「新学年になって、ますます勉強についていけない」という子供は少なからずいます。前年度の復習をいつすればよいのかわからず、目の前の勉強だけをこなしているうちに、学習への理解が追い付かなくなるケースです。
新学年の勉強はどのように進めていけば上手く軌道に乗るのでしょうか。この記事で紹介していきます。
前年度の復習が必要。問題集をしまい込むのはNG
教材が切り替わるこの時期、わざわざ前年度の問題集を机の奥から引っ張り出して復習するのは億劫になりがちです。まず、前年度の教材を机の奥にしまい込むのはやめて、手の届きやすい棚に収納しておくことをおすすめします。
ある子供がつまずいている単元が、たとえば「立体図形」だったとします。では、その子供は「立体図形」を集中的に勉強すれば、苦手を克服できるようになるのでしょうか。必ずしもそうとはいえません。
なぜなら、つまずきの原因は「平面図形」を理解できていないことにあるのかもしれないからです。あるいは、式の立て方への理解が不足している可能性もあります。勉強は積み重ねです。速やかに復習できる環境を整えておきましょう。
新学年になったら自分の授業の受け方を見直してみよう
勉強に回せる時間は限られています。そのため、授業をいかに効率的に受けるかが大切です。以下の点に気をつけましょう。
授業中に眠いのはNG。生活習慣の見直しを
塾や家庭教師、学校の授業を居眠りで過ごしてしまう生徒は、一度自分の生活習慣を見直しましょう。どこかで生活を切り替えないと、授業時間が無駄になり、大きなタイムロスが発生します。睡眠時間には個人差がありますし、朝型や夜型も人によって差があります。自分にはどういうスタイルが合うかを探りましょう。
ノートの取り方は効率的? 見直しすることを意識して
あとで見直したときに復習しやすいノートを取れるかは重要なポイントです。しかし、どうしても書字が苦手な子供は一定数いるもの。きれいに書くのが難しい場合、ノートの使い方から見直しましょう。「日付やページ数、問題番号を、問題を解いているところとは別のスペースに書く」など、要所要所を気をつけるだけで、大分違います。
逆に、ノートをきれいにとるのが好きで、つい色分けや装飾に時間を費やしてしまう子供もいますが、そういう子供ほど、肝心の授業に集中できていない可能性が高いです。使う色は2~3色あれば十分なので最低限を持たせましょう。
前の授業のわからないところは次の授業までに解消
授業前後に、わからない問題について先生に質問する習慣をつけさせましょう。「授業の不明点は次の授業までに解消する」サイクルを作ってください。授業を受けたら家でその日やったところを復習するよう促し、類題を解かせます。次の授業では、授業内容や類題のわからないところを質問。これを繰り返すだけで確実に成績は上がっていくものです。
ちなみに、受験を控えた子供の場合はこうした基本的なサイクルに加えて、広範な復習が必要です。復習をする時間を上手く作りだせない子供の多くは、この基本的な学習サイクルでつまずいています。わからないところを即座に着実に潰していくのが、一番効率的なのです。
- 生活習慣を見直して授業中眠くならないようにする
- 後で確認する時に復習しやすいノート作りを心掛ける
- 分からない問題は先生に質問して次の授業までに解消する習慣をつける
子供が宿題をちゃんとやらない! 宿題との付き合い方を見直そう
宿題を忘れてしまう子供、やりたがらない子供、やるにはやるもののいい加減な子供はなかなか成績が上がりません。パターン別の対処法と宿題との付き合い方を紹介します。
宿題が出されていることを忘れてしまう子供
宿題が出されていること自体を忘れてしまう子供は少なくありません。連絡帳に宿題が出されている旨をメモしなかったり、どこかにメモをとってそのまま忘れてしまったりするタイプです。
