• 2021年8月26日
  • 2024年4月1日

大学付属校を受験したい。難関校受験との違いってなに?

大学付属校を受験したい。難関校受験との違いってなに?

昨今、大学付属校受験が注目を集めています。名門大学の付属校に入ることができれば、そのまま内部進学することも可能です。この記事では大学付属校の受験事情や私立の難関校受験との違いについて紹介します。

大学付属校ってどんなところ?

大学付属校ってどんなところ?
大学付属校とは、大学もしくは特定の学部に付属する小学校や中学校、高校のことです。広い地域で展開しているところも多く、その規模は学校によって異なります。基本的に難関大学の付属校ほど偏差値が高いです。早稲田・慶應をはじめ、都内を中心とするGMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)、西の関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)などの大学付属校が人気を集めています。

大学付属校のメリット・デメリット

大学付属校のメリット・デメリット
大学付属校とはどんなところなのでしょうか。メリット・デメリットを紹介します。

大学付属校のメリットってなに?

大学付属校のメリットはたくさんあります。以下紹介します。

長い期間にわたって一貫教育を受けられる

たとえば、慶應義塾大学の付属校には小学校、中学校、高校があります。高校だけでも、慶應義塾高校(男子校)、慶應義塾女子高校、慶應義塾志木高校、慶應義塾湘南藤沢高等部、慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)の5校があり、希望すれば内部進学できる制度をとっています。
そのため、ほとんどの生徒が慶應義塾大学に進むのです。つまり、一度付属校に入学してしまえば、慶應義塾の教育を長い期間、一貫して受けることができます。もし「いいな」と思っている大学が内部進学率の高い学校であれば、付属校を検討してみるとよいでしょう。
友人たちと長い時間を一緒に過ごすことができますし、カリキュラムも内部進学を前提としているため無駄がありません。なにより大学受験に煩わされずに済みます。

大学入試改革の余波を受けづらい

2020年度から大学入試改革が進みセンター試験が廃止されました。代わって、大学入試共通テストが導入されたわけですが、まだまだ対策を立てづらい状況にあります。英語の民間試験の活用および国語と数学の記述式問題の導入が、議論されていたのは記憶に新しいところです。2025年の大学入学共通テストでは導入されない見通しにはなったものの、今後どう変わっていくかはわかりません。不確定要素のある入試を不安に思う家庭が、より安全策をとるのは当然でしょう。こうした流れを受けて、大学付属校のメリットが高く評価されているのです。

私立大学の合格者が少なくなった

2016年以降、私立大学は定員を大幅に超えて合格者を出せなくなりました。これまで大学は辞退者を見越して多めに合格者を設定してきました。しかし、文部科学省により定員を大幅に超える入学者が出た場合、助成金を減らされることが決まったため、各大学は合格者数を絞り込むようになったのです。結果、一般入試で人気の大学に合格することが以前より難しくなりました。しかし、大学付属校に入ることができれば、こうした厳しい状況にも悩まされずに済みます。

塾代が安くて済む

受験勉強に追われる必要がないということは、受験対策のために塾に通う必要性がないということです。塾代が安くて済むのは大きなメリットだといえるでしょう。もちろん、外部受験をする場合はこの限りではありません。

大学付属校のメリット
  • 内部進学を前提とした無駄の無い一貫教育カリキュラムを長い期間にわたって受けられる
  • 大学入試の改革や国の施策の影響を受けない
  • 内部進学をするなら塾に通う必要性がなくなる

大学付属校のデメリットってなに?

大学付属校のデメリットを以下紹介します。

勉強しないまま過ごしてしまう子供も

大学付属校のデメリットは、メリットと表裏一体です。大学まで内部進学できることから油断が生まれ、あまり勉強しないまま過ごしてしまうケースがあります。
そうすると、大学入学時に外部生と成績差が大きく開いてしまい、いざ講義を受けてみたらまるでついていけないなんて事態に陥りがちです。実際、英語の講義で音読するよう先生から促された内部進学生が、易しいレベルの単語でさえ全く読めなかったケースを知っています。本人もバツが悪そうにしていて、「英語はあまり得意ではない」と語っていました。
その大学の入試問題は英語の配点が大きいので、英語が苦手なまま一般入試で入学するのはまず無理です。このように、いざスムーズに大学に入学できても、学習に本腰を入れないままでいると、学力不足が悪目立ちしてしまうなんて事態を招きかねません。

