早稲田大学高等学院中等部はその名のとおり、学校法人早稲田大学の唯一の附属中学校です。学内では、高等学院や大学各学部につながる教育を施しています。この記事では早稲田大学高等学院中等部を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の勉強法を紹介します。
早稲田大学高等学院中等部ってそもそもどんな学校?
早稲田大学高等学院中等部の卒業生は原則として、早稲田大学高等学院に進学します。高等学院卒業後は全員が早稲田大学に進学することが可能です。2023年度は政治経済学部110名、法学部76名、文化構想学部27名、文学部14名、教育学部25名、商学部45名、基幹理工学部68名、創造理工学部35名、先進理工学部30名、社会科学部30名、国際教養学部10名で進学者数合計は470名となります。早稲田大学への進学を見据えている家庭にとっては間違いなく選択する価値のある学校です。
大学の附属校のメリットは内部進学以外にもいろいろとあります。そのひとつが図書館の充実ぶりで、蔵書数は約12万冊、雑誌・新聞 約70誌、DVD・CD等視聴覚資料3,500点があり、館内には目的別のスペースも十分に確保されています。その上、早稲田大学の中央図書館が利用できるので、学びの可能性が広く開かれています。
教育方針としては、健やかな心身や高い知性、豊かな感性などを育み、社会に有為な人材を育成することを掲げています。行事やイベントも充実していて、各学年で宿泊研修・学習発表会が行われています。行き先は、一年生は奈良、二年生は長野、三年生は長崎・佐賀です。
英語教育にも力を入れていて、英語を使ったCALL(Computer Assisted Language Learning)による学習やネイティヴスピーカーによる国際理解学習を取り入れています。
勉強がついていけない子供たちへの目配りも忘れず、子供たちの特性にあった日常的なサポートを実施するのみならず、長期休暇中は特別講習で対応しています。
学校見学日が設定されているので、ぜひ一度足を運んで直に目で見てみるとよいでしょう。
早稲田大学高等学院中等部の入試概要
早稲田大学高等学院中等部の入試について見ていきましょう。
2023年度の倍率
一般入試は受験者433人に対し合格者131人で実質倍率は3.31倍です。一般入試は3.0~3.3倍程度の年が多いです。
2024年度の入試
2024年度の一般入試は男子120名を募集しています。試験日は2月1日で合格発表は2月3日からとなっています。入学手続日は2月5日です。四科目の試験とグループ面接があります。高等学院のほうは帰国生入試や自己推薦入試がありますが、中等部では一般入試のみです。
早稲田大学高等学院中学部における国語・算数・理科・社会の出題傾向
早稲田大学高等学院中等部における出題傾向を紹介します。
国語は読解文が二つ出題
国語の配点は100点で制限時間は50分です。例年、大問はふたつで論説文と物語文がそれぞれ出題されます。文章量はそこまで多くはなく、難関校の中では難易度もそこまで高くはないでしょう。ただし、易しくもないので対策は必要です。
漢字の書き取りや知識問題も出題されます。記述問題は字数の少ない問題が二問程度で、基本的には選択問題中心です。選択問題は比較的解きやすい選択肢になっています。
算数は難易度が高め
算数の配点は100点で制限時間は50分です。2023年度は大問一が小問集合、大問二と三が立体図形、大問四が規則性です。図形や規則性は頻出なので準備をしておきましょう。小問集合の数もそこまで多くないため、問題数自体は上位校の中では少ないほうです。
立体図形はさまざまなバリエーションの問題が出ます。中には特殊算を活用して解く問題も出ているため、立体図形だけが解けても点数はとれません。
理科は全分野からの出題
理科の配点は80点で制限時間は40分です。理科は分野ごとに大問が設けられています。思考力・計算力の両方を問う問題が多いです。受験用の知識を身につけておけば解けるレベルであり、変に難しい問題は出ません。実験や観察をメインに据えた問題や計算問題が多いので、そうした単元を中心にした対策が求められます。
社会は広くアンテナを張って
社会の配点は80点で制限時間は40分です。社会もまた各分野から出題されます。大問は五つから六つで、2023年度は大問二つごとに分野が移り変わる構成でした。問題の割合としては地理と歴史のほうが公民より多めになっています。全体的に問題数が多く、読まなければならない文章もたっぷりあります。加えて、提示されたデータを見て自分で考えさせる問題も多く出題されます。
- 全体的な難易度はそこまで高くない
- 社会に関しては常日頃からアンテナを張る習慣が必要になる
早稲田大学高等学院中等部に合格したい。どんな勉強が効果的?
