中学受験の計算問題の中で苦戦するもののひとつに単位換算があります。覚えようにも、なかなか頭に入らず困っている子供は多いです。この記事では単位換算についてわかりやすく解説します。
単位は丸暗記するべき?視覚情報を大切に
中学受験に必要な単位はさまざまありますが、すべてを丸暗記しようとしてもスムーズにいかない子供がほとんどです。そのため、身近な単位は身近なもので想像してみるところから始めましょう。
たとえばL(リットル)、dL(デシリットル)、mL(ミリリットル)の単位換算で子供たちはよく間違えます。特にdL(デシリットル)は日常生活で馴染みがないため、ミスしやすいです。
数字とにらめっこをするのではなく、絵や実物を使って覚えることをおすすめします。牛乳パックやカップを使って説明しましょう。詳しいやり方については、のちほど説明します。
中学受験で覚えなければならない単位換算。覚えるコツは?
中学受験で覚えなければならない単位換算は以下のとおりです。
時間は時計の力を借りよう
1 日 = 24 時間
1 時間 = 60 分
1 分 = 60 秒
百均で売っている時計の玩具を使って教えてあげるとわかりやすいです。おもちゃ売り場に、学習用の厚紙でできた時計がよく置かれています。針を動かしながら、基本的な考え方を説明してあげてください。
たとえば、「一日というのは深夜0時から正午までの12時間と正午から深夜0時までの12時間、つまり 12 + 12 = 24 時間」「1 分は 60 秒で、1 分の 60 倍が 1 時間」といった説明は、言葉だけより時計を見ながらのほうがはるかにわかりやすいです。
また、日常的に「ラーメンを作るよ。三分は何秒かわかる?」などといった声かけをして計算する機会を設けるとよいです。
最近は家庭でデジタル時計を使っているケースが多く、アナログ時計のイメージを持てない子供は少なくありません。そうすると表示されている「今の時間」にばかり意識がいきがちです。もっと、広く時間をイメージする機会を作っていきましょう。
長さは身長を例にとって考えよう
1 km = 1000 m
1 m = 100 cm
1 cm = 10 mm
まず子供の身長を測り、「〇〇ちゃんの背は1m△cmだから1mはこの辺りだよ」と教えてあげます。「1cm」は定規で馴染みがありますが、指先などを測って「このぐらい」と改めて教えてあげるとよいでしょう。
たとえば「爪の先が1mmで、その部分を10倍にしたら爪全体の大きさで1cmになる。その百倍が1m」といった説明を添えます。
もちろん、この説明はその子の爪の大きさによって変わってくるので、実際に測って「1.2cmだから爪の先の部分の12倍。1cmはこの辺り」などとアレンジしながら説明してみてください。
問題を解いていて混乱したときも、具体的にイメージを思い起こせることが大切です。1kmは家からだいたい1kmの場所を挙げて説明します。
意外な落とし穴。面積は覚えづらい?
1 ㎢ = 1 km × 1 km
1 ha = 100 m × 100 m
1 a = 10 m × 10 m
1 ㎡ = 1 m × 1 m
1 ha = 100 a
意外と忘れる子供が続出するのが、面積です。haとaは日頃使用しないので、イメージが掴みづらいのでしょう。よく1aは教室の広さで覚えるとよいといいますが、実際には小中学校の教室の平均面積はもっと狭いので、その旨を説明しないと混乱するかもしれません。一部屋半ぐらいでようやく1aの学校が多いのではないでしょうか。
それでも「1aと1ha」を考える際に「教室と校庭」と説明すると、だいたいの感覚はつかめますし、少なくとも間違えて桁を一個増やしたり減らしたりすることはなくなります。目安として覚えておくにはよい方法です。なお、aとhaの比較ですが、ヘクタールのヘクトは100倍を表していると覚えておきましょう。そのため、aの100倍がhaです。
体積は実際に水を汲んでみるとわかる
1 L = 10 dL = 1000 mL
1 ㎥ = 1 m × 1 m × 1 m = 100 cm × 100 cm × 100 cm
1 ㎤ = 1 mL
1000 ㎤ = 1 L
1000 ㎥ = 1000 L = 1 kL
1Lは牛乳パック1本、1 dLは半カップ、1mLはだいたいですが小さじ5分の1程度。半カップの水を10杯分、空の牛乳パックに注ぐといっぱいになるところを見せてあげてください。視覚的に記憶できます。
1kLはさすがに難しいですから、kが1000倍を意味することを説明しましょう。
まずは基本!実際に単位換算に挑戦してみよう
単位換算の基本問題を解いてみましょう。
時間の計算
時間の計算を解けるかどうか試してみましょう。
① 15 分 = □ 時間
② 10 分 = □ 時間