途中で進路を変更したくなることも

小学校や中学校で付属校に入っても、その段階で具体的な進路を見据えている子供はごく一握りでしょう。やはり、多くは親にリードされて入学を決めます。そのため、内部進学目当てで大学付属校に入学したはよいものの、校風が合わなかったりほかにやりたいことが見つかったりして、途中で「外部受験しよう」と思い直すケースもあります。外部受験に積極的な学校であればよいですが、内部進学が主流の学校だとノウハウや情報が少なく、サポート力に不安を感じるかもしれません。

人間関係が悪くても抜け出しにくい

一貫教育の期間が長ければ長いほど、人間関係が悪くても抜け出しにくい状況に置かれます。いじめられたときに「学校を卒業すればキッパリ別れられる」とはなりません。あらかじめ、人間関係がこじれたらどう対応するか、漠然とでも考えておくことをおすすめします。

大学付属校のデメリット
  • 勉強しないまま過ごすと学力不足に陥ってしまう
  • 途中で進路変更をしたくても学校にノウハウや情報が少なく困難になってしまう
  • 人間関係がこじれても卒業を待つという選択肢がなくなってしまう

私立の難関校受験と大学付属校受験はなにが違うか

私立の難関校受験と大学付属校受験はなにが違うか
私立の難関校を受けるのと大学付属校を受けるのはどう違うのでしょうか。

私立難関校の受験

御三家のような、私立の難関校を受験するのは大変なことです。首都圏の塾では、一般的な受験コースは、小学三年生の二月から始まります。しかし、そんな早い時期から真面目に努力を積み重ねていても、御三家レベルは学習において理解の早い子供でなければ、ほぼ太刀打ちできません。広範囲の出題範囲を頭の中にキープして、難問をすらすら制限時間内にこなせるようになるのはやはり簡単なことではないのです。

大学付属校の受験

大学付属校の受験については、以下のとおりです。

基礎を固めて一問一問とりこぼさないことが大切

大学付属校の受験問題は基礎に力点を置きます。そのため、基本問題にコツコツ取り組める子供であれば名の知れた大学付属校に受かるチャンスがあるのです。大学付属校の問題は出題傾向が変わりにくいため対策がしやすいのもメリットでしょう。
ただ、対策がしやすいといっても、偏差値が高い学校に受かるのはそう簡単なことではありません。近年、大学付属校の偏差値は軒並み右肩上がりで、今後も競争は激しくなっていくでしょう。基礎知識をしっかりと身に着けてとりこぼさずに解く力が求められます。

同じ大学の付属校でも学校によって偏差値に差

同じ大学の付属校でも、学校によって偏差値や募集人数はバラバラです。通える範囲で、自分が受かりそうな学校を選ぶようにするとよいでしょう。
大学付属校の受験問題に備えて模試を受けるのであれば、出題傾向としては首都圏模試センターの「合判模試」をおすすめします。難易度が易しいため、私立の難関校を受ける子供はあまり受けない模試ですが、大学の付属校を目指す子供には向いています。偏差値が高めに出る傾向のある模試なので、その点は意識して結果を受け止めるようにしましょう。ちなみに、首都圏模試センターは2022年の予想偏差値を発表していますので参考にしてみてください。

一般常識の知識が求められることも

大学付属校の受験では、一般常識の知識も問われることがあります。慶應普通部で、もやしや牛乳の値段を知らないと解けない問題が出たのは有名な話です。
早稲田実業では、都内の区の名前や場所を問う問題が出題されました。基礎学力を固めるだけではなく、日常的に様々な方向にアンテナを張っておくとよいでしょう。頭でっかちなだけではなく、自分をとりまく環境を知ろうとする姿勢が求められます。