早稲田大学高等学院中等部に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
説明文は難易度高め
国語の説明文はやや難易度が高めなので、難しい文章にも慣れておく必要があります。日頃から本を読んでいない子供には、聞きなれないはずの言葉も出てきますし、文脈で読み取る訓練をしておきましょう。
記述問題が難しい
選択問題は意外と解きやすい問題が多いです。まぎらわしい選択肢もありません。しかし、記述問題では、本文の要点をうまくまとめないと点をもらえない問題が出題されます。そのため、日頃から要約の練習をしておきたいところです。問題集の読解文を解く際には、あわせて内容の要約をするようにします。文章全体から要点を整理する力を身につけましょう。
意味段落をまとめよう
説明文の伝えたいテーマを把握するためには、意味段落ごとに内容を切り分けるのがよいでしょう。意味段落に番号を振って、塾や家庭教師の先生にチェックしてもらいましょう。
物語文でも難しい用語が出ることも
説明文より物語文のほうが、言葉も平易で解きやすいケースが多いです。ただ、当然例外もあります。たとえば、2023年度の物語文では、「偏執観念」と「固定観念」について掘り下げる問題が出ています。難しそうな響きに身構えてしまった子供も少なくないでしょう。
わからない言葉はある程度は文脈で判断できるとはいえ、語彙力も増やしておきたいところです。これまで解いた説明文や物語文でわからなかった言葉はないか、今一度確認しておきましょう。
漢字や知識問題の対策を
これまで出題されてきた漢字の問題を見る限り、あえて難しい漢字を選んで出すようなことはありません。基本ができていれば得点できる漢字なので、問題集をやり込んでおきましょう。書く際はとめはねはらいを意識してください。
知識問題では品詞や、熟語・ことわざ・慣用句といった語彙の対策をしておきたいところです。まとめ教材を使ってやり込んでおきましょう。
- 要約する練習は日頃から欠かさない様にする
- 語彙力の強化はまとめ教材を上手く活用する
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算力をつけよう
毎年、計算問題が出題されるため、ミスをしないよう練習しておきたいところです。ただし、計算問題といっても、計算式だけが書いてある問題ではありません。2023年度は式の中に数字が伏せられている箇所がいくつかあり、一定の条件が提示された上で、該当する数はなにかを答えさせる問題でした。
規則性の対策
規則性や場合の数の問題が出題されます。規則性や場合の数は、計算式で解く問題、ある程度書き出す問題などさまざまなタイプがあります。早稲田大学高等学院中等部で出やすいのは書き出す問題です。時間がかかるので作業に慣れておく必要があります。
平面図形の対策
平面図形は頻出単元のひとつです。これまでにも、さまざまな問題が出題されているため、単元内を網羅的にやり込む必要があります。
立体図形の対策
立体図形も頻出単元のひとつです。苦手な子供が多い立体の切断が、よく出題されるので対策しておく必要があります。立体の切断は頭の中に断面図をイメージできるようにならなければなりません。立体をイメージできるかどうかは、人によって得意不得意がかなりわかれます。問題をたくさん解けばある程度パターンはつかめるので、苦手な子供は数をこなしましょう。
切断の問題でなくても、頭を使う問題が多いです。立体をさまざまな角度から見て考えさせる問題をはじめ、立体が苦手な子供にとっては苦戦しがちな問題が出ます。中学受験の問題集でも応用問題が解けるところまできっちり仕上げておきましょう。
- 規則性の問題は書き出すタイプが多いので慣れが必要
- 立体図形の対策は数をこなしておくことが大事
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