こうしたタイプには口酸っぱく注意をしても、なかなかうまくいきません。最初に先生にそういう性分の子供であると伝えて、協力してもらいましょう。
黒板に宿題の内容について板書してもらうか、子供が連絡帳にちゃんと控える様子を確認してもらうかしてください。もちろん、家庭の働きかけも大切です。学校や塾で決められた連絡帳がないのであれば、適当なものを用意して「宿題は必ずこの連絡帳に書くこと」というルール作りをしましょう。
宿題について書いたページに、付箋を貼らせるようにするとよいです。しかし、せっかく書き留めても、字が乱雑で、せっかくメモした内容が判読できないなんて落とし穴もあります。そうした場合でも、宿題の箇所がわかるよう、付箋は該当の問題集のページにもあわせて貼るようにするとよいです。
- 先生にそういう性分の子供であることを共有する
- 宿題は必ず連絡帳に書いてもらう
- 宿題について書いているページに付箋を貼らせる
宿題をやりたくない子供・やりこみの甘い子供
「宿題が出されていることはわかっていても、どうしてもやりたくない子供」「宿題をやるにはやるが、やり方が適当であまり宿題から効果を得られない子供」というのも一定数います。要は、勉強への苦手意識が強い子供です。
そうした子供は、宿題に限らず勉強を避けるので、親としても頭が痛いことでしょう。ただ、目先の宿題を無理やりやらせても効果は薄いもの。わからない問題を無理に解かせ続けていると、子供の自信を奪うことにつながりかねません。
わからない問題に実力なしに臨むことは苦痛です。勉強が楽しくなるのは「自分なら解ける」という自信を持つことができるようになってから。勉強嫌いな子供は、根本的なレベルからの底上げが必要です。
親だけでフォローするのは難しいでしょう。経済的に許すなら個別指導塾や家庭教師といった、苦手箇所の克服に注力してくれる教育サービスを活用したいものです。
宿題の答えを丸写ししてしまう子供
宿題を模範解答から丸写ししてしまう子供もいます。そういう子供の宿題は、計算であれば途中式が大幅に抜けていたり、記述問題であれば一部分だけ言い回しを変えていたりします。本人なりにばれないように写したつもりでも、大人がチェックすればだいたい違和感に気付くものです。できるだけ早い時期に気付いてあげて、「そのやり方ではいけない」ことを悟らせましょう。
ただし、証拠がないのに頭ごなしに疑ってかかるような物言いをするのは避けてください。宿題を丸写しにしている事実に親が気付いていることを察するように仕向けましょう。
たとえば計算の途中式がなければ「これ、途中式書かないとダメだよ。同じ問題を今から出すからちゃんと解いてみて」と声をかけます。また、国語の記述問題は「これ模範解答とほとんと答えが一緒だね」と指摘してください。「だから写したでしょう」とまでは言わなくても、後ろめたいところがある子供は「まずい」と気付くはずです。
親は子供の宿題の丸付けやチェックを必ずしなければダメ?
学校では先生が丸付けをするケースが多いですが、塾や家庭教師といった教育サービスにおいては、「ご家庭で丸付けやチェックをしてくれると助かる」と協力を求めるケースもあります。
家庭の事情で難しければ、塾や家庭教師に率直に「丸付けやチェックは難しい」と伝えてみてください。意外と臨機応変に対応してくれるはずです。
ただ、親が丸付けやチェックをした際に、「子供の学習姿勢やその問題点に気付かされる」ことは多いので、たまに手が空いたときにはやってみるのもよいでしょう。
塾や家庭教師と子供の抱える問題点を共有し、子供の宿題への取り組みをスムーズなものにすることをおすすめします。
基礎力がないと成績は上がらない。漢字力・計算力はどうつける?
