• 2024年9月30日

逗子開成中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

逗子開成中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

逗子開成中学校はその名のとおり、開成中学校の分校として生まれた学校です。この記事では逗子開成中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも逗子開成中学校ってどんな学校?

そもそも逗子開成中学校ってどんな学校?

逗子開成中学校は神奈川県逗子市にある中高一貫の男子校です。立地を生かした個性的なカリキュラムを採用している学校で、海洋人間学に力を入れています。具体的には遠泳やヨット製作・帆走などが挙げられます。遠泳は中三の七月に1,500メートルを泳ぎます。ヨット製作は中一の十月から三月にかけてグループで行います。中学一年の後期から実際に帆走実習です。中一では「海に関する土曜講座を企画する」課題、中二では「日本の水族館及び動物園の是非について」のディベート、中三では海洋学の集大成として「理想の水族館」を企画・立案し、文化祭で発表します。

教科教育の柱は「授業」と「家庭学習」で中高一貫教育の六年間というスパンを生かして、二年ずつ三段階に分けた学習プログラムを展開しています。中一・二を「基礎学力の定着」、中三・高一を「大学進学への意識・動機づけ」、高二・三を「志望大学受験への準備期間」として、基礎学力と学び続ける力の向上を図っているのです。

逗子開成中学校では、家庭学習のガイダンスとなる「家庭学習の手引き」を配布しています。毎日の学習計画を立て、取り組みを反省できる仕様です。担任の指導を受けながら、自学自習の習慣を確立させていきます。

また、夏休み・冬休み・春休みの長期休暇および定期試験後には補習を行って、生徒の習得状況に差が出ないよう働きかけています。

逗子開成中学校の入試概要

逗子開成中学校の入試概要

逗子開成中学校の入試について見ていきましょう。

2025年度の入試

一次が2月1日で募集人数は150名、二次が2月3日で募集人数は50名、三次が2月5日で募集人数が50名です。出願期間は2025年1月8日9時開始で一次の締め切りが1月30日23時59分、二次の締め切りが2月2日23時59分、三次の締め切りが2月4日23時59分までとなります。受験料は一回の試験につき、25,000円です。ただし、複数回出願し、逗子開成中学校に入学した場合、未受験分の受験料は返金してくれる仕組みとなっています。なお、帰国生入試は12月26日実施で、出願期間は2024年12月1日9時から12月15日23時59分です。受験料は一般入試と同じで25,000円に設定されています。

2024年度の入試倍率

一次試験の受験者数は439名、合格者数が215名、実質倍率は約2倍でした。二次試験の受験者数は391名で合格者数が82名、実質倍率は約4.8倍、三次試験の受験者数は428名で合格者数が101名、実質倍率が約4.2倍。帰国生入試の受験者数が56名、合格者数が28名、実質倍率は2倍でした。

入試区分受験者数合格者数実質倍率
一次試験439名215名約2.0倍
二次試験391名82名約4.8倍
三次試験428名101名約4.2倍
帰国生56名28名2.0倍

逗子開成中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

逗子開成中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

逗子開成中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は知識問題の配点が高め

国語は試験時間が50分で配点が150点、大問は三つです。大問一は漢字の書き取りや言葉の知識が問われます。大問一の問題数は多く、全体の小問の半分程度を占める分量です。その分、配点も高いので注意してください。大問二、三は読解文で論説文と随筆文(もしくは物語文)がひとつずつ出題されます。文章量は六千字前後と比較的少なめなので、取り組みやすいといえるでしょう。記述問題も五つ前後出題されます。

算数は出題傾向がはっきりしている

算数は試験時間が50分で配点が150点、大問が五つ程度です。大問一が計算問題、大問二が小問集合となっていて、大問三以降は単元別の出題となっています。大問二の小問集合の出題範囲は広範です。しかし、大問三以降は出題傾向が比較的はっきりしていて、場合の数、数の性質、通過算、平面図形などから出題される傾向にあります。大問五では考え方を書くよう解答欄に大きなマスが用意されていました。

理科は難易度に開きがある

理科は試験時間が40分で配点が100点、大問は四つです。各分野からの出題となっていて、問題の難易度には開きがあります。選択問題や語句の記入がメインで、記述問題は二つ程度出題されます。問題数は平均的です。ひとつの大問の中に基礎的な知識を問う問題から応用的な問題までが含まれています。