私立の難関校と大学付属校では求めている子供の姿が異なる

私立の難関校と大学付属校では求めている子供の姿が異なります。以下、紹介します。

私立の難関校は有名大学への進学率を重視

私立の難関校は有名大学への進学率がとても大切です。進学率が高いことは学校にとって大きなアピールポイントとなります。そのため、難問がすらすら解けるような学力的にとびぬけて優秀な子供を集めるのです。授業も受験対策の時間がとれるようスピーディーに進みますし、補習や小テストに注力し、子供が落ちこぼれないよう目配りします。
結果、私立の難関校には年齢の割に自律的な子供が多いです。学習スケジュールを意識して自主的に勉強机に向かえる子供は、私立の難関校において珍しくありません。

大学付属校は長い期間をかけて生徒を育てていく

大学付属校は、大学が求めている人物像に近い子供を求めます。内部進学の道があるので、大学受験を突破するための実践的な学力にはそこまで重きを置いていません。一貫教育の期間が長い分、生徒を育てていこうという姿勢があるのです。ただし、そのための下地として、基本的な学力や自分の身の周りへの関心を持っていることが求められます。

違いを乗り越え、私立の難関校から大学付属校への志望校変更は可能?

私立の難関校受験を目指してみたものの、なかなか思うようには成績が伸びず、大学付属校受験を視野に入れ始めたという家庭もあることでしょう。私立の難関校受験から大学付属校受験への切り替えは可能なのでしょうか。
結論からいうと、しかるべき対策をすれば可能です。私立の難関校受験を目指していた子供は基礎的な学力はすでに身についています。ただし、大学付属校の過去問をやってみればわかることですが、基礎力を前提に、視野の広さを求められる問題も出題されています。
そのため、いくら勉強を頑張ってきた子供でも、なんの準備もなくいきなり大学付属校受験に挑むべきではありません。過去問をやり込んで対策を立てた上で試験に臨む必要があります。

大学付属校を志望する理由を整理しよう

大学付属校を志望する理由を整理しよう
大学付属校受験では、慶應義塾中等部をはじめ、親子面接を受けなければならない学校がいくつかあります。つまり、子供だけではなく親も、なぜ大学付属校受験をするかの理由を言語化できなければなりません。そのためにも、親子で話し合いを重ねておきましょう。

そもそも、受験勉強を勝ち抜くためには、子供自身が「〇〇のために勉強する」と思えなければ難しいです。なぜ大学付属校を受験するのかを話し合い、子供のモチベーションにつなげていきましょう。
親が大学についてよく学ぶのも大切なことです。知名度の高い大学だからといって、わが子に合う大学かどうかはわかりません。偏差値や知名度だけではなく、具体的にどんな学部学科があり、どんなビジョンを描いているのかなるべく詳しく調べておいたほうがよいでしょう。

子供はそもそも大学がどんなところかさえわかっていないはずです。なにが学べるところなのか、どのぐらいの成績をとっていれば内部進学できるのか、調べた情報を共有してあげてください。大学の学園祭を見学に行き、楽しいイメージを持てるようにするのもよいでしょう。

私立の難関校受験との違いを理解して無駄なく対策しよう

私立の難関校受験との違いを理解して無駄なく対策しよう
大学付属校は、中高一貫校より更に長い一貫教育を受けられるのが最大の特徴です。私立の難関校より進路の見通しが立てやすく安定性があるため、人気は右肩上がりとなっています。大学入試が見直され、私立大学の合格者が絞られている時代において、心強い進学先です。

大学付属校は一般的な私立中学の難関校とは、受験問題の傾向が大きく違います。問題自体の難易度はさほど高くありません。基礎を固めれば対応できるレベルです。過去問から大幅に傾向が変わることはないため、これまでどんな問題が出題されてきたかを把握し、対策を練ることが大切です。

私立の難関校を受験するには、ハイレベルな学習内容をハイペースにこなす必要があります。私立の難関校受験についていけない子供でも、大学付属校ならば通用するかもしれないのです。少なくとも、わが子がコツコツ努力を続けられるタイプであれば、偏差値の高い大学付属校に受かる可能性は十分にあります。
大学付属校ごとの出題傾向をよく知って無駄なく勉強するためにも、ぜひ家庭教師や塾といったプロによる教育サービスを活用することをおすすめします。家庭教師の場合は、一人ひとりの志望校に絞った指導が可能です。

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