③ 30 分 = □ 時間
④ □ 分 = $\frac{3}{4}$ 時間
⑤ □ 分 = 1$\frac{1}{2}$ 時間
分を時間に直すときは、60分のうち何分かで考え、約分する。
- 15 分は、1 時間( 60 分)を基準にして考えると、「 60 分のうち 15 分」です。
つまり、$\frac{15}{60}$ で、約分すると$\frac{1}{4}$になります。 - 10 分も同様に解きます。「 60 分のうち 10 分」です。
つまり、$\frac{10}{60}$を約分すると、$\frac{1}{6}$になります。 - 30 分も同様に解きます。「 60 分のうち 30 分」です。
つまり、$\frac{30}{60}$を約分すると、$\frac{1}{2}$になります。 - $\frac{3}{4}$ 時間は 1 時間( 60 分)を 1 とした場合の $\frac{3}{4}$ という意味です。
つまり、60 × $\frac{3}{4}$ = 45 で45 分になります。 - 1$\frac{1}{2}$ 時間は 1 時間( 60 分)と $\frac{1}{2}$ 時間( 60 分の半分、つまり 30 分)で合わせて90 分になります。
時間と速さの計算
時間の計算は速さにも関係しています。
① 400 mの道のりを 10 分で歩いた場合の速度は?
② 3000 m の道のりを分速 100 mで進むと何分かかる?
③ 分速 60 mで 10 分進むと距離は?
④ 540 mの道のりを 6 分で進むと速さはいくつ?
⑤ 分速 120 mで一時間進むと距離はどのぐらい?
距離÷時間で速さ、速さ×時間で距離、距離÷速さで時間で計算する
- 分速を求める問題です。400 m ÷ 10 分 = 分速 40 mとなります。
- 3000 m ÷ 分速 100 m = 30 分です。
- 分速 60 m × 10 分 = 600 mです。
- 540 m ÷ 6 分 = 分速 90 mです。
- 分速 120 m × 60 分( 1 時間) = 7200 m、つまり7 km 200 mです。
長さの計算を解いてみよう
長さの計算を解けるかどうか試してみましょう。
① 1.1 km = □ m
② 120 cm = □ m
③ 18 mm = □ cm
④ 18000 m = □ km
⑤ 1.4 cm = □ mm
単位を変えるときは、基準単位を使って掛け算か割り算をする。
- 1 km = 1000 mで 0.1 km = 100 mなので、合わせて1100 mです。
- 100 cm = 1 mで 20 cm = 0.2 mなので、合わせて1.2 mです。
- 10 mm = 1 cmで 8 mm = 0.8 cmなので、合わせて1.8 cmです。
- 10000 m = 10 kmで 8000 m = 8 kmなので、合わせて18 kmです。
- 1 cm = 10 mmで 0.4 cm = 4 mmなので、合わせて14 mmです。
面積の計算を解いてみよう
① 一辺が 15 mの正方形の土地の面積は □ a
② 一辺が 130 mの正方形の土地の面積は □ ha
③ 一辺が 1800 mの正方形の土地の面積は □ ㎢
④ 1000 aは □ ha
面積の計算では、まず面積を求め、次に単位換算をする
- 15 m × 15 m = 225 ㎡なので、225 ㎡。
aに直すためには、100 ㎡ = 1 aなので、225 ㎡ ÷ 100 =2.25 aとなります。 - 130 m × 130 m = 16,900 ㎡で 10,000 ㎡ = 1 haなので
16,900 ㎡ ÷ 10,000 =1.69 haとなります。 - 1800 m = 1.8 kmなので
1.8 × 1.8 = 3.24 から、3.24 ㎢となります。 - 100 a = 1 haなので
1000 a =10 haとなります。
体積の計算を解いてみよう
① 一辺 10 cmの立方体は □ L
② 13 dLは □ L
③ 一辺 100 cmの立方体は □ kL
立方体の体積は一辺×一辺×一辺で求め、単位換算は適切な基準を使う
- 10 cm × 10 cm × 10 cm = 1000 ㎤ 、 1000 ㎤ =1 Lとなります。
- 10 dLで 1 L、3 dLは 0.3 Lなので、合わせて1.3 Lとなります。
- 100 cm = 1 mなので、1 m × 1 m × 1 m = 1 ㎥。1 ㎥は 1000 Lであり1 kLとなります。
続いて応用!中学受験で押さえたい単位換算
中学受験では素早く解くことが求められますが、時間と速さの計算は順を追って解くと手間がかかりすぎる問題もあります。