社会はリード文のボリュームがある

社会は試験時間が40分で配点は100点、大問は三つで各分野からの出題です。記述問題は一二行程度の解答欄ですが、複数問出題されます。大問ごとにリード文のボリュームもあるため、時間を意識しながら読んで解く必要がある構成です。2023年度は大問がなく、総合問題という形式で網羅的に出題されていました。

ポイント
  • 国語は漢字の書き取りや言葉の知識の問題が全体の半分程度を占め、算数は比較的出題傾向がはっきりしている
  • 理科は選択問題や語句の記入がメインで、社会はリード文にボリュームがあるのが特徴

逗子開成中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

逗子開成中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

逗子開成中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

言葉の知識を固めよう

国語は言葉の知識を問う問題がたくさん出ます。問題数としては、漢字の書き取りを含めると全体の半分程度を占める割合です。そのため、けっして手は抜けません。まずは「とめ」「はね」「はらい」を含めて漢字を正確に書けるようにしましょう。言葉の知識はまとめ教材などを使って、熟語、対義語、類義語、慣用句、ことわざなどの単元をすべて頭に入れておいてください語彙力がカギとなります。意味を理解できるようにしておきましょう。

説明文を読みこなせるようにしよう

説明文は必ず出るので読みこなせるようにしておきましょう。形式段落を意味段落ごとに分ける練習をし、塾や家庭教師の先生にチェックしてもらいます。意味段落ごとに分けられるようになると、確実に論旨を追えるようになります。意味段落ごとの要約を書き出すのも記述力アップに役立つでしょう。

随筆文に慣れておこう

逗子開成中学校では随筆文が頻出なので、国語の問題を解く際は集中的に取り組んでおくとよいでしょう。随筆文は、出来事と筆者の考えに注目して読み込みます。

逗子開成中学校の国語対策
  • 漢字は「とめ」「はね」「はらい」まで正確に書けるようにしておく
  • 言葉の知識を問う問題はまとめ教材を活用して語彙力をつける
  • 説明文と随筆文は先生にチェックしてもらいながら集中的に対策する

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

複雑な四則計算をこなせるように

算数では、複雑な四則計算をこなせるようにしておきましょう。分数、小数、整数、カッコを用いる計算をちゃんと理解しておかないと解けません。四則計算は解けるつもりになっている子供が多いですが、意外と解かせてみるとミスが多いものです。計算ミスが目立つようであれば、毎日計算問題集を一定数解かせるよう習慣づけましょう

小問集合の中に難易度の高い問題が混在することも

大問二の小問集合はなるべくたくさん解いて点数を確実にとりたいところです。しかし、小問集合の中に難問がいくつか紛れ込んでいる年度もあるため、タイムロスしないよう解けるかどうかの見極めが肝心です。手強いと感じたら、次の問題に移るのもよいでしょう。過去問を解いて、小問集合にどんな難易度の問題があるかチェックしておいてください。

数の性質や場合の数の問題

例年よく出題される頻出単元です。数の性質や場合の数はリード文が長い出題もあるため、時間をかけ過ぎないよう注意しましょう。解法に気づけばすぐに解けるタイプの問題が多いです。

速さの問題を解けるようにしよう

速さの問題がよく出るため、解けるようにしておきましょう。通過算、流水算などがよく出ます。平面図形と絡めて点の移動の問題が出ることもあります。速さはダイヤグラムと一緒に出題する学校が多いですが、逗子開成中学校の場合はそういうタイプの問題はあまり出ません。

解き方・考え方を書く問題にも対応しよう

最後の大問では解答欄に大きなマスが用意され、考え方を書くように指示されます。数の性質から出題されることが多いです。数の性質の単元を問題集でやり込んで、答えに至る考え方の過程を書き出せるようにしておいてください。読み手にわかるようにポイントを押さえた書き方を目指しましょう。

逗子開成中学校の算数対策
  • 複雑な四則計算を解けるように準備しておく
  • 過去問を活用して難易度と頻出単元を把握しておく
  • 問題集で考え方を書き出す練習をしておく