勉強しただけ得点しやすい
理科は中学受験のテキストを端から端までやり込むアプローチがおすすめです。早稲田大学高等学院中等部の入試問題の中でも、正統派な問題が多く出題されます。
計算問題が解けるように
計算を用いる単元からの出題が多いため、あらかじめ対策しておきましょう。計算問題は物理や化学分野での出題が多いです。
図やグラフを描けるようにしよう
地学や生物分野では図に絵や線を描き込む問題が出ます。また、物理や化学分野ではグラフを書く問題が出ることもあります。図やグラフにも対応できるようにしましょう。
選択問題が中心だが、記述問題も
基本的には選択問題が多く、解きやすいです。しかし、中には記述問題も出題されます。記述問題を解くためには、ただ用語を丸暗記するのではなく「どうしてそうなるのか」を説明できるようにしなければなりません。人に説明できることを目指すとよいです。
見直しの優先順位を
理科は、見直す時間がとれる子供も多いはずです。自信のない大問・小問にはあらかじめマークをしておき、限られた時間内でどこをどう見直すかの優先順位をはっきりさせておきましょう。
- テキストの端から端までをやり込むことが一番の近道になる
- 記述問題は人に説明できるくらいを目指す
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
問題文のボリュームは多い
社会は問題文のボリュームが多めで、会話文形式などさまざまな出題のされ方をします。時間内に文章を読み込み、問題を解き進められるよう、国語とあわせて速読の練習をしておきましょう。
問題数が多い
大問は例年五つか六つ、小問は五十問ほどが出題されるため、時間はかなりタイトです。解く速度を意識しないと、終わらないまま時間切れになってしまいます。大問ごとにどう時間を配分するかのイメージをつかんでおいたほうがよいでしょう。過去問をたくさん解いて、時間内に終わらせるためのイメージトレーニングをしておいてください。
分野は満遍なく
地理・歴史の問題が比較的多めですが、公民からの出題もあります。公民は地理や歴史の単元に絡めている出題もあるため、分野を超えて関連付けながら頭に入れるようにしておきましょう。
グラフの出題が多い
中学受験のテキストに載っている資料は頭に入れておくようにしましょう。グラフを読んで解くタイプの問題が出題されます。ただし、こうしたグラフには中学受験のテキストに載っていないような、思考力を要求するタイプも含まれます。
社会への関心も必要
中学受験対策のテキストでは、一般的に扱わない問題が出題されることもあります。対応するためには常日頃から社会への関心を持つ姿勢が大切です。社会問題や政治の動向を追いかけておきましょう。たとえば、2022年度には結婚制度をめぐる議論を幅広く扱っています。
- 問題文のボリュームが多いので速読の練習は必須になる
- テキスト外からの問題が多いので常日頃からの意識付けが大事
早稲田高等学院中等部は科目によって難易度が違う
早稲田高等学院中等部の入試は科目によって、難易度に開きがあります。それぞれの科目の出題傾向に合わせた対策が必要です。
たとえば、国語であれば読解文を解けるだけの語彙力や読解力を養う必要があります。説明文や物語文を読む作業に慣れて、漢字や語彙を学びましょう。算数では図形をはじめ頻出単元を掘り下げた対策が必要です。立体の切断など苦手な子供が多い分野からの出題が多いのであらかじめ問題をやり込んで、パターンをつかんでおきたいところです。
理科では計算問題や図形、グラフに対応できるようにしておきましょう。基本的に堅実に中学受験のテキストをやり込んでおけば、解ける問題が多いのでいかに失点しないかが問われます。社会は問題文が長く問題数も多いです。理科とは対照的に、中学受験のテキストの外、つまり世の中に目をやっていなければ解けない問題も出ます。日頃からニュースや社会問題について関心を向けておきたいところです。