと苦労する科目です。図表や写真の多さもあり、情報を読み込むのに時間がかかります。理科との時間配分の兼ね合いもありますし、過去問をやり込んでイメージトレーニングしておいてください。

思考力を問う問題が多い

基本的な知識が頭に入っていることは前提ですが、暗記量を問うのではなく、資料を提示してそこから必要なデータを読み取らせる問題が多いです。つまり、思考力が求められます。グラフや地図から情報を読み取る問題に慣れておきましょう

2024年度にはある工場から輸送する荷物についての問題が出ています。もちろん、受験問題集に載っているタイプの問題ではありません。問題文で書かれている説明を読んで、荷物の輸送にまつわる問題を学びながら、それをどうレポートにまとめるのがよいかについて考える内容です。相応しい文章を考えたり、適当な資料はどれかを選んだりします。個性的な問題なので身構えてしまうかもしれませんが、難しくはないので落ち着いて考えてみてください。

記述問題にも対応できるように

記述問題が出ることがあります。人物や出来事の背景について答えるようなスタンダードな説明記述もあれば、絵から史実の人物の台詞を想像するようなユニークな出題もあります。どんな問題が出るかはわかりませんが、これまで出題されてきた問題のバリエーションは押さえておきましょう

筑波大学附属中学校の社会対策
  • 社会は大問が多く時間内に終わらせるのが難しいため、過去問を使って時間配分を練習し、図表や写真の読み込みスピードを高める
  • 資料から情報を読み取る思考力が求められるため、グラフや地図の読み取り問題に慣れておく

思考力を問うタイプの問題が比較的多い

思考力を問うタイプの問題が比較的多い

筑波大学附属中学校の入試では思考力を問うタイプの問題が比較的多いです。そうはいっても、極端に難易度が高いわけではなく、自分の頭でじっくり考えることで答えを導き出せる内容となっています。

国語は語彙力を増やし、物語文や説明文を読みこなせるようにしておきましょう。記述問題も出題されるので抜き出しや字数指定の記述に対応できるようにしておいてください。

算数は問題数に対して時間が短めなので、時間配分がカギとなります。平面図形や立体図形が出やすく、展開図をはじめ頻出問題にパターンがあるので、過去問をやり込んでおきましょう。図形に書き込みをする問題もよく出ます。パズル問題ではひらめきを問われることもあります。

理科は問題数が少ないので、社会に時間を回せるようにこなしましょう。観察・実験の問題がメインです。思考力を求める問題も出るので、図表やグラフから必要な情報を読み取る練習をしておいてください。

社会は問題数が多いので、素早く処理できるようにしましょう。暗記した知識量を問う内容ではなく、提示した情報から答えを導き出せるかどうかを問う内容が多いです。見慣れない問題が出ても、焦らずに取り組みましょう。

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