問題の答え方や解き方自体はわかっていても、漢字力や計算力が足りず点を引かれてしまう子供はたくさんいます。どうすればよいのでしょうか。
漢字に触れる機会を増やしていこう
漢字を書けるようにする努力は重要ですが、その前に漢字に触れる機会自体を増やしてみてはどうでしょうか。
読書習慣を身に着けるには、本と触れ合える環境があるかどうかがカギとなります。家族で図書館に通う習慣をつけておくとよいでしょう。
中には、本を借りても読まない子供もいます。そうした場合は無理に小説やエッセイを読ませる必要はありません。マンガでもよいのです。本人にとって楽しい作品であればあるほど、読めない漢字をそのまま放置することはないでしょう。読書は総合的に国語力を高めていくため、遠回りに見えても基礎学力の構築につながります。
漢字の練習はとにかく書くこと
漢字を覚える際は、とにかく書き出すことが大切です。とめはねはらいを細かく採点されて減点されるケースが多いので、一文字一文字慎重に書き写しましょう。
「丁寧に書いても字が汚い」子供は一定数いますが、とめ・はね・はらいがちゃんとできていれば、ある程度の採点基準はクリアできます。丁寧に書くのが億劫な子供は、書き順を厳守して書いてみてはどうでしょうか。普段書き順を意識していない子供ほど、線のひとつひとつの運びが慎重になるため、きれいに仕上がりやすいです。
計算力を固めよう。途中式は省略せず丁寧に
解き方がわかっているのに、いつも計算ミスで点数を落としてしまう子供には計算力を高めるための取り組みが必要です。具体的には毎日の小テストがよいでしょう。問題数は子供によって変える必要がありますが、問題を出す手間、解く手間を考えると「一日十問」ぐらいが目安です。
計算を解く際は途中式を必ず書かせるようにしてください。計算ミスの多い子供ほど途中式を省略しがちです。式を書く際の書き方も大切で、あちこちに乱雑に書きなぐって、どこになにを書いたかわからなくなる子供が多くいます。
当たり前のことのようですが、上から下、左から右に途中式を書かせるようにしましょう。間違えた問題は翌日のテストの十問にプラスアルファで追加してください。解けるまで繰り返しやり直すことが大切です。
- 図書館に行く等漢字に触れる機会を増やす(マンガでもOK)
- 書き順を意識して一文字一文字慎重に書き写しを行う
- 計算式は途中式を必ず書く癖を付けさせる
テストごとに解けない問題を潰していこう
勉強についていけない子供にとってテストは憂鬱なものです。しかし、テストは今後の学習の方針を決めるための貴重な機会でもあります。以下のように活用していきましょう。
テストで点数がとれない。そんなときは復習を
誰しもテストではよい点数をとりたいと願います。一方で、テストの点数とはただの結果に過ぎません。テストを受ける上で、一番大切なのは「どの問題が解けてどの問題が解けていないかを把握すること」です。
自分の過不足を認識することで、復習すべき箇所を無駄なく絞り込むことができます。テストが返却されたら、間違えている問題を全て解き直し、その後、類題を探しましょう。教科書や問題集にはマークをつけておきます。自力で解けるまで期間を置きながら何度も解き直しましょう。
- 間違えた問題とその類題を解いてみる
- 解けなければ、解説を読んでもう一度解く
- 翌日に自力で解けるか試す
解き直しのためにも、テストは必ずファイリングするようにしましょう。学校によってはファイリングが義務付けられているところもあります。間違えた問題のあるテストには付箋を貼ってください。全問自力で解けるレベルに達したテストから付箋を外していけば、理解できない問題をひとつひとつ潰していけます。
塾や家庭教師にテストを分析してもらおう
塾に通っていたり家庭教師をお願いしたりしている場合は、先生に頼んでテストデータを分析してもらいましょう。「どこから復習すれば効率よく成績を上げられるのか」を洗い出してもらうのです。なお、塾や家庭教師といった教育サービスを利用していない場合は、学校の先生に頼るか、親がサポートにつく必要があります。子供だけでは、効果的な復習範囲の見極めは難しいです。
復習範囲を見極めたら、先生や家庭で相談し、学習スケジュールをブラッシュアップしましょう。スケジュール作成においては、目標を高く掲げるあまり、実行できないぐらい内容を詰め込んでしまうケースがままあります。無理のない量を割り振るようにしてください。
- 解けない問題を理解する
- 間違えている問題の類題を探して解く
- テストは必ずファイリングし、間違えたテストには付箋を貼る
- 学校の先生、塾や家庭教師にサポートしてもらう
新学年になったら、新しい学習サイクルが必要
新学年になったら、まず授業の受け方を見直してください。子供が集中して授業を受けられるよう生活リズムを整え、あとから見直せるノートを作るよう促しましょう。
わからない問題は着実に潰し、宿題も欠かさずやらせるようにします。漢字や計算といった基礎を疎かにせず、小テストをこなしていくことで、実力を育むことが可能です。
節目節目のテストを通して理解不足の点を把握して復習すべき範囲を明確にし、スケジュールをブラッシュアップしていきましょう。新しい学習サイクルを確立することが大切です。