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいでしょうか。

知識問題は確実に解こう

ひとつの大問の中に知識問題と思考力を問う問題が出題されるので、知識問題で確実に点をとるところから始めましょう。合格者平均点は年度によって大きく開きがあり、五割五分程度でよい年度もあれば、八割以上とらないと駄目な年度もあります。そのため、本番で自分が合格ラインに達しているかどうかわかりづらいです。割合を目安にするのではなく、難易度で判断して解き進めてください

物理分野の計算問題は対策を

物理・化学分野からは計算問題が出題されます。傾向としては物理分野の計算問題のほうが難しいです。化学分野の計算問題では確実に点をとれるようにしてください。物理分野は過去問を解くとわかるとおり、捻りのある問題も出ています。力のつり合いをはじめ、計算問題の出やすい単元を応用問題まで解けるように仕上げていきましょう。

説明記述に対応できるように

歯応えのある説明記述問題が出題されます。「難しい」と感じるでしょうが、これまでの知識を用いて考えれば答えが出る問題でもあります。過去問でどういうレベルの問題が出題されているか確認しましょう。リード文の中にヒントがあることもあるので、見逃さないようにしてください

たとえば、2023年度には、二酸化炭素濃度を測定したグラフがなぜ直線ではなく、折れ線グラフになるのかについて答える問題が出題されています。そこまでの問題で光の強さと温度を変えると二酸化炭素の吸収量・排出量はどうなるかについて扱っているので、その内容をヒントにして解ける問題です。2024年度は、胎児の酸素の受け取り方についての問題が出ています。前問の血液循環の問題を解くことがヒントになる構成でした。

逗子開成中学校の理科対策
  • 合格者平均点は年度で大きく変わるため、点数ではなく難易度を目安にする
  • 物理分野の計算問題は難しいため、化学分野の計算問題で確実に点をとれるようにする

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

リード文の長さで時間をとられないように

社会のリード文は比較的長めなので、時間をとられ過ぎないようにしましょう。公民分野ではリード文の中に説明記述に取り組む上でのヒントが隠れていることも多いです。読み込んだ上で考えましょう。

雨温図やグラフ、地図などの資料を頭に入れて

地理では、雨温図やグラフ、地図などの資料がよく出ます。各地方の気候の特徴や地形の特徴、場所の名前などを頭に入れておきましょう。白地図をやり込んでおくとよいです。

歴史分野は流れを押さえておくように

歴史分野では時代の並べ替えの問題も毎年のように出題されます。歴史を学ぶ際は単発の出来事だけではなく、流れを押さえておきましょう。

社会問題に目を向けて

公民分野は社会問題と絡めた出題がされています。近年の社会問題に目を向けるようにしましょう。どのような議論がされているのかを押さえておくとよいです。たとえば、2024年度は災害時の避難所における対応を考える上で、共助あるいは公助の視点でどういった問題解決の方法があるかを問う問題が出題されています。リード文の中にも多少ヒントはありますが、日頃から問題について学び自分の頭で考えておくことをおすすめします

逗子開成中学校の社会対策
  • 長いリード文に時間を取られない様に、スピーディーに読み込めるようにする
  • 公民分野は日頃から社会問題について学ぶ習慣を付け、自分の頭で考えられるようにする

各科目の出題傾向の特徴をつかんで対策を

各科目の出題傾向の特徴をつかんで対策を

科目にもよりますが、大問の中での難易度差に開きがあることが多く、自分の解ける問題はどれかの見極めが大切になります。時間内になるべく多くの点数がとれるよう、優先順位を考えて問題に臨みましょう。

国語は言葉の知識がたくさん出るのが特徴的です。読解も大切ですが、まずは、言葉の知識で失点しないようにします。算数は確実に解ける問題から解いていきましょう。小問集合であっても、難しい問題が混在しています。

理科は物理分野の計算で難しい問題が出る傾向にあります。応用まで解けるようきっちり固めておいてください。知識問題では失点しないようにしましょう。社会はリード文が長めなのが特徴です。地理では、雨温図やグラフ、地図を覚えてください。歴史では並べ替えの問題が解けるよう時代の流れを押さえます。公民は社会問題へ目を向けましょう。

各科目の出題傾向の特徴をつかみ、時間配分を間違えることのないよう気をつけてください。合格者平均点は年度によってどの科目も大きく開きがあるため、あまり目安は考えず、一問でも正答を導きだすようにすることをおすすめします。

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