たとえば「時速72kmの車は13秒間で□m進みます。□に入る数字を答えなさい」という問題があったとき、多くの人の解き方は以下のようになるでしょう。
中学受験では、もっとスムーズに解く必要があります。中学受験を目指す子供は以下のように解くとよいでしょう。
72 km ÷ 3.6 = 20 m/秒
20 m/秒 × 13秒 = 260 m
つまり時速〇kmを秒速△mに変換するためには3.6で割ればよいのです。スピーディーに解けるので覚えておいてください。
ところで、なぜ3.6で割れば時速〇kmを秒速△mにできるのでしょうか。ここでは時速→秒速、km→mというふたつの単位変換が行われています。時速は1時間(3600秒)あたりの速度で、秒速とは時速÷3600です。一方、kmをmに直すときは1km = 1000mからもわかるように×1000をします。
秒速を時速に直す÷3600とkmをmに直す×1000をするわけですから、分数で表記すると×$\frac{1000}{3600}$ となり、約分すると×$\frac{5}{18}$、このかけ算を割り算で表記すると分子と分母がひっくり返り、$\frac{18}{5}$、つまり ÷ 3.6です。
逆に言えば、秒速△mを時速〇kmに直すときは×3.6です。
いちいちこの理屈を考えていては時間がかかるので、パターンとして覚えておくことをおすすめします。
では、実際にこのルールを使って、問題を解いてみましょう。
① 時速 108 kmは秒速 □ m
② 時速 72 kmは秒速 □ m
- 108 ÷ 3.6 = 30 なので秒速 30 mになります。
- 72 ÷ 3.6 = 20 なので秒速 20 mになります。
単位換算の問題をよりスピーディーに解くために
単位換算の問題を素早く解くためには、複雑な計算自体が素早くできるようになる必要があります。
分数と小数の変換
単位変換の問題をより早く解くためには分数と小数の変換を覚えておくとよいです。
$\frac{1}{2}$ = 0.5
$\frac{1}{4}$ = 0.25
$\frac{3}{4}$ = 0.75
$\frac{1}{5}$ = 0.2
$\frac{2}{5}$ = 0.4
$\frac{3}{5}$ = 0.6
$\frac{4}{5}$ = 0.8
$\frac{1}{8}$ = 0.125
$\frac{3}{8}$ = 0.375
$\frac{5}{8}$ = 0.625
$\frac{7}{8}$ = 0.875
円周率の計算
円周率の計算も間違えやすいので頭に入れておきましょう。
3.14 × 1 = 3.14
3.14 × 2 = 6.28
3.14 × 3 = 9.42
3.14 × 4 = 12.56
3.14 × 5 = 15.7
3.14 × 6 = 18.84
3.14 × 7 = 21.98
3.14 × 8 = 25.12
3.14 × 9 = 28.26
平方根
平方根の計算は、面積や体積を求める際にも必要になることがあります。
11 × 11 = 121
12 × 12 = 144
13 × 13 = 169
14 × 14 = 196
15 × 15 = 225
16 × 16 = 256
17 × 17 = 289
18 × 18 = 324
19 × 19 = 361
なお、平方根を覚えておくと、場合の数の問題を解く際にも便利なケースがあります。
立方数
立体の計算で使うことがあるので覚えておきましょう。
2 × 2 × 2 = 8
3 × 3 × 3 = 27
4 × 4 × 4 = 64
5 × 5 × 5 = 125
6 × 6 × 6 = 216
7 × 7 × 7 = 343
8 × 8 × 8 = 512
9 × 9 × 9 = 729
他にも覚えておくと便利な計算はありますが、まずはこの辺りまで使いこなせるとよいでしょう。
単位変換をイメージできるようにして、計算速度アップも
単位変換の問題を素早く正確に解くためには、まず正しい知識をインプットすることが必要です。そのためには、丸暗記するのではなく、イメージできるような覚え方をすることをおすすめします。体積であればカップや牛乳パックを使ってみる、面積であれば場所に置き換えて考えてみる、などさまざまな工夫をしてみてください。
その上で、問題数をこなして確実に解けるところまで計算に慣れておきましょう。複雑な計算をスムーズに解くためには、応用的に使える知識も合わせて身につけておきたいところです。時速〇kmを分速△mに直す方法はその一例ですから、使いこなせるようにしておいてください。
また、単位変換の仕方だけを覚えるのではなく、計算力もアップしておかなければなりません。よく出てくる計算のパターンは九九のように頭に入れておくとよいでしょう。